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「ギフト代」に政治資金9200万円 贈り先わからず、9割超が自民
国会議員が関係する政治団体の2021年分の政治資金収支報告書計約4万枚を調べたところ、議員186人の関係団体が「贈答品」や「ギフト代」などとして計約9200万円を支出していたことがわかった。ただ、何を誰に贈ったかは明記する必要がなく、不適切な使われ方をしていないかチェックできない仕組みになっている。
【図表】政治資金の収支のイメージ。「政治に大事なGNP」とは
朝日新聞は今回、データサイエンスの専門会社と協力し、公表済みのうち最新の21年分の報告書を調べた。対象としたのは参院選直後の昨年8月時点で国会議員だった約700人。議員の「関係政治団体」として、総務相か都道府県の選挙管理委員会に届けられている約1900団体の全報告書約4万枚を、報告書の全ページを人工知能(AI)の技術も用いながら画像解析し、「贈答」や「土産」などの支出を抽出した。記者による確認も加えた。 支出があった議員(昨年8月時点)は、所属政党別に、自民党164人▽立憲民主党9人▽日本維新の会7人▽国民民主党4人▽公明党2人で、8割強が自民だった。 総額の9割超が自民議員で、立憲、維新、公明、国民と続いた。議員別で最も多かったのは遠藤利明・元五輪相(自民)で、八つの関係政治団体の支出総額約1億6千万円のうち827万円を贈答に使っていた。次いで多い順に、林幹雄・元幹事長代理(同)397万円▽稲田朋美・元防衛相(同)308万円など。野党で最も支出していたのは中村喜四郎衆院議員(立憲)の54万円だった。
朝日新聞社
「大事なのはGNPだから…」 プレゼントに政治資金、内向きの論理
国会議員が政治資金で贈り物を購入している。人工知能(AI)の技術を活用した4万枚の公表文書の解析では、1年で計約9千万円が使われていた。誰に、何を、何のために贈っているのか。(東郷隆、野間あり葉、編集委員・伊藤嘉孝)
最新の公表済みの政治資金収支報告書は2021年分だ。
そのうち「贈答品代」への支出額が最も多かったのは、遠藤利明元五輪担当相(自民)が代表を務める政治団体だった。
63回、計827万円の支出の内訳は、スポーツ用品大手「アシックス」に計212万円▽地元山形県名産のサクランボ農園に計124万円▽カタログギフトを扱う都内の企業に56万円など。21年11月5日には、米沢牛などを扱う食肉店3店に計111万円を支払っていた。
自民議員「法令に従い適正に処理」 具体的な説明なく
品物や贈り先をたずねると、遠藤氏は文書で「政治資金の収支については、法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と回答を寄せたが、具体的な内容の説明はなかった。
次に多い林幹雄元幹事長代理(同)の団体は、「商品券購入代」「贈答品購入代」として51回、計397万円を支出していた。商品券購入代(計75万円)は東京都内の百貨店への支払い。贈答品代としては、JR新橋駅近くの金券ショップで4回計56万円、オーダースーツで知られる都内の洋品店で2回計88万円を支出。林氏も取材に「法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」とし、品物や贈り先については答えなかった。
3番目は稲田朋美元防衛相(同)の団体の「贈答品代」で計308万円。いずれも地元福井県のごま豆腐などを扱う店に計65万円、ニット店に計62万円を使っており、稲田氏も「政治資金規正法に従い適正に処理しています」とした。
「昔からの習慣、もらうからには返さないと」
贈り物はどう渡されるのか。支出額が多い議員らから具体的な回答は得られなかったが、現役議員のベテラン秘書らが取材に口を開いた。
「多くは国会議員への贈り物…