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健康 NHK
小林製薬 紅麹原料供給2社の製品でプベルル酸検出の原料使用か
小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、会社は、紅麹原料を供給していた2つの企業の製品で、青カビから作られる「プベルル酸」が検出された原料が使われた可能性があることを明らかにしました。2社の製品による健康被害の報告は今のところないとしています。
この問題をめぐって小林製薬は、厚生労働省から紅麹原料を供給した企業について、健康被害が指摘された「紅麹コレステヘルプ」などと同量以上の紅麹を、一日当たりに摂取することになる製品などがないか報告を求められ、
▽直接卸した52社と
▽そこから供給を受けた173社について
「該当する製品はいずれもない」と、ことし3月から4月にかけて報告していました。
しかし、7月に厚生労働省からの指摘を受けて、会社が改めて確認したところ、
▽52社のうち1社
▽173社のうち4社に
該当する製品があるのに報告が漏れていたことがわかり、このうち2社の製品には、青カビからつくられるプベルル酸が検出されたロットの紅麹原料が使われた可能性があると明らかにしました。
2社の製品は、
▽ノエビアが販売する「DHA&EPA」と
▽サンクウェルが販売する「脂減流」で、
すでに自主回収が進められ、健康被害についての報告は今のところないということです。
報告が漏れていた理由について、小林製薬は「会社独自の解釈で報告すべき対象と認識していなかった」と説明しています。
厚生労働省は小林製薬に対して、7月末までに再調査を行い、改めて報告するよう求めました。
小林製薬は「当社のいたらぬ点により皆様にご迷惑をおかけしてしまいましたことを重ねて心からおわび申し上げます」とコメントしています。
小林製薬 辞任の前会長に月額200万円の報酬支払いへ
小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、責任を取って辞任し特別顧問に就任した小林一雅前会長に対して、会社が月額200万円の報酬を支払うことがわかりました。
通常の顧問の4倍にあたるということです。
小林製薬では一連の問題の責任を取っていずれも創業家出身の小林一雅氏が会長を辞任し、小林章浩社長も辞任することが決まっています。
前会長は、7月23日付けで新たに特別顧問に就任していますが、会社は、報酬として月額200万円を支払うことを決めました。
これは、社内の規定で定められた通常の顧問に支払う報酬の4倍にあたるということです。
また、契約期間は通常の顧問は2年ですが、前会長が就いた特別顧問は3年だということです。
会社は「再建に向けて知見と経験をいかすことが有用であると判断して処遇を決めた」としています。
小林製薬をめぐっては、今回、辞任する社長と新たに社長に就任するいまの専務はそれぞれ月額報酬の一部を自主的に返上しますが、前会長は返上しないとしています。
これについて、会社は「取締役を辞任したため」と説明しています。
専門家「報酬200万円ありえない」
小林製薬が、一連の問題の責任を取って辞任し、特別顧問に就任した小林一雅前会長に月額200万円の報酬を支払うことについて、コーポレート・ガバナンス=企業統治に詳しい青山学院大学の八田進二名誉教授は、「200万円の報酬というのはありえない話で、それを認めた取締役会の判断もおかしいのではないか。危機意識を持って真摯に出直そうという姿勢が見えない」と述べ、会社の対応を批判しました。
その上で、「過去のガバナンス不全を断ち切ってスタートしないといけないのにできていない。組織全体にはびこる不正への鈍感さや危機意識のぜい弱さを払しょくし社会の信頼を回復するには、人心の一新が必要だ」と述べ、会社のガバナンス体制の再構築が必要だという認識を示しました。
医療・健康 NHK
小林製薬 紅麹問題 “青カビ発生 現場は認識” 外部有識者委
小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの問題について、会社側の対応を検証した外部の有識者委員会は報告書をまとめ、製造工場で青カビが発生していたことを現場の担当者は認識していたとした上で、「工場の品質管理は現場にほぼ一任する状況で人手不足が常態化していた」などと指摘しました。小林製薬は「指摘を重く受け止め信頼回復と再建に努める」としています。
小林製薬は今回の問題についての会社側の対応を検証するため、ことし4月から外部の弁護士3人で構成する「事実検証委員会」で調査を進め、結果をまとめた報告書を23日、公表しました。
それによりますと、紅麹原料を製造していた工場の関係者への聞き取り調査で、「紅麹を培養するタンクの内側に青カビが付着していたと品質管理の担当者に伝えたところ、青カビはある程度混じることがあると告げられた」という証言があったということです。
また、工場内の乾燥機が壊れ、紅麹原料が一定期間乾燥されないまま放置されていたという証言もあったということで、報告書では「今回の問題の原因かは不明であるものの、製造ラインの品質管理は現場の担当者にほぼ一任する状況で人手不足が常態化していた」と指摘しています。
また、ことし1月中旬から2月上旬にかけて健康被害が疑われる事例が相次いで報告されたものの、問題の公表までに2か月以上かかったことについては、「消費者の安全を最優先に考えることができていなかった。遅くとも2月上旬以降、被害の公表や製品回収に力点を置く姿勢が強く求められた」などと指摘しています。
これについて小林製薬は「健康食品の安全性に対する意識が不十分であり、消費者への注意喚起や製品回収の判断が遅れてしまった。指摘を重く受け止め信頼回復と再建に努める」としています。
小林製薬の取締役会 “社内取締役3人の責任は重い”
小林製薬は、外部の有識者による「事実検証委員会」の調査結果をもとに、取締役会としての「総括」を23日に公表しました。
この中では、健康被害が疑われる事例が報告されてからも、適切な経営判断ができていなかったことに加え、会社から取締役会や行政などへの報告がなかったことも重なり、消費者への注意喚起や製品回収の判断が遅れたとしています。
そのうえで、公表時期がことし3月となったことについては、「適切ではなかったと言わざるを得ない」としたうえで、業務執行を行う社内取締役3人の経営責任は重いと指摘しています。
このうち、小林一雅 会長については、今回の対応に直接関与していないものの、行政への報告の遅れなどもあり経営責任は重いとしたほか、小林章浩 社長については危機対応へのリーダーシップを発揮することができず、結果として公表の遅れなどを招いたことの経営責任は重大だとしています。
山根聡 専務についても、率先して危機対応に当たるべき立場にあり、経営責任は重いとする一方、会社をまとめるために必要な資質を備えていることも考慮し、社長に選定したとしています。
取締役会は今回の調査結果を踏まえ、会社の再建とコーポレートガバナンス=企業統治の抜本的な改革を行うための経営体制について来年3月の株主総会で諮る考えを明らかにしています。
武見厚労相「ガバナンスの立て直しを」
武見厚生労働大臣は記者団に対し「人事についてはコメントする立場にない」としたうえで、「報告書では、健康食品の安全性に関する意識の低さや、ガバナンスについてのさまざまな指摘がされている。小林製薬は真摯(しんし)に受け止め、再発防止策を早急に策定し、ガバナンスの立て直しに取り組んでもらいたい」と述べました。
その上で、小林製薬から報告されている死亡事例と製品の摂取との因果関係の調査について「自治体と協力をしながら、来月中旬ごろまでには大部分を終わらせられるようなスピード感を持って取り組んでいきたい」と述べました。
さらに再発防止に向けて、食品衛生法の施行規則を改正し、機能性表示食品を製造・販売する事業者に対し、健康被害の情報について、因果関係が明確でない段階でも、速やかに都道府県知事などに報告するようことし9月1日から義務づける方針を示しました。
会社の問題把握から公表までの経緯
小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの問題について、会社が問題を把握してから公表するまでの経過をまとめました。
小林製薬によりますと、医師から健康被害が疑われる最初の症例の報告があったのは、ことし1月15日でした。
その後も報告が相次いだことから、社内で検証を進めることになり、2月6日には小林社長にも報告されました。
しかし、会社が製品の自主回収を決め問題を公表して使用中止を呼びかけたのは、最初の報告から2か月以上がたった3月22日でした。
製品から想定しない成分が検出されたのは3月15日で、小林社長はその時点まで製品回収や消費者への注意喚起などの対策を率先して指示することはなかったということです。
外部の有識者委員会がまとめた報告書では、この対応について「遅くとも2月上旬以降には全社を挙げて早急に対応すべきだった」と指摘しています。
製品から検出された想定しない成分については、3月29日に青カビからつくられる「プベルル酸」という物質の可能性があるという調査結果が発表されました。
その後、ことし5月に厚生労働省と国の研究所が「工場内の青カビが培養段階で混入して、『プベルル酸』などの化合物がつくられたと推定される」と公表していて、現在も原因物質を特定するための調査が続いています。