”あなたの静岡新聞” 記者さん、貴重な記事をありがとうございます。
当ブログ管理人は数十年前、大学病院整形外科実習で骨肉腫を発症した中学生を受け持たせていただき、彼女から学びきれない多くのことを教えていただきました。
当時、骨肉腫の発症率は、10万人に一人でした
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日本は1979年、国際人権規約(自由権規約:社会権規約)を批准しています。
現在では、日本は8つの人権条約(※※※)を批准済みであるにもかかわらず、未だ、ひとつも個人通報制度を批准していません。
個人通報制度に日本が加入すると、個人の人権侵害の救済につながるだけでなく、条約機関から人権侵害の原因となる法制度の改善を日本が国として求められることになり、日本の国内制度が国際人権基準に沿って改善される道を開くことにつながります。
ごいっしょに、8つの人権条約に備わっている個人通報制度(※※)の批准を実現し、日本国憲法を守り、活用し、こどもたちと市民の命と人権第一の国際人権基準に沿った希望ある政治に転換しましょう (=^・^=)
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日本国憲法 第98条「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
第2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」
憲法第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」
※※※
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)
個人通報制度とは、人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度です。
人権侵害を受けた個人は、その国において利用できる国内的な救済措置を尽くした後であれば誰でも通報する事ができます。その通報が受理され、審議された後に条約機関はその通報に対する見解(views)を出します。
見解には拘束力はありませんが、国際・国内の世論を高めることで国内法の改正を図り、人権侵害の救済・是正を目指します。
「個人通報制度」を導入する方法
条約本体に定めのあるもの‐内閣受諾宣言
閣議決定をすれば、その日のうちに外務省:人権人道課・条約履行室長が、国連高等弁務官事務所にFAX送付すると批准手続きを完了します。
人種差別撤廃条約、強制失踪条約、拷問等禁止条約
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)
強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(強制失踪条約)
拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(拷問等禁止条約)
選択議定書で定めるもの―国会の承認と内閣の批准(受諾宣言)
自由権規約第一選択議定書
障害者の権利に関する条約選択議定書
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がんと闘った高校生 苦痛からの解放 右足失う決心、迷いなく【歩生が夢見た卒業 第2章・高校時代①】
ポーズを取る寺田歩生さん。高校1年の冬に右足を切断した=2020年3月、磐田市内(歩生さんの両親提供)
2019年4月、念願の静岡県立磐田北高に入学した磐田市の寺田歩生[あゆみ]さん。骨肉腫のがん細胞は既に肺転移していたが、比較的元気で両親に車で送迎してもらいながら登校した。部活動は生活文化部に入り、好きな手芸を楽しんだ。ほぼ毎日学校に通ったが、夏ごろ、右足に強い痛みが現れ始めた。 痛みは、相当だったようだ。
国立がん研究センター(東京)での治療に付き添った姉侑加さん(27)が就寝中、ふと目を覚ますと、ベッドサイドに座り右足をさする妹の姿が暗闇の中にあった。話しかけても無言の時もあった。薬が効いた日中は明るかったが、「夜は別人だった」。
7月、同センターでの検査で右肺の腫瘍の拡大が判明し、右足と右肺への放射線治療が始まった。たくさん思い出を残そうと、3姉妹で東京ディズニーシーに出かけたのはこの頃だ。
右足の腫瘍が皮膚の外に吹き出し、精神的にも参っている姿を見かねた主治医の荒川歩医師(44)は、「足を切断する選択肢もある」と提案した。歩生さんの母有希子さん(54)は驚いたが、「使えない足なら要らない」と、本人は言い切った。
荒川医師によると、足を切断するのは、命を救える場合と、治る見込みはほぼないが強い痛みなどで日常生活が損なわれるだけになっている場合。歩生さんは後者だった。選択肢がないとはいえ、大人でもなかなか決められないという。「思春期の女の子にとって大変な決断だが、歩生さんは自ら決め、立派だった」。主治医は振り返る。
12月9日。右足は根元から切り離された。周囲の心配をよそに、本人は前向きだった。家族には「すっきりした」と語った。少なくとも家族や医療関係者の前で、涙や心の乱れは見せなかった。義足をつくる提案も「要らない」と断った。
精神的なつらさから解放されたのか、術後1週間後に病室のベッドの上で、黒いニット帽で覆面し、両手を広げてスパイダーマンのようなポーズを取る、ちゃめっ気あふれる写真が残されている。「右足を取ってからは素直に弱音もはいてくれた」。同校の当時の養護教諭増田紀子さん(46)=現浜名高=は、歩生さんの変化を感じ取った。
手術や通院で欠席が増え進級に必要な出席日数が不足していた歩生さんは、年度末、もう一つの大きな選択を迫られることになる。
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高校に進学した寺田歩生さんには、病状悪化による右足の切断などさまざまな試練が待ち構えていた。一方、学業に目覚め、本気で卒業を目指した。静岡県内の県立高では前例がなかったある試みに挑み、それまでなかなか実現しなかった高校教育の現場に風穴を開けた。そんな高校時代をたどる。
<メモ>寺田歩生さんや家族は、治療で上京した際、公益財団法人「がんの子どもを守る会」が運営するアフラックペアレンツハウスを利用した。小児がんなどの難病の子どもとその家族のための総合支援施設で、患者本人は無料、家族は1泊1000円で利用できる。専門のカウンセラーが、さまざまな悩みや困りごと相談にも乗ってくれる。歩生さんの姉侑加さんは「ペアレンツハウスで歩生と大切な時間を過ごすことができた」と振り返る。
※第2章・高校時代② 留年選択「卒業目指す」 家族の総意【青春を生きて 歩生が夢見た卒業】に続く
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国立がん研究センター HPより
小児の肉腫(しょうにのこつにくしゅ)
更新日 : 2023年10月10日
公開日:2014年4月28日
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小児の肉腫について
小児期に発生する肉腫は骨肉腫に代表される骨腫瘍と横紋筋肉腫に代表される軟部腫瘍に大別されます。骨腫瘍の中では骨肉腫が最も多く、ユーイング肉腫がその次です。軟部腫瘍では横紋筋肉腫が最も多いといわれています。その頻度は20歳以下の小児が登録される日本小児血液・がん学会疾患登録(2020年)では年間骨肉腫40例、ユーイング肉腫42例、横紋筋肉腫52例です。
骨肉腫
骨肉腫は成長期である10歳代の四肢、特に膝関節周辺に好発する悪性腫瘍です。
原因は不明ですが、成長期である10歳代に最も多く全体の60%を占めることから、骨成長の速さと骨肉腫の発症の関連性が提唱されています。
発症部位は約70%が膝関節周囲で大腿骨遠位端、脛骨近位骨幹端、次に10%が上腕骨近位骨幹端です。
症状は進行性の疼痛と患部の主張(※)が特徴です。
骨肉腫に対する治療は最初に抗がん剤を使って術前化学療法を行い、その後腫瘍切除術、術後に再度化学療法を行います。全体の治療期間は10カ月から1年位です。1970年代以降メソトレキセート大量療法(HD-MTX)、アドリアマイシン(ADR)とシスプラチン(CDDP)、イフォスファミド(IFO)の有効性が欧米で行われた臨床試験で次々に示され、現在ではこの4剤が骨肉腫に対する化学療法に標準的に用いられる薬剤となっています。わが国では多施設共同試験(NECO95-J)が行われ、その結果は欧米からの最新の報告と比較しても遜色ないものであり、現時点でわが国における標準治療と位置づけてよいと考えられています。具体的には術前化学療法としてHD-MTXとADR、CDDPを組み合わせたMAP療法を行い、その後腫瘍摘出術を行います。摘出標本の腫瘍の壊死率により術前化学療法の有効例にはそのままMAP療法で継続し、無効例にはMAP療法にIFOを加えた4剤で治療を行います。
現在は術前化学療法の効果が不十分であったstandard response症例に対して術後化学療法にIFOを追加することが予後を改善するかについての臨床試験が進行中です(JCOG0905)。初診時転移例に対する治療法は確立されたものはなく、依然として予後不良です。治療は施設の方針に沿って行われていますが、基本骨格は限局例と同様に化学療法を行い、原発巣も転移巣も含めできる限り切除する方法がとられています。最初に診断されたときに他の部位に転移がなければ適切な治療により約70%の患者さんが治癒します。
※「主張」は「腫脹」の変換ミスと考えます。
「腫脹」は、腫瘍(しゅよう)・炎症などによって身体組織の一部分がはれあがること。
:ブログ管理人
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新潟大学大学院医歯学総合研究科 川島寛之教授
5年生存率は70%に 子どもに多い希少がん「骨肉腫」
医の手帳・骨肉腫
骨にじかに発生する悪性腫瘍(しゅよう)・がんのうち、最も頻度が高いのが骨肉腫です。とはいえ、発生頻度は人口100万人当たり年に2~3人、全てのがんのうちの0・2%程度と少なく、希少がんの一つとされています。高齢者の内臓に発生する一般的ながんとは異なり、骨の成長時期である15歳前後のひざや股関節、肩などの近くに生じることが多いのが特徴です。
始めの症状は運動時の痛みが多いのですが、中高生に多いため運動のし過ぎや成長痛と考えられてしばらく放置されてしまうこともあります。よって、けがをしていないのに骨に痛みや腫れが生じた場合には注意が必要です。
診断はX線やCT、MRIなどの画像検査や血液検査などで行います。最終的に診断を確定するには、病変部から組織の一部を採取し、顕微鏡で観察する病理検査が必要です。発生頻度が少ないため、専門的な治療を行っている医師や病院も限られています。
治療法は診断確定時の進行具合によって変わりますが、多くの場合は抗がん剤と手術を組み合わせて行います。まず点滴による全身的な抗がん剤治療を行い、病変の縮小や目に見えない小さな病変の駆逐を目指します。いくつかの薬を組み合わせて行い、治療期間は数カ月に及ぶこともあります。その後、手術が可能であれば病変部を切除します。腫瘍を取り残すことがないようにしっかりと切除することが大事で、切除した後には可能な限り手足を残せるように、切除した部分を再建する手術も行います。金属製の特殊な人工関節を用いて再建する方法や、切除した自分の骨を放射線や液体窒素で処理して骨肉腫細胞を死滅させた後に、元の位置に戻して再建する方法などがあり、それぞれの患者さんにあった手術法が選択されます。
手術の後には、再び抗がん剤治療を行うことで根治を目指しますが、治療開始から終了までに1年近くを要することもあります。病状によっては切断の手術が免れない場合もありますが、近年は義足や義手の改良が進み、手術後の日常生活機能も改善しています。また、特殊な放射線治療の重粒子線や陽子線治療も行われるようになっており、手術が困難な患者さんに対する新たな治療法として注目されています。
1970年代までは骨肉腫の5年生存率は10%前後でしたが、様々な治療法の発達で、現在では70%程度まで改善しています。しかし30年以上、骨肉腫の新しい治療薬は開発されておらず、肺などの臓器に転移した場合には、現在でも治療に難渋します。
希少がんですが、子どもに多く発生するがんでもあり、更なる治療法の開発が期待されている病気でもあります。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 川島寛之教授)
骨のがん がんが他の臓器から骨に転移する「転移性骨腫瘍(しゅよう)」と、骨自体から発生する「原発性骨悪性腫瘍」がある。骨肉腫は、原発性骨悪性腫瘍の代表的なもので、他に主に40代以上にみられる軟骨肉腫、若い人に多いユーイング肉腫などがある。