クヌギとアベマキはよく似た木だが、調べてみると違いが色々あることに気づいた。
見た目としては以下のような違いがある。
①クヌギの葉裏は無毛で緑色。アベマキは星状毛が密生し、白っぽい。また、アベマキの葉はクヌギよりもやや幅広である。
②クヌギの樹皮は灰褐色で、指で押しても硬い。アベマキの樹皮はクヌギよりも明るい灰色で、コルク層が発達し、指で押すと弾力がある。
③どんぐりはクヌギは球形、アベマキは楕円形であることが多い。アベマキのどんぐりはクヌギよりも色が濃く、殻斗の鱗片は長い。どんぐりはクヌギの方が大きい。
樹皮の色の違いは、関西でアベマキを観察していた時に特に感じた。
アベマキの葉裏。星状毛があり、白っぽい。クヌギとの最大の違いである。
クヌギの樹皮。指で押しても硬い。
アベマキの樹皮。クヌギよりも明るい灰色で、指で押すと弾力がある。
アベマキの樹皮。コルク層に何本も入っている縦筋は、1年間に成長した樹皮の厚さで、新しい樹皮は内側から形成される。コルク層は15年で約2㎝厚くなる。
クヌギのどんぐり。
アベマキのどんぐり。クヌギより小粒で、楕円形であることが多い。
クヌギ、アベマキの国内での分布は以下の通り。
クヌギ:岩手県・山形県以南~屋久島・種子島。沖縄県まで植栽。(クヌギは薪炭材を得る目的で植栽されたものも多く、自然分布ははっきりしない)
アベマキ:山形県・長野県・静岡県以西(紀伊半島を除く)~九州。
両者はすみわけをしており、東日本にクヌギ、静岡県(大井川流域以西)・石川県より西がアベマキの林になる。
私が以前訪れた愛知県の海上の森などではアベマキばかりでクヌギは皆無であった。
大阪府周辺の山ではアベマキはある場所とない場所があるという。
また、紀伊半島にアベマキは自生しないらしい。
このように、アベマキは特異的な分布をしている。
また、クヌギは朝鮮半島からの移入種であり、日本にあるものは全て植栽されたものという説もある。
中国では標高600~1500mにアベマキ、標高900~2200mにクヌギが生育しているという。
私の推測の域だが、元々日本にはクヌギはなく、暖地性のアベマキが分布しない地域(静岡県・石川県以東)に薪炭材を得る目的でクヌギを植林し、現在のようなすみわけになったのかもしれない。
また、長野県駒ケ根市の辺りではクヌギとアベマキが交雑帯を形成しているらしい。
交雑種はアベクヌギと呼ばれ、両者の中間的な形質を持つ。
アベクヌギに関しては私はまだ確認できていないので、見てみたい。