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地球温暖化のカギにぎる「グリーンランド」 
  世界平均の2倍ペースで進む気温上昇 
  失われた氷は関東地方の80%以上の広さ
 

     「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その532
  島村英紀(地球物理学者)


  ともにデンマーク領だったアイスランドとグリーンランド。両方とも氷河の国だが、アイスランドと名付けたのは失敗した。観光客も来てくれないからだ。もっとも北の島をグリーンランド(緑の島)と名付けたのはこんな事情がある。

 グリーンランドの氷を掘り下げていったときに、
1783年に浅間山が大噴火して出た火山灰と同じものが見つかったこともある。地球を半周したわけだ。火山灰をはさんでいた氷の年代と、火山灰のことが分かったのだ。このように、火山灰は世界をめぐることが珍しくはない。

 グリーンランドは世界最大の島だ。世界で広く使われていて、南北が拡大されるメルカトール図法のせいで、地図では大きく見えるが、それでも世界最大の島であることに変わりない。
 210万平方キロの面積の大半は、氷床と氷河におおわれており、そこに6万人弱が暮らす。

 そのグリーンランドにある氷がすさまじい勢いで減っている。
 失われた氷はグリーンランドにある氷の総面積の約1、6%。これは日本の関東地方の80%以上の広さに当たるほどだ。

 
グリーンランドの中で氷が失われた地域は、過去30年間で、ニューヨーク市のほぼ36倍に上ることが2月中旬の研究報告で明らかになった。
 これらの土地は、湿地帯や低木地帯に急速に取って代わっている。融解した氷から流れ出る水が堆積(たいせき)物や沈泥を動かし、やがて湿地と沼沢地を形成するのだ。

 雪と、氷が太陽エネルギーを反射して、地球の過度な温暖化を局地的に防いでいる。
 しかし
氷が失われれば、その地域は太陽エネルギーをより吸収するようになって地表の温度が上昇。一段の融解やその他の悪影響を引き起こしかねない。

 1970年代以降、グリーンランドの温暖化は、世界平均の2倍のペースで進んでいる。2007~12年にかけてのグリーンランドの年間平均気温は、1979~2000年よりも3度も高い。

 こうした傾向は、今後もっと加速すると予想されている。なぜなら、地球温暖化で雪や氷が解けると、それがさらに温暖化を加速させるような変化を引き起こすからだ。
 
世界最大の島・グリーンランドの温暖化は世界に多大な影響を与える可能性があるのだ。

         (島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/
  「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2月24日の記事