群馬県桐生市の吾妻山を訪れた。
吾妻山にはフモトミズナラ(モンゴリナラ)の観察の為、過去にも訪問しているが、今回再訪するのはこの山にアベマキが30本ほど生育していることを知った為である。
過去の訪問時には山頂まで行かなかったが、今回は山頂まで行き、アベマキがあるという村松沢へ向かった。

まずはフモトミズナラ。
吾妻山には多数のフモトミズナラが生育している。

吾妻山や富岡市神成山で見たフモトミズナラは、愛知県で見たものよりも樹高が高く、大きなものは15mくらいありそうだった。
ところで、北関東のフモトミズナラは愛知県のものよりも葉が大きいような気がするが、気のせいだろうか?中にはカシワと同じくらいの大きさの葉もあった。東海と北関東では遺伝子型が異なるのかもしれない。
吾妻山はスギ・ヒノキの植林地帯も多いが、尾根部の二次林地帯ではフモトミズナラが多く見られた。

 

山頂からの眺め。標高は481.1mである。

写真左下に写っている木もフモトミズナラで、ミズナラが生育する標高を考えると名前の通りである。

 


カシワがあったことにも驚いた。
カシワは寒冷地に多く、関東の暖地では植栽を除くと殆ど見ない樹種である。葉がフモトミズナラと似ている為、見落としそうになったが、樹皮がやや異なるのと、未熟のどんぐりが落ちていたのでわかった。

こちらがフモトミズナラの樹皮である。樹皮はミズナラよりもコナラに似ている。カシワとの樹皮の違いは、フモトミズナラの方がやや色が薄いと言ったら良いだろうか…?

山頂から暫く進み、村松峠から村松沢へ向かった。
スギ・ヒノキ林が広がっていたが、一部広葉樹林地帯があり、そこに確かにアベマキが生育していた。

群馬県では、高崎市の観音山にもアベマキが生育している。アベマキは太平洋側では静岡県天竜川以西では普通だが、関東ではまず見ない樹種である。そのため、群馬のアベマキは植栽逸出起源なのかもしれない。吾妻山にはクヌギも生育しているが、アベマキが生育していた場所の近くにクヌギはなかった。


また、木の場所は特定できなかったが、フモトミズナラとコナラの交雑種と思われる葉も落ちていた。

同様の個体は吾妻山の他の地区でも私は見たことがある。

吾妻山にはカシワもあったため、フモトミズナラとカシワの交雑種もあるのかもしれない。

フモトミズナラ・アベマキが見られ、中々面白い山であった。

次回訪問するときは、定規を持参し、フモトミズナラの葉の大きさを測定してみたい。

また、他にも交雑個体がないか探してみたいと思う。