2017年10月6日掲載
2022年10月5日改訂・再掲載
2024年12月18日改訂
和名:スダジイ(須田椎)
別名:シイ、イタジイ、ナガジイ
学名:Castanopsis sieboldii
分布:本州(福島・新潟県佐渡以西)・四国・九州(トカラ列島が南限)。済州島。
樹高:15~25m 直径:150cm 常緑高木 陰樹
沿海地~山地帯下部の照葉樹林に自生し、乾燥した立地に多い。関東では内陸にも広域に出現するが、ツブラジイが分布する東海以西では海沿いに自生する。カシ類やタブノキとともに、照葉樹林の代表種。萌芽力旺盛で二次林にも多い。社寺林・屋敷林に植栽される。
葉は長さ6~15㎝。全縁または上半分に鋸歯がある。葉の表皮組織はスダジイは2層、ツブラジイは1層である。
葉裏は金茶色で、他の樹種にはない独特の色である。
花。5~6月に開花し、虫媒花で強い香りがする。
開花時は木全体が黄金色になり、よく目立つ。
樹皮は黒褐色で、成長するにつれて縦に割れ目が入る。
横広がりの樹形でドーム型の樹冠になり、幹や枝は曲がりくねる。根元が板根状になることもあり、別名のイタジイはこれに由来する。
長寿で各地に巨樹が存在する。写真は東京都多摩市の「平久保(びりくぼ)のシイ」で、樹高25m・幹囲5.9m・推定樹齢500~600年の巨樹である。
【亜種】
・オキナワジイ 学名:Castanopsis sieboldii ssp. lutchuensis
奄美群島~沖縄諸島・石垣島・西表島・与那国島に分布するスダジイの亜種。琉球地方ではイタジイと呼ばれることが多い。スダジイと表記されることもある。
葉は長さ5~11cmで基本種スダジイよりやや薄く、枝もやや細い。
花は2月頃に開花し、どんぐりは10~12月に熟す。豊凶が激しい。
堅果は長さ1.5~2cm。丸みがあり、スダジイとツブラジイの中間的な印象である。殻斗は基本種スダジイほど裂開せず、鱗片状突起の先端は殻斗に合着する。奄美地方や沖縄県国頭地方では、シイの実は近代まで大切な食糧であった。奄美地方では昭和60年代まで奄美栗の名で市場で販売され、混ぜご飯・味噌・焼酎・お菓子などにも利用された(※①)。堅果はルリカケス・アマミノクロウサギ・リュウキュウイノシシ・トゲネズミなどの大好物。
オキナワジイが優占する奄美大島の森林。奄美大島や沖縄島北部は皆伐の影響で、大部分がオキナワジイの二次林となっている。沖縄島北部(やんばるの森)では、高木層の約7割が本種で構成されている。
〈参考資料〉
①大和村行政資料「大和村の国立公園」