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【3月1日付社説】政治倫理審査会/説明責任を果たしていない
全面公開で行われたものの、国民が抱く多くの疑念はまったく晴らされていない。これで説明責任を果たしたと考えるのであれば、政治不信の払拭は不可能だ。
自民党派閥の政治資金パーティ ー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会が開かれ、党総裁の岸田文雄首相が現職首相として初めて出席し、弁明した。
首相は自身の派閥の政治資金収支報告書の不記載について「事務処理上の疎漏によるもの」と説明した。2022年に計7回開催され、1億円を超える収入を得た自身のパーティーについては「勉強会であり、政治資金パーティーではない」と弁明した。
これまで予算委員会など国会で繰り返してきた答弁と同じ説明に終始した。大臣規範では大規模なパーティーは自粛が求められている。首相は自身のパーティーについて「在任中は開催しない」と明言したが、当然の判断だ。
事件を巡っては組織的な裏金づくりの開始時期や目的、議員の使い道などに疑惑の目が向けられている。しかし首相は「党の聞き取り調査で関係者に質問を繰り返したが、はっきりした経緯や日時は確認できていない」と語り、真相解明への熱意は感じられなかった。
総裁として「強い危機感」をにじませ、政倫審出席という異例の対応を見せても実態解明に進展がなければ、及び腰との批判は避けられまい。首相の信頼回復に向けた姿勢そのものに疑問符が付く。
疑念を十分に払拭できる発言がなかったのは、これまで党が実施してきた調査が不十分であったことを露呈したともいえる。議員個人への聞き取りやアンケートにとどめることなく、調査を外部機関に委託するなどして真相解明に取り組む必要がある。