世界初のAI規制法の年内成立に向けてEUヨーロッパ連合で議論が大詰めを迎えています。EUはAIによって生成されたコンテンツであることを明確に示す著作権で保護されたデータがAIの学習に使われた場合は公表する。

 

公共の場でリアルタイムのカ認賞にAIを使わないといったAIを規制する法律について年内の成立を目指してつめの議論を行っています。

 

成立すれば世界で初めて生成AIなども含めた包括的なAI規制法となります。

 

提案された後にチャットGPTなどの生成AIのサービスが登場し規制のあり方について危機感が高まりました。

 

EU内で統一して適用されるルールでEUに住む人を対象としたサービスであれば日本の業者も制裁金などが課される可能性があります。

 

AI開発者はAIの発展を妨げるとして規制に反対する働きかけを行っています。

 

成立から2年で施行されることになっています。

 

 

 

なお域外適用があり、EU圏の者にAIシステムまたはそのアウトプットを提供するAIおよびその提供者に対しても、当法案は適用されます。

ここでは、アウトプットのみの提供でも適用対象となる点に注意が必要です。つまりAIシステム自体は提供していなくても、EU圏に提供するアウトプットの生成過程でAIシステムを利用しているようなケースも適用対象となります。

AIサプライチェーンがますます複雑化する中で、自社製品とAIとの接点をサプライチェーン全体で把握・管理していくことが求められます。

罰則

違反や不遵守に対する制裁金は以下のように明記されています。

  1. 受容できないAIに関する禁止事項(第5条)への違反:4,000万ユーロまたは全世界売上高の7%の高い方

  2. ハイリスクAIに関する要求事項(第10条、13条)への不遵守:2,000万ユーロまたは全世界売上高の4%の高い方

  3. 上記以外の要求事項・義務の不遵守:1,000万ユーロまたは全世界売上高の2%の高い方

当初法案では上記1)、2)の制裁金額は同じ(3,000万ユーロまた全世界売上高の6%の高い方)でしたが、直近の採択案では上記のように修正されています。

制裁に関する事項は今後議論が進むと思われますが、現時点でGDPRより大きい規模での制裁基準にはEUの姿勢を伺うことができると言えるでしょう・・・

 

 

 

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 生成AI・人工知能 NHK

EU AI利用などの規制法案 大筋合意 委員長“世界で初めて”

EU=ヨーロッパ連合は、AIの利用などについて定めた規制法案について大筋合意しました。今後、加盟国とヨーロッパ議会の承認を経て正式に成立します。

ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は、SNSに「EUのAI規制法は世界で初めてのものだ。信頼できるAIを開発するための唯一の法的枠組みで、人々の安全と基本的権利、それに企業を守るものでもある」と投稿し、合意を歓迎しました。

 

 

 

 

 

2023-07-05

生成AIを巡る米欧中の規制動向最前線

欧州「AI規則案」の解説

 

2023年6月、欧州連合(EU)欧州議会本会議で欧州における「AI規則案」が採択されました。生成AIを含めた包括的なAIを対象とし、初の国際的なAI法案ともいえる本法案の枠組みを紹介するとともに、企業への影響と求められる対応について考察します。

はじめに(背景)

2023年6月14日、生成AIを含む包括的なAIの規制案である「AI規則案」が、欧州議会の本会議において賛成多数で採択されました。今後理事会との調整を行い、早ければ年内の合意を目指すことになります。

欧州委員会は2年前にも規制案を発表していましたが、生成AIの急激な進化と普及を受け、生成AIに関する考え方や要求事項が追加で盛り込まれた形となっています。

本規制では、AIを特性別にカテゴライズし、そのリスクレベルに応じた規制が適用されることになります。他の欧州規制同様に、欧州市場に関係する日本企業をはじめ、域外企業が提供するAIも対象となり、違反時には全世界売上ベースでの制裁金が課されることになります。

施行は2024年以降となる見込みですが、すでにAIは私たちの生活に密接に組み込まれており、各企業は新たな規制環境見据えた活動に今から着手する必要があります。

規制の基本思想

欧州規制に共通する基本的思想として、欧州連合基本条約に沿うことが求められます。つまり、域内における人権や自由の確保が最優先であり、技術は人間中心であるべきという考えが重要となります。よって、AIから人間の自律性・自由は守られるべきであり、そのためにAIが倫理的に適用されることに対するセーフガードが必要である、という考えが「AI規則案」の根底にあります。

具体的には「全てのAIシステムに適用される一般原則」に以下が記されています。

  • 人間による営みと監視(human agency and oversight)

  • 技術的な頑健性(technical robustness and safety)

  • プライバシーとデータガバナンス(privacy and data governance)

  • 透明性(transparency)

  • 多様性、無差別、公平性(diversity, non-discrimination and fairness)

  • 社会と環境に対する健全性(social and environmental well-being)

上記は既存の各種AIガイドラインでも謳われていた概念と同様ですが、改めて本規制に一体的に盛り込まれた形となります。加えて、上記原則の達成にはAI開発者・利用者、製品の提供者・展開者のAIリテラシーが不可欠であるとも記されており、AIリテラシーを確保していく措置も不可欠であるという姿勢が明確に示されています。

規制の骨子

上記原則を念頭に置きつつ、法案の骨子を大きく3つの特徴である「リスクベースでのAI分類」「要求事項と義務」「イノベーション支援」に沿って概説します。

「リスクベースでのAI分類」

リスク度合いによりAIを4つのカテゴリに分類し、それに応じて禁止事項、要求事項や義務が定められています。順に解説します。