客観報道の罪
捏造による死刑判決は殺人罪にも匹敵する
鎌田 慧(ルポライター)
再審無罪判決のあと「東京新聞は」との主語で、毎日新聞は編集局
一家4人殺害や放火。この大事件の報道は連日マスコミで続けられ
担当した地裁裁判官が、無実の心証をもちながらも容疑者を犯人視
誤報と司法とが1人の人間の一生を破壊した。
読売新聞は謝罪しなかったが、1面中央に社会部長名で「検察は控
ところが謝罪のなかった朝日新聞は、10年前に再審開始を決定し
捜査機関の発表記事に対する、冤罪被害者の無実を叫ぶ声が取り上
捏造による死刑判決は殺人罪にも匹敵する。
その加害者の「控訴の可能性」を示唆する両論併記は、あまりにも権力寄りだ。 (10月1日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)