日刊IWJガイド・非会員版「クリス・ヘッジズ氏、ガザのジェノサイドを『米国が主犯』、『西側諸国の道徳や人権尊重はすべて嘘』『我々は無知を装うことはできない!!』」2024.4.5号~No.4193

 

 

<号外!>「クリス・ヘッジズ氏が、ガザのジェノサイドを『米国が資金と、武器を提供している』、『西側諸国が誇る道徳や人権尊重は、すべて嘘』と批判!『我々は無知を装うことはできない!!』」

 

 おはようございます。IWJ編集部です。

 

 ピューリッツァー賞を受賞した作家・ジャーナリストであり、『ニューヨーク・タイムズ』の海外特派員を15年間務めた、米国のフリージャーナリスト、クリス・ヘッジズ氏が、3月30日、イスラエルによるガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイドは、米国が武器を供与しなければ不可能だと指摘し、西側諸国が誇らしげに掲げてきた「道徳や人権尊重はすべて嘘」であることを暴いた、と論じる記事を『サブスタック』上に発表しました。

 

 クリス・ヘッジズ氏は、1956年、米国バーモント州セントジョンズベリー生まれで、長老派の牧師でもあります。ハーバード大学の神学学校で大学院教育を受け、1983年には神学の修士号を取得するために復学しています。

 

 記事の題名は「予告されたジェノサイド ――ガザでの大量虐殺は、イスラエルが数十年前に始めたプロセスの最終段階である。この事態を予見できなかった者は、アパルトヘイト国家の性格と最終目標が見えていなかったのだ」です。

 

※A Genocide Foretold(The Chris Hedges Report、2024年3月30日)

https://chrishedges.substack.com/p/a-genocide-foretold

 

 ヘッジズ氏は、ガザ地区で行われている凄惨なジェノサイドについて、「米国が資金を提供し、武器輸送で維持している」と指摘、このジェノサイドは「我々(西側諸国)が誇る道徳や人権尊重は、すべて嘘である」ことを暴いている、と訴えています。

 

 ヘッジズ氏は、西側諸国が誇らしげに掲げる「道徳や人権尊重」や「法の支配」には、有色人種、特に貧しく弱い立場にある人々は数に入らず、西側諸国は「人種差別的な暴力によって世界支配を確実にしている」と批判しています。

 

 世界中に「ライブ配信で」進められているガザでのジェノサイドを西側諸国は支援し続けていますが、その「嘘」については、パレスチナ人だけではなく、西欧列強の植民地支配や侮蔑的な差別に苦しんできたグローバル・サウスに住むすべての人々、アメリカ先住民の虐殺と黒人奴隷の搾取の上に建国された米国の、白人以外の米国人達は、「何世紀にもわたって、身を持って知っている」とヘッジズ氏は述べています。

 

 イスラエルが求めるラファへの地上侵攻、即ち、ガザのパレスチナ人の最終絶滅のための攻撃をめぐって、米国とイスラエル、国際社会とイスラエル・米国の間の緊張が日に日に高まっています。

 

 ラファへの地上侵攻を強行しようとするイスラエルに対して、国連安保理は3月25日、ラマダン期間中の停戦を決議しました。「停戦」を含む決議案に対して拒否権を発動し、採択を阻止し続けてきた米国がついに屈した形ですが、米国はまだこの決議案には「法的拘束力はない」などと、恥知らずにも、国連憲章に反する主張をし続けています。

 

※【第2弾! 国連安保理でガザ停戦を要求する決議が採択されるも、米国務省報道官は「決議は執行義務を負うものではない」と、その法的拘束力を一方的に否定! イスラエル外相は、イスラエル軍は人質全員が解放されるまで戦闘は停止しないと宣言!】安保理決議の拘束力は国連憲章第25条に明記! ラマダン期間中のガザ地区における即時停戦要求を含む決議の採択では、議場に拍手が沸き起こる! イラン人専門家は「この拍手は、戦争を継続させようとするバイデンの努力に対する計り知れない憤りを反映している」とコメント!(米国務省、25日ほか)(日刊IWJガイド、2024.3.28号)

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240328#idx-8

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53346#idx-8

 

 3月28日には、国際司法裁判所(ICJ)が、イスラエルに対して、パレスチナ自治区ガザのパレスチナ人に基本的な食料を遅滞なく届けるために必要かつ効果的な措置を講じるよう全会一致で命じました。

 

 イスラエルは、ラファへの全面的な地上侵攻こそまだ強行してはいないものの、連日、空爆その他の攻撃・殺戮は続けていますし、全面的な地上侵攻についても、「やるかやらないかではない、いつやるかだ」と強硬な姿勢を示し、ガザでのジェノサイドをやめる気配は一切ありません。

 

※【第2弾! 国際司法裁判所が28日にイスラエルに対して基本的な食糧を難民に届けるように命令! しかし、日々、イスラエル軍は、ハマス掃討とは何の関係もない単なる人殺しを無差別に続行!】(『ロイター』2024年3月29日ほか)集団で狂っていないとできない凶行!! 何が「神に選ばれし民」なのか!?(日刊IWJガイド、2024.3.30号)

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240330#idx-7

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53350#idx-7

 

 バイデン政権は、表ではイスラエルに対して「民間人の犠牲者を少なくすべきだ」などと注文をつけたりしていますが、これは偽善的な仮面に過ぎず、その裏ではイスラエルがパレスチナ人を殺戮するための武器・弾薬支援を切れ目なく継続しています。

 

 『ワシントン・ポスト』は29日、バイデン政権はイスラエルに「1800個以上のMK84・2000ポンド爆弾と、500個のMK82・500ポンド爆弾」などを含む新たな武器支援をするとスクープしました。

 

 MK84・2000ポンド爆弾は、イラクなどで用いられた「バンカーバスター」の一種です。地上では爆発せず、地中深くで爆発し、ハマスの地下トンネルを破壊します。『CNN』は、昨年12月の時点で、すでに500発以上がガザ地区に投下されたと分析しています。

 

 MK84・2000ポンド爆弾は、周辺300m圏内、つまり直径にして600mの範囲への殺傷能力を持つとされています。概算になりますが、MK84・2000ポンド爆弾4つで少なくとも1km四方を破壊することができる能力があることになります。

 

 ガザ地区の総面積は、365平方キロメートルです。つまり、365×4個=1460個のMK84・2000ポンド爆弾でガザ地区を絨毯爆撃すれば、ガザ地区に生きるものをすべて爆殺し、ガザ地区を破壊し尽くすことができる計算となります。バイデン政権は、絶滅させる以上の量のMK84・2000ポンド爆弾をイスラエルに提供しています。途方もないジェノサイドへの加担であり、米国こそが、ジェノサイドの主犯であり、イスラエルはその実行犯であるとも言えます。

 

※【第3弾! バイデン政権は、ガザでジェノサイドを続けるイスラエルへの武器支援を新たに承認! 300m以上離れた人々を殺傷する能力をもつ2000ポンド爆弾1800個以上も含まれている!】これは破壊力から言ったら、核分裂を起こさず、放射能をばら撒かないだけの大量破壊兵器! 核兵器の投下と匹敵する破壊力、ガザ住民の絶滅力をもち、その後、イスラエルに接収する土壌を放射能汚染しない! イスラエルと米国は、虐殺後の跡地利用すら考えている!(『ワシントン・ポスト』、2024年3月29日)(日刊IWJガイド、2024.4.1号)

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240401#idx-7

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53353#idx-7

 

 世界銀行や欧州連合(EU)と国連が発表した、イスラエル・ハマス戦争を巡る新たな報告書によれば、イスラエルによるガザへの軍事攻撃で、約185億ドル(約2兆8000億円)相当のインフラが破壊されました。3日付『ブルームバーグ』などが報じました。

 

 ガザ地区のパレスチナ人の約74%が失業しており、同地域の域内総生産(GDP)は、昨年10-12月(第4四半期)に86%減少しました。

 

 同報告書は、「現在進行中の紛争によってガザ経済が受けた衝撃は、最近の経済史上で最大級となっている」と警鐘を鳴らしています。

 

※ガザの戦争被害は約2兆8000億円、最近の経済史上で最大級 - 報告書(ブルームバーグ、2024年4月3日)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-03/SBC6URT0G1KW00

 

 バイデン政権高官らとイスラエル政府高官らの会談が続いていますが、それはラファへの地上侵攻を止めるようなものではなく、いかに国際社会の批判をかわしながら、ガザのジェノサイドを完遂するかの会談であろうと推測されます。

 

 クリス・ヘッジズ氏は、2月初旬の段階で、いち早く、イスラエルはガザで「飢餓ジェノサイド」を行っている、と暴きました。爆弾は強力ですが、その犠牲者は今のところ、数万人の規模です。しかし、「飢餓ジェノサイド」は、食料支援を妨害すれば、数ヶ月もかからずに数百万人を餓死へと追いやることができます。まさに、パレスチナ人の公開絶滅計画です。ナチスのホロコースト以上の邪悪さです。

 

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』海外特派員で、ピューリッツァー賞を受賞したフリージャーナリスト、クリス・ヘッジズ氏が「ガザにおけるイスラエルのジェノサイド、組織的な大規模飢餓の最終段階が始まった」「イスラエルの飢餓ジェノサイドはナチスを超える」と、国際社会に向けて警鐘! 2024.2.11

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521612

 

 イスラエル軍は、10月7日以来、避難所にもなっている病院や国連学校への攻撃や、ガザへの医療や水・食料などの人道支援をする団体への非人道的な攻撃を続けています。

 

 ガザでのジェノサイドが、完遂を目指して着実に進められています。本来ならば、マスメディアは、連日大きく取り上げ、強く非難するべきですが、西側のマスメディア、とりわけ日本のマスメディアは、目をそむけて、この陰惨な事態を大きく報じようとしません。

 

 クリス・ヘッジズ氏は、人々を無知のままにしておく罪、無知のままであろうとする人々の罪について、鋭く核心をついた批判を行っています。

 

 「我々は無知を装うことはできない。我々はパレスチナ人に何が起こっているかを知っている。パレスチナ人に何が起きているのかを知っている。これからパレスチナ人に何が起こるかも知っている」。

 

 この状況にいち早く警鐘を鳴らしてきた、クリス・ヘッジズ氏の現状についての論考を、IWJでは全文仮訳・粗訳しました。

 

 ぜひ、お読みいただき、この犯罪を見過ごしている日本のメディアの罪、そして知ろうとしない人々の罪について、ぜひ、お考えをめぐらせていただきたいと思います。