G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合、共同声明を採択して閉幕
16.04.2023
札幌
駐日欧州連合(EU)代表部プレスチーム
EU News 055/2023
欧州連合(EU)を含む主要7カ国の気候・エネルギー・環境大臣は4月15日~16日、札幌市で会合し、以下の共同声明を採択した。
G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ
<日本政府仮訳>
我々、G7の気候・エネルギー・環境大臣は、 2023年4月15日~16日、札幌で会合を開催した。
我々は、ロシアによるウクライナに対する違法で、不当で、いわれのない侵略戦争、国連憲章の違反、及びロシアの戦争が世界中の人々に与えている影響の軽視を非難する。我々は、エネルギー並びに食料を地政学的な威圧の手段として利用しようとするロシアの試みを非難し、ロシアがエネルギー並びに食料を武器として利用することによって最も影響を受ける人々を支援するという我々のコミットメントを改めて表明する。我々は、高いエネルギー価格、市場の変動及びエネルギー供給の混乱に特徴付けられる前例のない世界的なエネルギー危機、人々の生活に現実に経済的影響を与えるインフレ、食料不安と栄養不良を増大させる世界の穀物及び肥料価格の高騰を引き起こしている、ロシアのウクライナに対する侵略戦争が及ぼす、環境も含めた破滅的な影響を、深く憂慮する。我々は、戦争に関連する瓦礫や汚染の管理、生態系や水システムの回復、森林やシェルターベルトの再植樹、森林や土地における地雷除去、戦争によって影響を受けた海洋保護地域の回復に関する我々の経験、知識、専門知識を共有することを含め、ウクライナの持続可能でレジリエントな回復とグリーンな復興を支援する用意がある。我々は、ロシアによって意図的に破壊されたウクライナの重要なエネルギー・環境インフラの修復・復元を引き続き支援し、ウクライナにおけるクリーンで強靭なエネルギーインフラの構築に対する我々の強い支持を強調する。
I. 気候、エネルギー及び環境の合同セッション
1. 我々が直面する地球規模課題:我々は、気候変動、生物多様性の損失、汚染という、相互に補強し合い、本質的に結びついている未曾有の三つの世界的危機に加え、ロシアによるウクライナに対する侵略によって引き起こされた、あるいは悪化したものを含む経済及び社会の混乱、健康への脅威及び環境破壊を悪化させている未曾有の規模の世界的なエネルギー危機に直面している。これらの課題は、既に多くの地域や国々に悪影響を及ぼしている。多国間協力を通じてこれらの課題に対処するため、我々は、この決定的に重要な 10年間に行動を拡大することにより世界の気温上昇を 1.5°Cに抑えることを射程に入れ続けるパリ協定、及び、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させることを使命とする生物多様性条約第 15 回締約国会議(CBD-COP15)で採択された歴史的な昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の完全、迅速かつ効果的な実施へのコミットメントを堅持し、また国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全及び持続可能な利用に関する画期的な法的拘束力のある国際文書を歓迎する。現在の世界的なエネルギー危機と経済の混乱を認識し、我々は、遅くとも 2050年までに温室効果ガス(GHG)のネット・ゼロ排出に向けてクリーンエネルギーへの移行を加速させるというコミットメントを再確認し、エネルギー安全保障とエネルギー低廉性を高めるために供給源の効率的多様化を促進することの重要性を認識する。我々は、この決定的に重要な 10年に、即時、短期・中期の行動を実施するというコミットメントを強調する。
2. グリーン・トランスフォーメーション:我々は、包摂的かつ社会・環境面で持続可能な経済成長と開発、及びエネルギー安全保障を確保しながらグリーン・トランスフォーメーションを世界的に推進及び促進し、気温上昇を 1.5 °Cに抑えることを射程に入れ続けるべく、また気候変動に強靭で、循環型で、汚染のない、ネイチャーポジティブな経済を可能とすべく、遅くとも 2050年までに温室効果ガス排出のネット・ゼロを達成するために我々の経済を変革すること、及び 2030年までに生物多様性の損失を食い止め反転させることを統合的に目指して協働する。
3. シナジーの活用:我々は、気候変動、生物多様性の損失、汚染、土地劣化及びエネルギー危機に対処し、クリーンエネルギーへの移行、資源効率性、及び循環経済を加速させ、国連 2030アジェンダとその持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための行動を加速するにあたり、シナジー(相乗効果)を強化し、トレードオフを阻止することにコミットする。
4. すべてのレベルにおける緊急の行動:我々は、ネット・ゼロで、循環型で、ネイチャーポジティブな経済への転換を達成するために、すべてのセクター、すべてのレベルでの緊急かつ強化された行動を求める。我々は、2050年までの世界的なネット・ゼロに向けて GHGの排出を廃棄物、農業、エネルギー部門からのメタンを含め削減すること、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させること、気候リスクや自然関連リスクを投資判断や意思決定において主流化すること、汚染を削減すること、及び持続可能な消費と生産を達成するために資源効率や循環性を高めることのポテンシャルの全てを実現するための、法制度、経済・財政政策、市場に基づくアプローチや自発的アプローチを含むあらゆる利用可能な措置や手段を動員し実施する必要性を認識する。また、G20議長国や他のメンバー及び国とともに、ファッションや観光を含む全ての関連する部門において消費と生産のパターンの変革を実現し、廃棄物の発生を大幅に削減するために、我々は、持続可能な選択を促進し奨励する。さらに我々は、この三つの危機及び現在進行している世界的なエネルギー危機に対処するため、全ての国、特にG20パートナーや途上国及び新興国とともに、全てのレベルにおける具体的なアクションを実施する。
5. 科学:我々は、政策立案において、利用可能な最良の科学と科学的証拠、及び先住民族の知見が重要であることを強調する。我々は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とその第6次評価報告書(AR6)、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)、国連環境計画(UNEP)とその地球環境概況、国際資源パネル及びその他の関連する国際科学・政策パネルとその報告書の貢献を最大限の配慮をもって歓迎するとともに、これらの科学コミュニティ間の協力と交流を継続することを要求する。我々は、気候や環境に起きている変化を理解し、ネガティブな傾向を緊急に反転させるための解決策を特定する上で、科学が果たす非常に重要な役割を認識する。
6. イノベーション:我々は、三つの危機、エネルギー危機、その他の関連する問題に対処し、持続可能な開発を達成するために設計・統合された技術の研究、開発、実証(RD&D)の重要性及び既存のソリューションと新たなソリューションの双方を導入する必要性を強調する。我々は、気候及び環境に係る目標を達成するためにはイノベーションだけでは十分ではないことに留意する一方で、気候、クリーンエネルギーその他の環境に関するさらなる野心的な行動は、エネルギー・産業部門の技術革新のみならず、政府、企業、消費者の選択など、全ての分野のイノベーションを促進することによって実施可能であると認識する。
7. 持続可能なバリューチェーン:我々は、世界のバリューチェーンをネット・ゼロで、気候変動に対し強靭で、汚染がなく、より循環型で、ネイチャーポジティブなものへと変革し、同時に、経済協力開発機構(OECD)多国籍企業ガイドラインや国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などの責任ある企業行動分野の関連する国際ガイドラインに沿って、その安全性と人権の尊重を確保するという我々のコミットメントを強調する。したがって、環境及び気候を保護し人権を尊重する方法で不安定または独占的なエネルギーサプライチェーンへの依存を減らすことなどにより、バリューチェーンの安全性、持続可能性、多様性、透明性及びトレーサビリティを世界的に向上させることが不可欠である。我々は、企業に対し、気候変動の緩和と適応、資源効率性と循環経済のアプローチ、2030年までの自然保護、生物多様性損失並びに森林の消失の阻止と反転及び汚染の削減と防止といった環境側面に関する、リスク分析、GBFの実施、情報開示、並びに目標や計画の実施を含め、バリューチェーン全体で 2030アジェンダと SDGsの達成に貢献するよう促す。この目的のため、中小企業に対する不均衡な負担やコストを回避する必要性を考慮しつつ、必要に応じて効果的な国内のデュー・ディリジェンス規制、サプライチェーン全体の透明性及び報告の強化、及びグリーンな公共調達の強化を通じて、我々はバリューチェーンにおける持続可能性と強靭性にインセンティブを与える拘束力のある及び拘束力のない効果的な政策手段を組み合わせて実施・促進する努力を強化することにコミットする。我々は、優良事例の共有やバリューチェーンにおけるステークホルダーの参画の促進などを通じて、ビジネス、特に中小企業(SMEs)を支援することにコミットする。我々はまた、気候変動や環境の悪化へのレジリエンスを高めることを目的として、温室効果ガスやその他の環境影響に関するガバナンスの測定と開示システムの構築を含む、開発途上国の能力構築を支援することにコミットする。
8. 重要鉱物及び原材料:我々は、ネット・ゼロ経済の実現に向けて重要鉱物及び原材料の供給を強化し、重要鉱物及び原材料のサプライチェーンが、人権を十分に尊重した上で、可能な限り最も高い環境、社会、ガバナンスの基準に従うことを確保することが極めて重要であることを強調する。環境と社会へのフットプリントを最小化し、一次資源利用への圧力を緩和し、サプライチェーンにおける供給と循環性を強化するために、我々は、重要鉱物及び原材料を含む製品をできるだけ長く経済内に維持することに全面的にコミットする。また、我々は、人の健康及び環境を守る観点から、国の回収・リサイクル能力が、厳しい環境基準に適合し、経済的に効率的で安全な回収・リサイクルが達成されるような場合において、電子機器、尾鉱、その他の回収・リサイクル可能な材料から重要鉱物及び原材料の国内及び国際的な回収・リサイクルの増加にコミットする。我々は、生物多様性の損失を防ぎ、自然保護を促進し、自然環境にプラスの利益をもたらすことを目的とした、ネイチャー・ポジティブ・アプローチを採用する。このような目的を達成するため、我々は、回収・リサイクルに関する環境フットプリントを最小化するために特に開発途上国における透明性を持った形での環境規制の枠組みや能力開発の強化を含む環境整備を促進しつつ、円滑で環境的に優れ効率的な国際的な回収・リサイクルを確保するための議論を促進する。我々は、効率性を高め、より持続性のある代替物質に置き換えることを可能にすることを含め、重要鉱物及び原材料への依存を減らすために重要鉱物及び原材料に関する研究開発を支援する。
9. 自然を活用した解決策:我々は、多国間で合意された自然を活用した解決策(Nature based Solutions: NbS)の定義を決定した、持続可能な開発のための NbSに関する国連環境総会(UNEA)5/5 決議を歓迎・支持し、UNEAの下、NbSに関して UNEP事務局長によって招集された政府間協議への完全かつ建設的な関与にコミットする。土地や森林、陸上、淡水及びブルーカーボンを含む沿岸・海洋生態系の保全、保護、回復及び持続可能な利用と管理が、生物多様性の損失の阻止と反転、炭素吸収源の保全と強化という気候変動の緩和と適応、災害リスクの軽減、その他人々への重要な貢献に寄与することを認識しつつ、我々は、気候、生物多様性及び人間の幸福などの複数の恩恵をもたらす、都市部におけるものも含めた NbSの重要性を強調する。したがって、我々は、研究と能力構築を通じてNbS の展開と実施を強化すること、及び NbSの具体的な実施のためのガイドラインといった効果的な手段を共有することにコミットするとともに、災害リスク軽減や人間の幸福などの関連課題との効果的なシナジーを追求する。この文脈で、我々は、2025年にかけて NbSのための資金貢献を増加させるというG7・2030年「自然協約」におけるコミットメントを再確認する。また、我々は、炭素を貯蔵し、レジリエンスを可能にし、海洋生物の生息地を提供する、海洋・沿岸生態系のより良い測定と監視、管理及び回復を促進することにコミットする。
10. 森林及び土地劣化:我々は、森林減少・劣化、及び生態系の転換は、我々の気候、生物多様性、食料安全保障及び人間生活に対する地球規模の脅威であることを認識し、2030年までに森林の消失と土地の劣化を阻止し反転させるというコミットメントを再度表明する。農業の拡大は、世界の森林減少の約 90%の要因となっている。我々は、ネット・ゼロで、気候変動に対し強靭で、循環型で、ネイチャーポジティブな経済の実現に向けて、森林をはじめとする陸域生態系の保全とその回復を加速させるとともに、違法伐採対策を含む持続可能な森林経営と木材利用を促進することにコミットし、また、持続可能な森林経営と木材利用の促進のために、国連食糧農業機関、国連森林フォーラム、国際熱帯木材機関等の関連国際機関と協働する。我々は、必要に応じて各国がパッケージを打ち出すことも含め、森林を中心とした炭素貯蔵量が多く生物多様性に富む生態系の保全、保護、回復を支援する統合的な解決策を提供するために協働し、高い野心を持つパートナーとも協働する。我々はまた、需要者側の対策の重要性を認識し、農業生産を森林減少や森林及び土地の劣化から切り離す持続可能なサプライチェーンに向けた支援を強化することにコミットする。我々は、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々なステークホルダーとの協力を強化する努力を継続することにコミットする。我々は、適切な場合には、森林減少・劣化のリスクに関連する商品に対するデュー・ディリジェンス要件の導入を含む可能性のある、更なる規制の枠組み又は政策を策定する。我々は、土地劣化の中立性を達成するというコミットメントを再確認し、SDG15.3及びG20土地イニシアティブでの我々の共通の目的に沿って、土地劣化、砂漠化及び干ばつに取り組むための行動を取る。
11. 水:国連水会議の成功を歓迎するとともに、関連する場合には、持続可能で気候変動に強い水資源の利用と再利用、災害リスクの軽減、水関連生態系とその多様なサービスの保全と回復、汚染防止、食料安全保障と栄養、水、衛生と全ての人の安全な水へのアクセスに寄与する国境を越えた協力を含め、我々はあらゆるレベルにおける、淡水資源の統合的、セクター横断的、利害関係者参加型かつ完全に透明な管理及びガバナンスに向けて取り組むことにコミットする。我々は、河川流域、帯水層、湖沼を含む水関連生態系の保全、保護及び回復の重要性並びに適応への取組に水関連の視点を統合する必要性を強調する。
12. 海洋:我々は、G7オーシャンディールの実施に向けた行動をとることに引き続きコミットし、地球上の全ての生命にとって不可欠であり、SDGsに沿った気候変動への対応、生物多様性の損失の阻止と反転、汚染への対処にとって不可欠な、強靭な海洋・沿岸生態系を有する、クリーンで健全かつ生産的な海洋と海に向けて断固として行動するとともに緊急に取り組む。我々は、持続可能な開発のための国連海洋科学の 10年(2021-2030年)へのコミットメントを再確認し、2022年に開催された国連海洋会議で採択されたリスボン宣言を歓迎する。海洋と気候のネクサスが明白であることを認識しつつ、我々は、UNFCCCの下行われる 2023年に向けた対話のより体系的なフォローアップを行うことを推奨し、海洋と気候変動に関する対話へのコミットメントを再確認する。
13. 食料:世界の農業及び食料システムに対する圧力をさらに強めるロシアのウクライナに対する侵略戦争に深い懸念を抱きつつ、我々は、SDGs、世界の食料安全保障と栄養、そして生物多様性と気候の目標を達成するために、食品ロスや食品廃棄物の削減、持続可能な農業生産性の増加の促進、有機農業、アグロエコロジーやその他の革新的なアプローチの活用を含め、持続可能で強靭、かつ生産的な農業及び食料システムへの変革を国内外で継続することにコミットする。
14. 資金:我々が直面している三つの危機に対処するために膨大な資源が必要であることを留意し、我々は、民間及び公的、国内及び国際的なあらゆる資金源から資金を動員することの重要性を強調する。この点で、我々は、公的資金に関する既存のコミットメントを再確認し、民間投資、ブレンデッド・ファイナンス、及び革新的金融手段を促進すること、気候変動、生物多様性の損失と汚染に取り組み、資源効率性と循環経済を促進するという我々の目標に国内外の資金の流れを整合させること、及び疎外された人々や少数派のグループが資金にアクセスする際に直面する障壁に対処することの重要性を強調する。我々は、資金動員における国際開発金融機関(MDBs)を含む国際金融機関(IFIs)の重要な役割を強調し、それらの政策、投資、運営及びガバナンスにおいて気候及び環境問題を主流化することを求める。気候変動、生物多様性の損失及び汚染は本質的に関連していることを認識し、我々はまた、資金の質を高め、既存の資金やファシリティを効率的かつ効果的に使用することの重要性を強調する。我々は、サステナビリティ報告基準のためのグローバルベースラインを開発する国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の作業プログラムと、自然や生物多様性への拡張を含み得る、気候以外の将来の作業を引き続き支持する。我々は、脆弱な国の気候変動や環境悪化に対するレジリエンスを強化し、途上国や新興国のグリーンな移行を奨励する仏主催「新たな国際的開発資金調達取決めのための首脳会合」が6月にパリで開催されることを歓迎する。
15. 国際的な支援と協調:気候、エネルギー、環境及び災害リスク軽減における我々の国際協力に関し、我々は、誰一人取り残さないという、持続可能な開発のための 2030アジェンダの下、開発途上国における、気候変動に強靭性のある、ネイチャーポジティブで持続可能な開発の優先事項及び展望を達成するための移行を促進するためのG7諸国間の調整の方法を更に検討する。我々は、開発援助を国際的な気候及び生物多様性の目標に整合させることにコミットする。
16. 政府の行動:我々の行動を通じて模範を示し経済全体の変化を促すという政府の重要な役割を認識し、我々は、遅くとも 2050年までに政府事業からのネット・ゼロ排出を達成し、公共調達をグリーン化することを含め、政府の行動を気候、エネルギー、生物多様性、汚染削減及びその他の環境目標に整合させる努力を世界的に主導することにコミットする。
17. 地方の主体の行動:ネット・ゼロで、気候変動に強靭で、循環型で、ネイチャーポジティブな経済への転換を実現し、地域の能力、ニーズ及び個々の環境条件に基づく社会経済的機会を促進する上での地方の主体の極めて重要な役割を認識し、我々は、地方の主体による行動への支援を促進し、成功事例の共有を奨励し、都市間連携を促進することを決意する。
18. 環境犯罪:我々は、野生生物の違法取引、木材及び木材製品、有害廃棄物やその他の廃棄物、貴金属・宝石などの鉱物の違法取引、違法採掘、違法伐採、違法・無報告・無規制(IUU)漁業に係る犯罪等の環境犯罪を、効果的に防止し対処するための国際及び越境協力を強化する努力を継続することにコミットする。我々は、多国間環境フォーラムにおいてこれらの犯罪に関する認識を高め、世界的な対応を発展させ続けることを再確認する。
19. 包摂:我々は、ネット・ゼロで、循環型で、ネイチャー・ポジティブな経済への移行には、労働者や地域社会を含む社会のすべての構成員が関与することを認識し、この移行が誰一人取り残さない、公正かつ包摂的であることを確保するという我々のコミットメントを確認する。我々は、企業や産業、労働者や労働組合、若者やこども、障害者、女性や女児、先住民族、人種的・民族的マイノリティ及び疎外された人々を含む社会のすべての人々が、変革を促進する上で果たす役割の重要性を強調する。また、我々は、2030アジェンダとそのSDGsに沿った環境正義と社会的・経済的持続可能性を達成するためには、市民の強固な関与及び参加が不可欠であることに留意する。したがって、我々は、社会のすべてのセグメントと緊密に協力し、意思決定や指導的役割への積極的な関与、協議、リーダーシップ、意味のある参加を支援することにコミットする。我々は、「クリーンで健康的で持続可能な環境の享受に係る人権」に関する国連総会決議76/300を想起する。
20. 先住民族:「先住民族の権利に関する国連宣言」で示された先住民族の権利と先住民族の独自の知識と経験を尊重し、我々は、気候変動、クリーンエネルギーへの移行、生物多様性の損失、汚染、自然保護及びその他の環境問題への取組において、先住民族のリーダーシップと関与の重要性を強調する。
21. ジェンダー平等:我々は、ジェンダーとLGBTQIA+の公正を、三つの危機への取組とクリーンエネルギーへの移行を加速するための我々の努力の中心に据える。我々は、女性と女児が三つの危機によってしばしば不均衡に影響を受けているという懸念を認め、そのリーダーと変革の担い手としての重要な役割を認識する。我々は、これらの影響についてさらなる知見を蓄積し、女性及び女児とのパートナーシップのもと対処することにコミットし、これを支援するためより詳細な性別データの収集と利用を求める。我々は、三つの危機とクリーンエネルギーへの移行において、必要な知識と技能を備えた革新的かつ包摂的な労働力の創出に女性及び女児、LGBTQIA+の人々のエンパワーメントのためにあらゆる適切な措置を講じることが、この移行の取組に寄与することを認識する。我々は、気候・エネルギー・環境問題に関連する行動、参画、政策と意思決定のあらゆるレベルにおける、完全かつ平等で意義ある参加とリーダーシップにコミットする。
22. 公正な移行:我々は、三つの危機に対処する努力の中で、労働力の国レベルでの公正な移行を支援し、すべての人に働きがいのある人間らしい仕事と質の高い雇用を創出する必要性を強調する。この点で、我々は、少数派で脆弱なグループを含む、社会のすべてのグループを支援する活動も支持する。そのため、我々は、国際労働機関(ILO)の 2015年の「公正な移行を達成するための指針」に沿って、地方、地域及び国レベルで、包摂的な社会対話、技能開発・移転、社会保護、教育、スキルアップ及び訓練などを通じ、労働者とコミュニティを支援し、準備させる継続的な取組をさらに推進する。公正な移行は、国レベルでの気候、エネルギー、及び環境行動における向上された野心にとって重要な要素であることを認識し、全ての国にとっての GHGネット・ゼロ経済への移行の一環として、労働者と影響を受けるコミュニティを支援し社会経済的利益を最大化する重要性を強調し気候野心及び行動を促進する、公正な移行に関する作業計画に係るUNFCCC-COP28における決定に向けて、我々は建設的に活動する。