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増え続けるガザの死者、4割が子ども 背景にイスラエルの戦略転換
毎日新聞 2023/11/1 11:30
パレスチナ自治区ガザ地区北部にあるジャバリア難民キャンプが10月31日にイスラエル軍によって攻撃され、多数の死傷者が出た。ガザでは空爆による死者が増え続け、地元の保健当局によると8525人に達している。イスラエル軍はイスラム組織ハマスの戦闘員を狙っていると説明しているものの、実際には無実の子どもも多数犠牲になっている。背景にはイスラエル軍のある戦略転換があるという。
空爆「言葉にできないほど残虐」
「政治に関わっている人は誰一人いない。それでもイスラエル軍は、叔父と子どもを殺した」。ガザ北部ガザ市の大学生、カリル・カナンさん(21)は、毎日新聞助手の取材に小さな声で答えた。叔父で、漁師のムハンマドさん(50)の自宅が空爆されたのは、10月10日夜だった。当時、自宅にいたのはムハンマドさんと妻、そして6~17歳の子ども6人。事前の警告はなく、ムハンマドさんら5人は即死。3人の子どもはいまだに崩壊した住宅のがれきの中だが、3週間以上たって生存は絶望視されている。
「イスラエルは今回、戦闘員と市民、子どもを区別せずに空爆している。全てのパレスチナ人を脅迫し、ガザから追い出そうとしているのではないか」
ガザ北部ジャバリアの建築作業員、オマル・トーシュさん(26)も、叔父のオマルさん(60)といとこのイブラヒムさん(16)を空爆で失った。イスラエルがガザ北部に「安全が確保できない」として避難指示を出した13日、オマルさん一家はガザ南部に移った。だが、隣に住む叔父一家は「比較的安全」と考えていた数百メートル先の友人宅に避難した。そしてその2日後。叔父といとこは一度、自宅に戻り、食料などを運び出している際に空爆を受けた。叔父はその場で死亡し、いとこは病院に運ばれたが、2日後に亡くなった。
オマルさんは民間人や子どもが犠牲になるイスラエル軍の攻撃について「言葉にできないほど残虐だ」と語る。「ロシアに侵攻されたウクライナには、各国が資金や武器を提供し、国境を開いて難民を受け入れる。でも、国際社会はガザの痛みには無関心だ」
犠牲者の4割が子どもか
犠牲者増加の背景にあるのは、イスラエル軍の…