安倍昭恵氏を証人喚問せよ
  森友学園事件の闇はなお深い
                                      前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 安倍昭恵氏がロシアでプーチンと面会した(プーチンには国際刑事裁判所から逮捕状が出ているから敬称は付けない)。
 涙に弱い日本人の中には、安倍晋三元首相について語るプーチンのリップサービスに涙を流す昭恵氏の姿を見て、プーチンに敬愛の念を抱いてしまう人もいるだろう。プーチンにしてみれば日本人の対露感情を好転させるいい機会だと思って面会したのだろうが、日本が対露制裁を続けていることを忘れてはいけない。

 昭恵氏は私人だと政府は言っていたはずだ。なぜ一私人がプーチンと面会できたのだ? 外務省がお膳立てをしなければそんなことは不可能だ。外務省は体を張っても止めるべきだった。

 昭恵氏にはもっとやってもらわなければならないことがある。
 国会に出てきて、森友学園事件についてやったこと、知っていることを洗いざらい話すことだ。

 森友学園事件の闇はなお深い。
 決裁文書改竄を苦に自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんに財務省が開示した文書には多数の欠落部分があった。
 その中には昭恵氏への言及が含まれていると思われる。欠落文書は廃棄したという政府の説明は虚偽である疑いが濃い。
 欠落文書はきっと存在する。
 財務省があくまで文書を開示しないなら、昭恵氏自身に話してもらうしかない。
 国会は昭恵氏を証人喚問するべきだ。
                  (6月1日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)