森崎浩司、現役引退。

私はそのニュースを、発表から随分時間が経った夜、家族の何気ない会話から知りました。


そろそろ契約更改の時期だね。浩司はどうするかな。もう1年くらいやるよね。

前日そんな会話をしたばかりでした。


その時は、いえ、本当は今も、実感がなくて、事態を飲み込めず、時間が経って少しずつ理解したんだけど、やっぱり信じられない気持ちです。









引退の報を聞いてから、浩司はサンフレッチェにとって、私にとって、どういう存在だったか考えました。


たどり着いた結論は、浩司はいつもチームの中心にいて、太陽のようにみんなを照らしてくれる存在で、
そしてサンフレッチェサッカーの象徴。



皆さんご存知の通り浩司は双子で、兄のカズと共にプロ入りし、長くサンフレを支えてくれました。

面白いことに、同じ双子なのに二人は性格が全然違って、カズはどちらかというと物静かで縁の下の力持ちタイプなのに対し、浩司は人懐こくて若手にイジられたりする人。ひまわりのような笑顔が印象的な人。

人よりも辛く苦しいことが多かった浩司のサッカー人生。それでも思い出すのは笑顔ばかり。
それが森崎浩司という人なんだと思う。






サンフレで目立つのはアオであったり寿人であったりするけれど、サンフレッチェサッカーを一番に体現しているのは浩司だったと思うんだ。


浩司といえば、まずはFK。
サンフレ史上もっとも素晴らしいプレスキッカー。それが浩司だ。
FKでチームを救ってくれたこと、興奮させられたことは数え切れない。


だけど私はFKよりも何気ないプレーの方が浩司らしい気がして、そちらの方がより印象に残っている。

浩司の代名詞とも言える三人目の動き。これがサンフレの攻撃の生命線であるコンビネーションプレーには不可欠。
それを一番得意としているのは浩司で、浩司が輝いたのが悉く面白い試合であるのは必然なんだ。






重い、本当に重い病気をして、想像を絶する努力で復帰して、報われたと思ったら怪我で離脱して、治ったらまた離脱の繰り返し。

思い通りに進んだことなんて、数えるほどもなかったのかもしれない。やはりずっと苦しかったんだと思う。
だから「ホッとした。」そう言って晴れやかな表情をしている浩司を見たら、何も言えなくなっちゃった。
まあもともと浩司の決定にどうこう言う気はないけどね。


唯一本当によかったと思うのは、優勝の栄光を3度、浩司とカズと共に掴めたことなんだ。



2012年初優勝のときの笑顔は今も目に焼き付いている。
カズと二人でチャンピオンフラッグを手にしたあの光景は、言葉では言い表せなかった。







病気で生きるか死ぬかの時期があった。晩年はリハビリの日々だった。だけど浩司はいつだってサンフレッチェに選手として存在した。

サポーターにとって、チームにとって、浩司は唯一無二の存在。
たとえ戦列を離れていても、ここにいる。ただそれだけでよかった。闘っている浩司にサンフレは支えられていた。





サンフレッチェの選手として現役を終えたかったと、サンフレッチェ一筋でやってきたことが誇りだと、浩司はそう言ってくれた。


プレイヤー森崎浩司がいなくなるのはすごく寂しいけれど、その言葉はとても嬉しかった。



第二の人生も広島のために何かしたいと言ってくれているから、これからも広島にいてくれるのだと思う。
それも嬉しい。


だけどやっぱり、寂しい。
来年はもう浩司がいないなんて、信じられないよ。






寿人、カズ、そして浩司。
3人がいたから、サンフレはサンフレたり得た。
3人がいたから、私はサンフレに惹かれた。
3人がいないサンフレを、私は知らない。
浩司がいないサンフレは、どうなるのだろう。

サポーターですらそうなのだから、10年以上共に闘ってきた寿人とアオの寂しさは、28年間一緒にボールを追いかけてきたカズの心は、想像もつかない。











引退セレモニーが行われる福岡戦に盟友駒野がいること、浩司の最後のリーグ戦が岳人のいる新潟であること。

運命的なものを感じるのは私だけでしょうか。


福岡戦は浩司と、浩司に関わりの深い選手がスタメンになるらしい。もう本当に、完全な引退試合だよね。
井原監督も空気を読んで、コマをスタメンでお願いします(笑)






最終節広島対新潟。やっぱりガクは持ってるな。
ガクは出場できないんだけど、浩司のプレーをしっかりとその目に焼き付けてほしい。

広島の7番の後継者。少なくとも今一番それに近いのはガクだから。















太陽の申し子。
中野さんはそう言った。


実は私も前から似たようなことを思っていて、浩司は花だったらひまわりだと思うんだ。


秦基博『ひまわりの約束』

この歌は私がずっと浩司の歌だと思ってきた曲です。


歌詞全文↓
http://j-lyric.net/artist/a04c9d1/l032376.html




浩司が引退する時、きっとチームメイトやサポーターが先に泣くんだろう。
浩司はきっと泣きながらも、笑顔なんだろう。


だけど泣いてもいいんだって。
泣けるのは幸せなことだって、浩司が教えてくれたから。

















「お疲れ様」はまだ早い。
だけど「ありがとう」は常々思っているよ。

暗黒時代とも言える時代を闘い、辛い想いばかりして、それでもサンフレッチェに、広島に貢献してくれた浩司だから。

最後は悔いなく笑って終えてほしい。
最後くらいサッカーを思い切り楽しんでほしい。
いつでも心から笑っていてほしい。

そして、ゴールが見たい。





カズと寿人ともちろんアオと、浩司。サンフレッチェを象徴するメンバーが予想される明日福岡戦。

浩司を胸に刻みたいと思います。






全くまとまりがなくてすみませんm(__)m