ICCの偏向ぶり
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「独立・公平・誠実」を標榜する国際刑事裁判所(ICC)は2021年以降、著しく変質していた! ハリウッドスターのジョージ・クルーニーとアマル・クルーニー夫妻もその変質に深く関与! プーチン大統領を「容疑者」呼ばわり可能にする逮捕状を発行したICC主任検察官カーン氏は、NATOと癒着! ICCは親米国・親イスラエル・親NATOに大きく偏向!
おはようございます。IWJ編集部です。
調査報道と分析を中心にした米国の独立系ニュースメディア『グレイゾーン』の創立者・編集主幹のマックス・ブルーメンタール氏が、4月13日付で注目すべきスクープを報じました。
今から約1ヶ月前、国際刑事裁判所(ICC)が、3月17日、ロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナの子どもの連れ去りに関与したとして、戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行しましたが、この逮捕状の発行を主導したICCのカリム・カーン主任検察官を、NATOがどのように支援したのかを、暴露する調査報道なのです。
※はじめに〜国際刑事裁判所(ICC)がプーチン大統領に逮捕状を発行! ICCに加盟していない米国のバイデン大統領は逮捕状の正当性を強調、やはりICCに加盟していないロシアは逮捕状は無効だと拒否! 逮捕権のないICCによってプーチン大統領を逮捕できる可能性は極めて低いにもかかわらず、ICCはあえて習近平国家主席の訪露日程が発表された17日に逮捕状を発行したのは、「平和を築く者」としての中国の外交的地位にミソをつけるため?(日刊IWJガイド、2023年3月19日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52023#idx-1
カリム・カーン氏は、1970年3月30日生まれ。国際刑事法および国際人権法を専門とする英国の弁護士で、2021年から国際刑事裁判所の主任検察官を務めています。
この13日付『グレイゾーン』の調査報道の、重要な部分を抄訳してお伝えします。
この調査報道のタイトルは「ICC検察官のプーチン逮捕状をNATO諸国はどのように支援したのか?」というものです。
※How NATO states sponsored ICC prosecutor’s Putin arrest warrant(THE GRAYZONE、2023年4月13日)
https://thegrayzone.com/2023/04/13/nato-states-icc-prosecutor-putin/
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マックス・ブルーメンタール氏は、まず、次のように記事の冒頭で、カリム・カーン主任検察官を紹介します。
「ICCのカリム・カーン検事総長は、ウラジーミル・プーチンの逮捕状を作成する一方で、十分に立証された米国とイスラエルの戦争犯罪に関する調査を凍結し、NATO諸国から数百万ドルを集めた。その過程で、彼はワシントン、ロンドン、キエフ、そしてハリウッドに強力な友人を獲得した」
この冒頭の紹介に、ブルーメンタール記者のカーン主任検察官に対する批判が、ほぼすべて含まれます。
第一に、プーチン大統領の逮捕容疑には根拠がないこと。
第二に、プーチン大統領には逮捕状を出しながら、戦争犯罪容疑の証拠のあるイスラエルと米国の犯罪には、訴追を一切行わないこと。
第三に、NATO諸国とウクライナとの間で、経済的にも人的にも結びついていること。
のっけから、ブルーメンタール記者は、ICCの逮捕状に根拠がなく、米英の指示でカーン氏がプーチン大統領に逮捕状を出したことを暴露するのです。
「2023年3月17日、カーンはプーチン逮捕のための正式なICC令状を発出し、ロシア大統領がウクライナの子どもたちをロシア各地の『収容所ネットワーク』に『不法に強制送還』したと非難した。この逮捕状は、NATOによるイラク侵攻20周年の数日前に届いた。この犯罪(逮捕状の発出)は、ICCが今日まで訴追を拒否している米国と英国の当局者によって指示された。
『グレイ・ゾーン』が報告したように、ICCの令状は米国務省が資金提供した報告書に触発されたもので、現地報告も戦争犯罪の具体的証拠もなく、ロシアが大規模な強制送還キャンペーンでウクライナの子どもたちを実際に標的にしていたという証拠もない。
実際、調査官たちは、『この報告書で言及された複数の収容所で、性的・身体的暴力を含む子どもの虐待があったことを示す文書はなかった』と認めている。さらに、調査報告書の中心的な執筆者は『グレイゾーン』のジェレミー・レフレド(Jeremy Loffredo)に、彼のチームが調査したロシアのユースキャンプの『大部分』は『主に文化教育、例えば、テディベア(テディベアのぬいぐるみのように無害なもの)といったもの』だったと語っている」
プーチン大統領に逮捕状を発行したロシアの子ども連れ去り容疑に根拠はなく、ユースキャンプにも性的・身体的暴力を示す証拠はなく、テディベアのぬいぐるみのように無害なものだったという、実際に収容所を調査した調査官の証言を紹介しています。
他方、ブルーメンタール記者は、カーン主任検察官のダブルスタンダードと偏向を指摘しています。
「カーンはプーチン狩りにおいて絶対的な独立(ウクライナにもロシアにも偏らない中立で公正な立場を貫くこと)を誓ったものの、現在ウクライナの戦場でロシアと代理戦争を繰り広げているのと同じ西側諸国政府と密接に連携している。
一方、カーンはイスラエルに対するICCの裁判を停滞させ、包囲されたガザ地区での悲惨な暴力の犠牲者を弁護する人権弁護士を妨害した。さらに、アフガニスタンでの米軍の行動に対する国際刑事裁判所の提訴を正式に取り下げた」
さらに、イスラエルと米国とカーン主任検察官の偏向した関係を次のように指摘するのです。
「米国は2019年、当時のICCのファトゥ・ベンソウダ主任検事が、イスラエルがパレスチナ占領地で犯した戦争犯罪の調査を発表した後、ICCに対するキャンペーンを激化させた。
マイク・ポンペオ国務長官が自らベンソウダを糾弾する一方で、上院は『政治化』したICCへの攻撃をエスカレートさせるよう求める超党派決議案を提出した。(中略)(バイデン政権は、イスラエルの戦争犯罪に対するICCの調査にも反対している)。
翌年、ベンソウダ主任検事がアフガニスタンにおける人道に対する罪で、米国とタリバンの両方を調査する意向を表明すると、ワシントンはこの検事を制裁下に置き、米国ビザを剥奪した。
2021年にカーンは、ベンソウダの後任を務めて以来、カーンは米国とその最も暴力的な同盟国(イスラエル)の神経を和らげるために働いてきた。『エルサレム・ポスト』は2022年6月、カーンが検事としての最初の1年間、『イスラエル・パレスチナに関して1度も公的な声明を発表せず、1度も公的な行動をとらなかった』ことから、『エルサレムでは安堵のため息が漏れている』と報じた。
占領下のガザ地区でイスラエルによる暴力の被害者を代表する弁護団のメンバーは、『目立った進展も対策もなく、(イスラエルによる残虐行為の)捜査は検察の優先事項ではなく、まだ何も立件されていない』と、『グレイゾーン』に語っている。『カーンの前でこの問題が提起されるたびに、彼は決して立場を明確にせず、声明も出ていない』
この弁護士は、現在『イスラエル』として知られる領土から中東全域の占領地や難民キャンプへの数十万人のパレスチナ人の強制送還をカーンが無視してきたことを考えると、カーンがウクライナからロシアへの民間人の移送に執着していることは皮肉だと指摘する。『パレスチナでは、市民が何十年も移送されており、歴史上最も過剰に記録された戦争犯罪の状況である』と彼らは言った。『パレスチナは、国際刑事裁判所の信頼性の最終基準となるべきである』」
2021年に、ファトゥ・ベンソウダ主任検事からカリム・カーン主任検事に代わって以降、ICCの体質が極端に親イスラエル・親米に変わったことが浮き彫りにされています。
そもそも、国際刑事裁判所(ICC)は1998年7月17日に、国際連合全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程または、ICC規程)にもとづき、2003年3月11日、オランダのハーグに設置された国際裁判所で、国際的な関心事である重大な犯罪について責任ある「個人」を訴追・処罰することで、将来において同様の犯罪が繰り返されることを防止することを目的としています。
国際司法裁判所(ICJ)が、国連の常設司法機関で、領土の範囲など「国家間の法的紛争(係争案件)」の解決を役割としているのに対し、ICCはあくまで「個人」の戦争犯罪などに関する刑事責任を明らかにして処罰を科し、将来の同種犯罪抑止を目的としており、まったく別の裁判所です。
このICCの目的に忠実だったファトゥ・ベンソウダ主任検事から、2021年にカリム・カーン主任検察官に代わって以降、ICCはその本来の目的を放棄し、米国やイスラエル、NATOにとって都合のいい機関に堕落したと言っていいのです。
米国とICCの関係について、ブルーメンタール記者は次のように述べています。
「カーンはまた、ICCのアフガニスタン調査の範囲を狭め、タリバンが犯した犯罪のみに焦点を当てることで、米軍を訴追から保護しました。アフガニスタンの独立人権委員会の前委員長であるシャハルザド・アクバル氏は、『この決定は、西側と西側によって設立されたこれらの機関が、西側の政治課題のための道具にすぎないという認識を強めるものだ』と、『インターセプト』に訴えた。
アフガニスタンにおける米国の虐待を調査している米国の弁護士、ジェニファー・ギブソン氏は、カーンの行動について、『これは明らかに政治的な決定である。それ以外に解釈のしようがない』『米国とその同盟国に「免罪符」(刑務所から脱出するフーリーカード)を与えてしまった』と述べた」
ブルーメンタール記者は、ICCとNATO諸国との経済的・人的な結びつきについても、暴露していきます。
「ウクライナに焦点を当てたことで、カーン氏の事務所に対する欧米からの資金援助が急増し、その多くがロシア政府関係者の捜査に充てられるようになった。ICCがプーチンの逮捕状を発行したのは、英国ロンドンで開催された同裁判所の主要な寄付者会議と重なった。
ICC検察官の政治的な絡みはこれだけにとどまらない。有名弁護士のアマル・クルーニー(IWJ注:ハリウッドスターのジョージ・クルーニーの妻)は、カーンの事務所の特別顧問を務めると同時に、ウクライナ政府に対して、ICCまたは他の国際機関による訴追の対象となるロシア政府関係者のイニシアチブについて助言している。また、クルーニーは英国外務大臣との特別連絡役も務めている」
クルーニー夫妻の関与は、これだけにとどまりません。ブルーメンタール記者は、クルーニー夫妻とカーンとの10年にわたる歴史を暴露し、ICCのカーン主任検察官によるプーチン大統領への逮捕状の発出に夫妻が果たした役割に言及しているのです。
「2021年9月、カーンはICC検察官に就任して数週間後、アマル・クルーニーをスーダンのダルフール地方での残虐行為に関する調査の特別顧問に任命した。その5カ月後、ロシア軍がウクライナに侵攻すると、クルーニーはウクライナ政府の『説明責任に関する法的タスクフォース』への参加を要請された。
少なくとも10年にわたるカーンとの協力関係は、ICC検事総長の『独立、公平、誠実』という誓約にさらなる疑問を投げかけることになった。
レバノン生まれのアマル・クルーニーは、ハリウッドの大スター、ジョージ・クルーニーとの結婚を機に、世界的な有名人になった。(ジョージ)クルーニー自身は、スーダン政府とその前大統領オマル・バシール(IWJ注:2003年から続くスーダン西部のダルフール紛争で集団虐殺に関与したとされる)を、ダルフールでの行動を理由に経済制裁と大量虐殺の罪で訴える運動を主導した著名な人道介入主義者である。
※南スーダンが、米中対立の最前線! CIAが南スーダンで暗躍! 自衛隊がPKO派遣されたときに激しい戦闘に巻き込まれた南スーダン内戦は、米国が中国の石油アクセスを妨害するために仕組んだものだった!(日刊IWJガイド、2023年4月21日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52155#idx-5
米国のイスラエルロビーと当時のジョージ・W・ブッシュ大統領は、ハルツーム(IWJ注:スーダンの首都)に対する十字軍を大きく支援し、ブッシュ大統領は、バシールと対決するために石油資源の豊富な地域に米軍を派遣すると脅した。
クルーニーは、アウシュビッツの記憶を持ち出し、この地域への国連の軍事介入を提唱した。その後、バシールの逮捕を求めるICCの令状は最終的に徒労に終わったが、クルーニーのキャンペーンは、国際人権業界における彼の信頼性を確立した。
2016年、ジョージ・クルーニーは国内政治に焦点を当て、ヒラリー・クリントン前米国国務長官の大統領選挙キャンペーンに「猥褻な金額」と表現される資金を集めた。ジョージ・クルーニーとアマル・クルーニーが主催したヒラリー支持派の資金調達会では、参加費が1組あたり35万3400ドル(IWJ注:約4800万円)にも上った。
同年、ジョージとアマルは、その名声を活かして『クルーニー正義のための財団』を設立。ビル・クリントンやバラク・オバマが大統領就任後に設立した財団と同様に、クルーニー夫妻はビル・ゲイツやジョージ・ソロスを含むリベラルな億万長者からの資金提供を受け、マイクロソフトや国連とパートナーシップを結んでいる。『クルーニー正義のための財団』は、米英政府が支援する情報機関ベリングキャットを公式パートナーとして挙げている。
クルーニー夫妻の人権団体の議題は、ワシントンの外交政策目標と密接に関連している。同団体は、米国が政権交代を目指す国々での人権キャンペーンを推進する一方で、米国とイスラエルを含むその同盟国による十分に立証された残虐行為を看過している。
例えば、米国が制裁と暴力的な軍事クーデターで政権交代を目指すベネズエラでは、クルーニー財団はニコラス・マドゥロ大統領に対するICCの調査を支援していると述べている。
アマル・クルーニーは、財団を監督する一方で、ジェレミー・ハント英外相の『メディアの自由のための特使』を2年間務めたり、英司法長官の正式な国際法律顧問を務めるなど、英国政府からいくつかの役職を獲得している。
クルーニーはかつて、獄中のウィキリークス出版社ジュリアン・アサンジの弁護団を務めていたが、ハントが元依頼人(であるアサンジ)を非難し、彼(アサンジ)の逮捕を擁護し、ジャーナリストの米国への引き渡しを支持しても、何も語らなかった。
2022年4月、クルーニー財団は、ウクライナ政府のICC調査を支援するために、キエフにチームを派遣すると発表した。同月、アマル・クルーニーはカーンとともに国連人権理事会のパネルに登場し、ロシア政府がウクライナの子どもたちの集団誘拐に関与しているという疑惑を初めて世界に紹介した。
『何千人もの子どもたちがロシアに強制送還されているのでは? 10代の少女が家族や隣人の目の前で路上でレイプされているのだろうか? …残念ながら、答えはイエスです』とアマル・クルーニーは宣言し、彼女の主張を裏付ける証拠は何も示さなかった。
その2カ月後、カーンとアマル・クルーニーは、欧州連合(EU)のユーロジャスト・サイドイベントで、ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ検事総長と再会し、ロシア当局者の訴追について会談した」
バイデン大統領も共和党も、カーン主任検事を熱烈に支持していることがブルーメンタール記者の記述からわかります。
「ジョー・バイデン米大統領は、ICCのカーン検察官のプーチンに対する逮捕状を全面的に支持し、『正当なもの』と宣言して、ワシントンの雰囲気を盛り上げることに成功した。共和党側では、ウクライナ代理戦争の最も熱心な応援者である米国上院のリンゼー・グラハムが、ICC検事を現代のナチス・ハンターとして称え、裁判所のキャンペーンをさらに熱烈に支持した」
そして、カーンが、ウクライナ問題に焦点を当て、ロシアを敵視することで起きたのは、ICCとカーンの事務所へのNATO諸国からの莫大な資金の流入だったのです。
「2月24日(ロシアがウクライナに侵攻した2022年)以降の数週間で、(国際刑事)裁判所には現金と出向者が殺到したとJusticeInfo.netは報じた(IWJ注1)。
(※IWJ注1)CAN 2023 BE THE BOOSTER YEAR FOR THE ICC BUDGET?(JusticeInfo.net、2022年12月2日)
https://www.justiceinfo.net/en/109715-2023-booster-year-icc-budget.html
資金の多くはカーンの事務所に直接流れ、ロシア政府関係者をターゲットにした取り組みに特別な使途が設定されていた。ヒューマン・ライツ・ウォッチのマリア・エレナ・ヴィニョーリがJusticeInfo.netに語ったように、『さまざまな誓約をめぐるメッセージでは、各国は必ずしも慎重ではなく、しばしばその貢献とウクライナを結びつけるため、国際刑事裁判所の仕事には政治性あるいは選択性が存在するという認識を生み出していた』」
さらに、カーン主任検察官の偏向ぶりは、ウクライナに対しても顕著なのです。
「ブチャに散乱する死体の画像を見て、ゼレンスキーはロシア政府を『ジェノサイド』と非難し、バイデン米大統領はプーチンに戦争犯罪法廷への出廷を要求した。バイデン氏の要求は、米国防総省がこの町でロシア軍によって行われた処刑形式の虐殺について『独立かつ単独で確認することはできない』と譲歩したにもかかわらず、行われたのである。
カーンは2022年7月に3度目のウクライナ訪問を行った際、ハリコフに向かった。再びウクライナのヴェネディクトワ検事総長を伴って、ICCがキエフに現地事務所を設置する予定であることを発表した。
その時点で、ゼレンスキー政権は13の野党を非合法化し、主な大統領候補を投獄し、批判的なメディアをすべて閉鎖し、ロシア正教会の総主教を禁止し、そのトップの神父を逮捕する方向で進んでいた。キエフはまた、ロシアに協力したとされるウクライナ政府高官を標的とした暗殺キャンペーンの一環として、政敵や人権擁護者を消したり、拷問したりしていた。ネオナチの過激派は、ロシアのシンパと疑われる人物を処刑する様子をビデオに撮ったりもしていた。
一方、(ロシアの侵攻あるいはウクライナ紛争の勃発の前から)ウクライナ軍はドネツクとルガンスクの独立共和国全域で民間人への攻撃をエスカレートさせ、市場を爆撃し、ある例ではトーチカUミサイルで通勤客を乗せたバスを大量虐殺した。また、ウクライナ兵が非武装のロシア人捕虜を処刑し、膝を撃ち抜いたことも記録されている。
しかし、カーンはウクライナ各地を飛び回りながら、自分の目と鼻の先で行われている虐待の記録にはまったく関心を示さなかった。彼はプーチンを、そして彼のミッションを推進する欧米の寛大な寄付をしっかりと見据えていたのである」
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以上が、13日付『グレイゾーン』の調査報道の抄訳となります。
ICCの偏向ぶりに、唖然とさせられます。
その偏向がはなはだしくなるのは、2021年に、カリム・カーン氏に主任検察官が交代して以降なのです。
ICCが国連の会議で設置が決まった国際裁判所であるからと言って、公平でも、独立でも、誠実でもなく、選出された主任検察官によって、こうまで簡単に調査対象や立件対象が偏向してしまうことに驚かされます。
加盟国は123か国で、米国、ロシア、中国、イラン、スーダンなどは非加盟国です。日本は2007年に加盟しています。
ICCも、ウクライナ紛争において、「プーチンの悪魔化」に大きく貢献する壮大な情報操作装置になっていることがわかります。情報操作の対象は、ICCが「独立・公平・誠実」な国際機関である、という標語を額面通りに信じている(あるいは信じたふりをしている)日本や欧州のようなNATO諸国であり、対露制裁にも加わっている、そうした西側諸国の政府と主要メディアです。