沙羅双樹の花の色 諸行無常の響きあり・・・
ああ無常 …
〈 色は匂へど散りぬるを 〉 諸行無常
〈 我が世たれぞ常ならむ 〉 是生滅法
〈 有為の奥山今日越えて 〉 生滅滅已
浅き夢見じ酔ひもせず・・・
《平家物語》冒頭
〈祇園精舎の鐘の声,諸行無常の響あり〉
インドの祇園精舎に重病人を収容する無常院があって,
人の死にあたって鐘が打たれた・・・
沙羅双樹 さらそうじゅ
1.フタバガキ科の常緑高木。高さ約30メートルに及び、葉は光沢のある大きな卵形。
花は淡黄色で小さい。
材は堅く、建築・器具用。樹脂は瀝青(れきせい)(チャン)の代用となり、種子から油をとる。
インドの原産。さらのき。さらじゅ。しゃらそうじゅ。
2.釈迦がインドのクシナガラ城外のバッダイ河畔で涅槃(ねはん)に入った時、四方にあったという同根の2本ずつの娑羅樹。
入滅の際には、一双につき1本ずつ枯れたという。
しゃらそうじゅ。
3.ナツツバキの俗称? 俗称が夏ツバキ?
「沙羅双樹」は、淡くて黄色の小さな花を咲かせる樹木。
開花時期は3~7月ごろで、4月が見ごろ。
花の香りはオレンジやジャスミンが合わさったような爽やかな香りが特徴
【沙羅双樹の基本情報】
科:フタバガキ科
属:コディアウエム属
原産国:インド
分類:常緑高木
開花時期:3~7月
別名:沙羅の木
「沙羅双樹」はインドの中北部からヒマラヤの暑い地域に分布しており、
日本では温室環境のある植物園でしか見られません。
日本の寺院などでは夏椿が代用されている
寒さに弱い「沙羅双樹」は、日本の気候に適していないため、日本では見た目の似ている夏椿を「沙羅双樹」の代用として寺院などに植えられています。
夏椿とは5~7月頃に白の花を咲かせ、秋には紅葉を楽しめる樹木
朝に花を咲かせ、夕方には散ってしまう一日花であることから、
儚さを表現している「沙羅双樹」に似ていると
【夏椿の基本情報】
科:ツバキ科
属:ナツツバキ属
原産国:日本
分類:落葉広葉、小高木
開花時期:5~7月
別名:沙羅双樹、沙羅の木、沙羅
地域によっては、すべすべとした木肌からサルスベリとも呼ばれている植物です。またタイやベトナム、ミャンマーといった国では、ホウガンノキを沙羅双樹の代わりにしています。
【ホウガンノキの基本情報】
科:サガリバナ科
属:ホウガンノキ属
原産国:南アメリカ
分類:常緑高木
開花時期:3~5月
別名:ホウガンボク
ホウガンノキは、サーモンピンクの色をした花を咲かせることが特徴です。
花が咲いた後に10~20cmほどの砲丸のような実を実らせることから、ホウガンノキと呼ばれています。
花言葉は付けられていない
「沙羅双樹」には、花言葉がありません。ときおり「沙羅双樹」の花言葉が「愛らしい」といわれることがありますが、これは夏椿の花言葉で夏椿にはほかにも「はかない美しさ」「愛らしい人」「哀愁」といった花言葉がありますが「沙羅双樹」と夏椿は別の樹木であるため、同じ花言葉を持つわけではありません。
「沙羅双樹」の由来や歴史
「沙羅双樹」の由来は、お釈迦様の入滅が関係
お釈迦様が入滅した際に、2本の対になった「沙羅双樹」が生えていたことが由来
「沙羅双樹」は、三大聖木のひとつといわれており、仏教において重要な樹木。
どの木もお釈迦様と深い関わりを持っており、仏教において欠かせない樹木とされています。
お釈迦様が入滅した場所に成育していた
「沙羅双樹」の由来は、お釈迦様が入滅した場所に成育していた。
お釈迦様が旅の途中で最期を迎える場所に選んだところに、2本の対になった「沙羅双樹」が成育していた?
またお釈迦様が亡くなる際に、「沙羅双樹」は花を咲かせており、良い香りが周囲に漂っていた?
その後、一度は枯れたものの、お釈迦様の入滅を悲しんで、再度花を咲かせ、お釈迦様の周囲を埋め付くすかのように、花びらが舞い散ったといわれているようです。
「沙羅双樹」の由来は諸説あるものの、沙羅の木が2本生えていた様子を指して「沙羅双樹」と呼ばれるようになったのです。
「沙羅双樹」は三大聖木のひとつ
『平家物語』にも登場する
「沙羅双樹」は、『平家物語』に登場する樹木としても有名
『平家物語』とは、鎌倉時代にできたとされている軍記物語
平安時代に活躍した琵琶法師によって広められた・・・
祗園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必滅の理をあらはす
・・・