福島第一原子力発電所港湾内で見つかったセシウム濃度の高い魚について 

 

2023 年 6 月 16 日

 経済産業省 農林水産省

 

 6月5日に福島第一原発の港湾内で駆除された魚(クロソイ)を分析したところ 18,000Bq/kg のセシウムが検出されたとの報道がありましたが、採取されたのは福島第一原発の港湾で発電所 にもっとも近い開渠部分です。

港湾内では漁業は行われておらず、市場にも出荷されないため、 日本産食品の安全性に影響を及ぼすことはありません。また、福島第一原発の港湾内でこのよう な魚が確認されるのは事故当時の影響によるものであり、現在準備が進められているALPS処 理水の海洋放出とは関係ありません。 

東京電力は、魚の分析結果を確認したあと速やかに公表を行っており、上記の報道はその後に行われたものです。 

 

【参考】 (1)福島第一原発の港湾開渠内(発電所にもっとも近い港湾)で 18,000Bq の高いセシウム濃度 のクロソイが見つかったと旨の公表について

 

 (ア)東京電力は、「復興と廃炉の両立」に向けて、福島第一原子力発電所の廃炉作業の安全を 最優先に一つひとつ着実に進めており、その取組みについて、正確な情報をいち早くお伝えし、 広く社会のみなさまにご理解いただけるよう努めています。 

この魚は、東京電力が福島第一原子力発電所の港湾内の定期的な駆除・分析を行っている中で、港奥部の 1-4 号機取水路開渠内(南側)で 5 月 18 日に採取されたクロソイで、セシウムが 18,000(Bq/kg)検出され、その旨公表されました【※1】。

 

 高いセシウム濃度のクロソイが見つかった福島第一原子力発電所の港湾開渠は、魚が逃げられ ないよう護岸と金網で囲まれています。また、前述のとおり港湾内で漁業は行われておらず、こ の水域で漁獲された魚類が出荷されることは一切ありません。 

【※1】東京電力は、事故直後の福島第一原子力発電所港湾内への汚染水の流出をうけて、 2012 年から同港湾内の水や魚の定期的な駆除・分析を実施してきました。同港湾内の魚 類が港湾の外へ出ていかないように、同港湾内で、多数の網の設置等を実施しています。 さらに、開渠の入口には魚類移動防止網の設置を実施しています。 

 

(イ)福島第一原発港湾外における海水のセシウム137の濃度は日本全国の海水に含まれる 放射性物質濃度と同程度であることを確認しており、港湾外の魚類の安全性について問題が生じ ることはありません。 図:共同漁業権非設定区域と発電所港湾の位置 図:発電所港湾開渠 

 

(2)高いセシウム濃度のクロソイが見つかった件とALPS処理水放出との関連性はないこと について 高いセシウム濃度のクロソイが見つかった福島第一原発の港湾は、事故当時の影響が残って いる場所です。このため、今回のクロソイが確認された原因の詳細は調査中ですが、現時点で 実施されていない ALPS 処理水の海洋放出とは関係ありません。 

 

(3)日本産食品の安全性は確保されている件について 日本においては、国のガイドラインに基づき、地方自治体は、国が設定した放射性セシウム に関する基準値(Japanese Maximum levels;JMLs)【※2】を踏まえ、魚を含む食品のモニ タリング検査を実施しています。

 基準値を超過した食品については、日本の法律に基づき、回収・廃棄されます。このように、 基準値を超過した食品については、日本国内を流通することも輸出されることもありません。 なお、2022 年度(2022 年4月から 2023 年3月)、国のガイドラインに基づき検査された海水魚は 10,595 件で、基準値超過品は確認されませんでした。 【※2】放射性セシウムに関する基準値(JMLs) 飲料水 10 Bq/kg、牛乳 50 Bq/kg、乳児用食品 50 Bq/kg、一般食品(含:魚) 100 Bq/kg

 

https://www.hk.emb-japan.go.jp/files/100518052.pdf