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東京拘置所から医師が去って行く…現場が訴えた「医務部長の不当支配」 法務省へ5回も公益通報したのに
2025年6月16日 18時58分 (共同通信)
刑事施設で「不適切医療」 金沢と東京、調査申し入れ
法務省に申し入れ後、記者会見する金沢刑務所に勤務していた医師(手前)=16日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
金沢刑務所と東京拘置所で勤務していた医師や看護師らが16日、両施設で収容者への不適切な医療対応や医療スタッフへのパワハラなどがあったとして、法務省矯正局に適切な調査を求める申し入れをした。これまで公益通報をしてきたが十分な調査がなかったとし「正確な事実関係を把握し、適切な是正措置を講じること」を求めた。
申し入れ書によると、金沢刑務所では2023年ごろ、糖尿病患者へのインスリン投与を急に中止したり、摂食障害の受刑者への点滴指示を拒否したりした。こうした事態を公益通報した医師らが雇い止めや不当な人事異動を通知されたという。東京拘置所では、医務部長が医師らにパワハラ発言をしたほか、慣例に反する急な配転命令があったとしている。
金沢刑務所に勤務していた医師は東京都内で記者会見し「刑事施設の職員には依然として『一般に比べて医療水準が劣ってもいい』との根強い差別意識があると思う」と指摘。代理人の海渡雄一弁護士は「適切な医療を行おうとした人にひどい不利益が課されている」と述べた。
刑事施設で「不適切医療」 金沢と東京、調査申し入れ:東京新聞デジタル
東京新聞6月17日2025年
東京拘置所から医師が去って行く…現場が訴えた「医務部長の不当支配」 法務省へ5回も公益通報したのに
不当な人事異動やパワハラを受けたとして、東京拘置所(東京都)や金沢刑務所(金沢市)に勤務していた医師らが16日、法務省に公益通報による再調査や人事の撤回を求め、申し入れ書を提出した。(木原育子、福岡範行)
◆報復人事や強圧的な言動…法務省に調査を申し入れ
同日、医師や代理人弁護士計9人が記者会見した。申し入れ書によると、東京拘置所では医務部長の人事権の乱用を理由にこれまでに3人の常勤医師が退職。その結果、専門外の治療を求められた常勤内科医が適応障害を発症して休職するなど医師不足が深刻だという。
東京拘置所のパワハラについて記者会見する弁護士=東京・霞が関の司法記者クラブで(潟沼義樹撮影)
医務部長は、2カ月前に内示するとの慣例に反し、医師らに地方への異動を命じたほか、定年延長を希望する医師に対して「大丈夫」と説明しながら延長を認めなかった。「指示や方針に従えない者は辞めてもらう」と退職を強要するような発言もあったという。さらに本年度、「予算不足」を理由に、非常勤内科医4人を雇い止めにした。
医務部長による不当な人事異動が続いているとして、昨年11月から今年2月に医師らが5回にわたって法務省に公益通報した。その後、医師らのうち一人は医務部長から異動を命じられ、退職せざるを得ない状況だという。代理人の上本忠雄弁護士は「異動は公益通報に対する不利益処分で、直ちに撤回を求める」と訴えた。
◆金沢刑務所でも公益通報後に異動命令
金沢刑務所では、医療スタッフの対立で糖尿病の受刑者へのインスリン投与を中止したほか、摂食障害の収容者に点滴を処方しないなどの事案があり、公益通報した女性医師(49)が異動を命じられた。会見した医師は「不本意かつ不当な人事を受けたことで被った精神的苦痛や関連する公益通報の全容と放置の実態について、金沢刑務所の責任を明確にしたい」と訴えた。
法務省は「個別の人事について回答を控えている。申し入れはどのような意見があったかも、相手方がある話なので回答を控えている」とコメントした。
東京拘置所(資料写真)