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職員が自殺に追い込まれた“文書改ざん” 裁判所は元理財局長の尋問を行わない決定 背景に“公務員個人”は賠償しない『国家賠償法』の高い壁 「責任から逃れられるのはおかしい」と遺族 森友学園問題
真実が公の場で語られることはもうないのでしょうか。財務省の公文書改ざんをめぐり、自殺した職員の妻が佐川元理財局長を訴えている裁判の控訴審が始まり、裁判所は佐川元理財局長の尋問を行わないことを決めました。
【動画で見る】佐川氏の尋問"行わず" 自殺した職員の妻「国家公務員が犯罪をしても説明しなくてよいことが証明された」と悲痛の声 森友公文書改ざん
■自殺する1カ月前の職員の動画公開「この問題を風化させたくない」
財務省の当事者たちに直接話を聞くことができなくなったことへの無念さをにじませたのは、自殺した職員・赤木俊夫(あかぎ・としお)さんの妻、雅子(まさこ)さん。 【自殺した赤木俊夫さんの妻・雅子さん】 「これでは、夫が“死ななければいけなかった理由”がまた、分からずじまいだなって思っています」
財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)。大阪府豊中市の国有地が8億円以上値引きして売却された、いわゆる「森友学園問題」で、財務省から公文書の改ざん・破棄を指示されて、うつ病を発症し自殺しました。
赤木さんの妻・雅子さんが、俊夫さんが自殺する1カ月前の動画を見せてくれました。「うっうっうっ」とうなり声をあげながら、自分の体や家の壁を殴る俊夫さんの姿が記録されています。
この動画は、妻の雅子さんが俊夫さんのうつの症状について、主治医に説明するために撮影した動画です。 【自殺した赤木俊夫さんの妻・雅子さん】 「『犯罪行為をしてしまった、僕は犯罪者なんだ、内閣が吹っ飛ぶようなことをしてしまったんや』とは言っていたので。『死ぬ死ぬ、僕は死ぬんだ』ってことばっかり言って」
「夫がなぜ死ななければならなかったのか真実が知りたい」と考えた雅子さんは、国と、改ざんを指示したとされる佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)元理財局長に対し、損害賠償を求める裁判を起こしました。 しかし、2020年に国は雅子さん側の請求をすべて認める「認諾」という手続きを取り、裁判を強制的に終結しました。一方、佐川元理財局長に対する裁判は、2022年11月に大阪地裁が訴えを退けたので、雅子さんは控訴しました。
■控訴審でも佐川氏の証人尋問なし 自殺した職員の妻「文書でも返事を」
雅子さんは当初から、真相を明らかにするためには、当事者や証人を法廷に呼んで直接話を聞く「尋問」という手続きが必要だと考え、佐川元理財局長と財務省の職員4人の尋問を求め続けています。 【自殺した赤木俊夫さんの妻・雅子さん】 「佐川さんは、何をやったのかちゃんと責任を感じてほしいし、それを公にするべき。それをしなくて済んでしまうと、この先公務員の人は逃げ得ではないですか。そんなの許されない」