ハナガガシを見に高知県を訪れた。高知県を訪れるのは今年1月以来2度目である。
高知県では高知市の朝倉神社、土佐市甲原の松尾八幡宮の2箇所にハナガガシが生育しており、後者は土佐市指定天然記念物になっている。しかし、2箇所とも周辺に自生はなく、自然分布なのか疑問視する学者もいるという。
前回は松尾八幡宮に行けなかったので、今回はそのリベンジである。
まずは朝倉神社。
前回は社殿右奥の1本しか気づかなかったが、文献によると社殿近くに2本のハナガガシがあるという。
社殿右奥の個体。樹高20mほどだが、サルノコシカケが着生しているのが気掛かりだ。1月の訪問時には熟したどんぐりが落ちていたが、今回は未熟のものしか見つからなかった。
社殿左側にもう1本のハナガガシがあった。しかし、よく見るとその奥にもハナガガシのような木が!?
その木の根元まで行き、落ち葉を確認したところ、やはりハナガガシであった!!
これは大発見!!朝倉神社には少なくとも3本のハナガガシがあるようだ。
続いて、松尾八幡宮へ向かった。
ところで私が何故前回、松尾八幡宮に行けなかったのかをここで説明したいと思う。
実は、土佐市には松尾八幡宮という神社が2箇所(甲原と高岡町乙)ある。ハナガガシ群落は甲原の松尾八幡宮にあるのだが、私は前回そのことを知らず、高岡町乙の方を訪れてしまったのだ。甲原の松尾八幡宮は地図でも表記されていないので、今回は事前に土佐市役所に場所を問い合わせておいた。
こちらがハナガガシ群落のある松尾八幡宮である。場所は土佐市甲原238である。
文献に書かれていた通り、境内はハナガガシが優占種となっていて、少数のツブラジイ、アラカシも見られた。
個体数の調査が行われているようで、ハナガガシには番号札がつけられていた。
中には板根を形成した個体もあった。
大きなものは樹高20mほどだが、若木や実生も多数見られた。自然分布なのかはっきりしないにしても、日本固有の絶滅危惧種がこれだけあるのは大変貴重なことである。
どんぐりは境内の隅々まで探したが、1個も見つからなかった。未熟のどんぐりすら落ちていなかったため、不作年に当たったのかもしれない。これは残念だったが、どんぐりの木は気紛れなので仕方がない。
帰りに高岡町乙の松尾八幡宮にも立ち寄った。
こちらの松尾八幡宮にはイチイガシがあり、どんぐりも沢山落ちていた。他にはアラカシ、シリブカガシ、ツブラジイもあった。前回の訪問時には、ハナガガシがどこにあるのか境内を隅々まで探し回ったものだった。
ところで、図書館にあった「土佐の名木(1971年)」、「四国の名木ものがたり(1976年)」という本によると、吾川郡吾川村(現仁淀川町)の二子野中山神社にもハナガガシが数本あるという。これも含めれば、高知県でのハナガガシ生育地は3箇所となる。
四国では他に、愛媛県愛南町の八幡神社にもハナガガシがある。 「木の実・草の実(ニュー・サイエンス社、1977年)」によると、境内には3本のハナガガシがあり、11月3日の秋祭りの時にどんぐりが落ちるという。尚、愛媛県での生育地はこの1箇所のみである。
どんぐりは拾えなかったが、貴重なハナガガシ群落を見ることができて良かった。