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欧州委員長のイスラエル訪問が波紋 EUの足並みに乱れ

 

 

18日、フランス東部ストラスブールで、欧州連合(EU)の欧州議会で発言するフォンデアライエン欧州委員長(AFP時事)

 

 【ブリュッセル時事】イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスによる軍事衝突を受け、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長がEU内で調整せずイスラエルを訪問したことが「職権逸脱」(欧州メディア)と波紋を広げている。

 

  EUは17日、テレビ会議形式で臨時首脳会議を開催し、認識の擦り合わせを図った。

 

  フォンデアライエン氏が急きょイスラエル入りしたのは13日。ネタニヤフ首相を前に「イスラエルには自衛権がある」と全面的な支持を表明した。EUは10日の緊急外相会議で、自衛権を容認しつつも「国際人道法の順守」を求めることで一致していた。

 

  訪問を受け、ボレル外交安全保障上級代表(外相)は「EU外交は政府間(で決める)政策だ」と強調。フォンデアライエン氏のスタンドプレーに、珍しくくぎを刺した。 

 

 EUのミシェル大統領は、軍事衝突の影響で社会的対立が深まっていることから「EU首脳の強固な結束」が必要だとして、17日に臨時首脳会議を開催した。欧州メディアによれば、会議では一部首脳がイスラエル訪問を支持したが、大半の加盟国はフォンデアライエン氏の発言に関して事前調整がなかったことに不満を示したという。

 

  また、ロシアのプーチン大統領と北京で会談したハンガリーのオルバン首相は臨時首脳会議を欠席。結束の難しさが露呈した形となった。 

 

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、EU内では東欧を中心に「支援疲れ」も目立つ。ウクライナ問題に加え、パレスチナ情勢にどう向き合うのかを巡り、EUの結束は正念場を迎えている。