避難住宅追い出し訴訟(仮称)

第10回公判
「被告」Aさんを応援する傍聴者

満席であふれ出す
提訴した「原告東京都」の

小池知事よ、人として恥を知れ!
 

     横田朔子(たんぽぽ舎)

◎現在、都内には福島からの「区域外」避難者が、打ち切られた避難住宅に
まだ何十世帯も残留せざるを得ない状況にあります。
 こうした中で2022年2月東京都は、あろうことか残留世帯の中からたった一人の避難者Aさんを選別し提訴しました。
 「被告」のAさんは、
原告団長として多くの避難者の代表として闘いつつ、この裁判では「被告人」として、避難住宅の明渡しと損害金(200万円近い)を要求され、理不尽な闘いを強いられています

 Aさんを始め、東電福島第一原発の過酷事故の全ての原発被害者・避難者は、何ひとつ悪いことをしたわけではありません。


 13年間近く経た今なお、理不尽で過酷な生活を強いられながら、全国各地で裁判闘争を闘っているのです。

◎1月31日(水)13:30より東京地裁615号法廷で第10回公判が行われました。
 今回は、初めて「被告人」Aさんの本人尋問の日で、傍聴者は70人を超え、50席ほどの小さな法廷の傍聴席は満席。あふれ出た30人近くの支援者たちは、別室で裁判が終わるまでの間、Aさんのご家族と一緒に話合い、交流しました。

 その中でご家族から、『「被告人」の本人尋問は約30分間行われるが、裁判所に提出済みの陳述書やメモなどペーパー類は一切見ることを禁止されている』と聞かされ、裁判事情にうとい私は、びっくりしました。支援者の方が「以前自分が原告だった時はそんな禁止は無かったのに」とあきれていました。

 それでもこの貴重な本人尋問の場で、「Aさんは何も見ず、
自分を含め避難生活者のこれまでの過酷な日常生活、福島県内・元の勤務先等での放射能汚染の現状等、実際に見て歩いて放射能測定した事実に即して説得力のある話をされた。堂々としてかっこよかったよ!」と、傍聴した知人から聞き、Aさんの凜とした姿が目に浮かび思わず涙しました。
 公判の終わる前に私たちは弁護士会館に移動し、Aさんや弁護団の報告を待つことにしました。

【報告会】
◎弁護士の報告

 若い野口弁護士のきびきびした進行で、弁護士から報告をうけました。
 森川弁護士は、「主任弁護士が今日来れなくて、ピンチヒッターの野口弁護士が頑張ってくれた。私は、避難住宅に住んでいる高齢者の方たちの相談を受けている。だんだん東京都の態度が緩くなってきているようだ。次回第11回公判で結審にされるかもと思っていたが、裁判所側は通常の裁判よりも慎重に進める様子だ。今後の見通しとして、和解もあり得るのではないか。この裁判が敗北したら、他の裁判にも(悪い)影響を与える。福島に家があって避難している人は、請求されている避難
先の家賃の支払いは負担が重い。今の状況下では、裁判はいい方向だと思っている。」とのことでした。

 質問では、「和解はこちらの勝利につながるのか?」「和解するとしたらその内容は?」等が出されたが、まだ見通しの段階で具体的にどうなるかは、今後の公判での闘いの経緯を見ていくしかないと思いました。

◎被告のAさんの報告

 Aさんは、「溢れる皆さん方から応援されていることが心の支えになっている。裁判長より、『今日主任弁護士がいないけどやっていいですか?』と聞かれた。しかし、延期は自分もしんどいし、ピンチヒッターの野口弁護士もおられたので、今日やると答えた。途中持ち時間の30分が過ぎた頃、(陪席の)裁判官が裁判長に何か話していたが、裁判長は『いいよ。このまま続けて…』と言っていた様子で、私は言いたいことは大体言えた」と、疲労困憊と思われたが、毅然として報告された
 Aさんはたった一人の孤独で理不尽極まりない闘いを強いられているが、この「避難住宅追い出し訴訟」は、ご家族と多くの支援者と共に闘っていこう!という皆さんの思いと力強い拍手に包まれました。
(Aさんの充実した陳述内容は、皆に書面が配布されましたが、要約する時間がなくこの紙面では割愛させて頂きます)

次回第11回公判期日
  2024年4月22日(月)11時 東京地裁606号法廷


  私たちの傍聴行動が、被告のAさんとご家族の大きな心の支えになります。
  弁護士さんたちも被告に寄り添って頑張って闘っています。
  次回公判も、ぜひ多くの方々に傍聴参加をお願い致します。

 

 

たんぽぽ舎です。【TMM:No4969】2024年2月2日(金)地震と原発事故情報-より