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 広島県

広島 水道管破裂で道路陥没 付近の地下で掘削伴う工事

 

26日午前、広島市で水道管が破裂して道路が陥没し、周辺の建物が傾いて一時、外に出られない人が相次ぎました。広島市下水道局によりますと、現場付近の地下ではけさ掘削を伴う工事が行われていたということで、警察や消防などが詳しい状況を調べています。

 
 

警察によりますと、26日午前9時前、広島市西区福島町で「道路が隆起している」などと通報がありました。

広島市によりますと現場の交差点付近では水道管が破裂し、道路が南北およそ40メートル、東西およそ15メートルにわたって陥没しました。

また、周辺の建物8棟が傾いたり、亀裂が入ったりして一時、外に出られない人も相次ぎ、市は交差点から半径50メートルの範囲の住民の避難誘導を行い、午前11時半すぎに全員の避難が完了したということです。

現場では近くの市営住宅や民家が歪んだり傾いたりしている様子が確認でき、建物の壁面には亀裂がいくつも入っていました。

警察と消防は周辺の住民に避難を呼びかけたあと、カメラを設置したりドローンを飛ばしたりして周囲の状況を確認したほか、重機を投入して対応にあたりました。

市下水道局が会見 “掘削作業中に異常な出水”

こうした事態を受けて、広島市は26日午後3時から、市役所で記者会見を開きました。

下水道局の担当者は今回の陥没について「市が発注した『雨水管』と呼ばれる設備を作るための事業で委託している業者が、地下およそ30メートルで掘削作業を行っていたところ、異常な出水が確認された。その後に道路が陥没し、陥没によって水道管が破断して道路に水があふれ出したとみられる」と述べました。

そのうえで異常な出水については「地下深くの工事のため、水道管の水とは考えにくい」として、地中に元々空洞があったり水がたまっていたりした可能性もあるとしています。

広島市によりますと、着工する前に行われた付近のボーリング調査では地盤の緩みや地質などに異常は見られず、空洞や水がたまっていた兆候は確認できなったとしていて、今後、出水の原因や掘削と陥没との関連などについて調査するとういことです。

今後、市と工事を委託されている業者は、避難している住民に対して賃貸住宅などの2次避難所を確保し、提供していくことにしています。

住民避難する小学校では

避難所となっている広島市西区の観音小学校の体育館などには、午後6時の時点で19世帯38人が避難しています。

市営住宅の1室に住んでいて妻とともに避難してきた79歳の男性は「隣の建物にはひびがいっぱい入っていて今にも倒壊しそうで、とても住めるような状態ではありませんでした。けさは自宅のベランダの戸が閉まらず不思議に思っていましたが、傾いているのだろうと思います。これからどう生活していこうかと考えています」と話していました。

95歳の女性は「初めてであり急なことで何をしてよいのかわからず、今は何も考えられません。家に帰れるようになってほしいです」と話していました。

町内会の副会長を務める74歳の男性は、近くの戸建ての住宅に住んでいて、各世帯に避難を呼びかけたり、近くに住む人を避難所に送り届けたりしたあと、妻とともに避難してきました。

副会長の男性は「お年寄りの1人暮らしが多い地域であり、いろんなお家を走り回ってきました。初めての経験でパニックになりましたが、何とか落ち着きました。今やっと自分の家のことを考え始め、自宅そばのアスファルトまでひびが入っているので、どうしようかと思っています」と話していました。

避難所では、午後からプライバシーを確保するための高さ1メートル80センチのパーテーションが運び込まれ、組み立てられていました。

市営住宅から家族で避難してきた75歳の男性は「避難所の中は仕切られましたが狭苦しく暑そうです。部屋着のまま家を飛び出してきてしまったし、避難所から早く出たいです」と話していました。

近所に勤務する女性 “道路沈み 家も傾いていた”

交差点近くの美容室に勤務する30代の女性は「出勤中に深く道路が沈んでいて、家も傾いているのを見ました。こんなことは初めてなので、怖かったです。きちんと調査をして原因を解明し、今後このようなことがないようにしてほしいです」と話していました。

地盤工学の専門家は

陥没が発生したことについて、地盤工学が専門で広島大学大学院の畠俊郎教授は、なんらかの要因で地中に空洞ができたことが考えられると指摘しています。

今後の見通しについては、水道管からの漏水は止まっているため、急激に状況が悪化することは考えにくいとしています。

そのうえで「地盤が不安定になっているため、建物の傾きがひどくなるとか、ガス管や下水道管などのライフラインにさらに不具合が発生して、生活に影響が出る可能性もある」と分析しています。

傾いている建物にこのあと住むことができるのかについては、一般的に傾いた建物を修繕する際には建物を下から持ち上げる「ジャッキアップ」という方法があるとしています。

ただ、この方法で修繕ができるかは、建物の被害の程度や地盤の状況によるということで、「下の地盤を直して建物を支えられるくらい健全になれば、水平に戻すことはできる。補修することで直せる範囲なら直せるが、建物が完全に破壊されている場合は再び住むことは難しい」
と話していました。

 

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