先日、関西へどんぐり探しの旅へ出掛けた。


まず、向かったのは兵庫県神戸市のポートアイランド南公園。

ここにはナラガシワが多く植栽されていると知ったので、訪れてみた。

到着するや否や、早速ナラガシワが見つかり、どんぐりも沢山落ちていた。

どんぐりは細長く、非常に大きかった。

ナラガシワは個体によって、どんぐりの形や大きさが随分異なる。

愛知県の名城公園、妙興寺で見たどんぐりも細長くて大きいタイプだったが、昨年秋に大阪府の長居植物園や京都府立植物園で見たどんぐりは、ずんぐりした形だった。


ナラガシワは通常、葉裏に星状毛があり、白色に見える。

それに対して、葉裏に星状毛がなく、緑色に見えるものをアオナラガシワというが、この公園では同一個体に双方の葉をつけた木があった。

左がナラガシワ型の葉。右がアオナラガシワ型の葉である。

よく観察してみたところ、日の当たる枝についた葉はナラガシワ型、ひこばえ等の日当たりの悪い場所についた葉はアオナラガシワ型であった。

また、実生の葉は全てアオナラガシワ型であった。
私が今までアオナラガシワだと思って見てきた木にも、このような個体があったのかもしれない。

また今度、じっくり見てみたいと思う。


同園のナラガシワにはナラ枯れの影響なのか、弱っている木も幾つか見られた。

(ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌によって、コナラやミズナラ等が集団的に枯損するもの)

また、同園ではカシワも植栽されており、中には非常に大きな葉をもつ個体もあった。


次は、神戸市立森林植物園に向かった。

園内の北アメリカ区にスカーレットオーク(ベニガシワ)があると知り訪れた。

昨年秋に、スカーレットオークを見に大阪府立大学理学部附属植物園を訪れたが、伐採されたようで、切り株だけが無残にも残っていたという苦い思い出がある。

それだけに、今回は期待していたのだが…。


確かに、スカーレットオークは3本植えられていた。

しかし、何れもナラ枯れによって衰弱しており、みすぼらしい姿となっていた。

すぐ近くにはレッドオーク(アカガシワ)もあったが、こちらもかなり衰弱している。

東京では殆ど被害を見ないが、関西ではナラ枯れは深刻なようだ。


翌日は大阪府堺市の荒山公園に向かった。

ここにはハナガガシが植えられているという。

少し探したが、多治速比売(たじはやひめ)神社へ向かう参道左側にあった。

高さ10mくらいで、東京の林試の森公園のものに比べれば若木である。

四国・九州が自生地の木だが、一体何故ここに1本だけあるのだろうか?


ところで、多治速比売神社の駐車場脇の竹林の中に、主幹が真っ直ぐと伸び、縦筋のある樹皮をした常緑樹が見えた。

ツブラジイっぽい感じもするが、ハナガガシのようにも見えなくもない。

近くで観察できなかったので正体は不明だが、ハナガガシだとしたら大発見だ。


ハナガガシは京都府立植物園の広場にも、実生で育てた若木があった。

関西では他に、和歌山県植物公園緑花センターでも見られるという。

いつか見に行ってみたい。


最後は大阪市の長居公園・長居植物園へ。

ここには昨年も訪れたが、その際にウィローオーク(ヤナギバナラ)の若木が植栽されているのを発見した。


このウィローオークのある一角には、他にも多くのブナ科樹木の若木が植栽されている。


帰りに、長居植物園の売店で売られていた「長居公園の樹木 ブナ科」という本を買った。

関西圏のどんぐりの木の自生地や学術的なことも書かれていて、中々面白かった。