※人種差別発言疑惑
2020年に本格流行が始まった新型コロナウイルス感染症への対応の中で、WHO西太平洋地域事務局長であった葛西が特定の国に対して差別的な表現を使用したり、権威的な態度を取ったことで主要スタッフが次々に辞職し、このため各国の実情を把握することが困難になり結果として感染拡大につながったと指摘する内部告発文書が2021年10月頃よりWHO上層部に送付され、2022年1月にAP通信が報じた。
このほか中国に対する調査に腰が引けていたり、COVAXより日本にワクチン供給を優先させるようWHOに圧力をかける、日本政府にワクチンに関する機密情報を提供したことなどが書かれていたとされた。
これらの疑惑に対して葛西は、特に新型コロナ対策においてはスタッフに厳しい態度を取ったことは認めたものの、人種差別的な発言やワクチンを巡る不正は一切行っていないと否定している。
2022年8月30日、WHOは葛西を休職扱いとする方針を決定。WHOのジュジャンナ・ヤカブ(英語版)副理事長が任務を代行することとなり、同年10月25日の西太平洋地域参加国による緊急会合ではヤカブが引き続き事務局長を代行することを決定した。
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【ジュネーブ共同】国際・海外
WHO、葛西氏を解任 人種差別発言で内部告発
【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は8日、職員らへの人種差別的な発言などがあったとして内部告発された葛西健・西太平洋地域事務局長を解任したと発表した。
葛西氏が人種差別的な発言や出身国を理由にした攻撃的な発言を行っていたとの内部告発は、AP通信が昨年1月に報道し、WHOが調査に乗り出していた。
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葛西健・西太平洋地域事務局長
新型コロナウイルス NHK
WHO 葛西健事務局長を解任 不適切行為で
WHO=世界保健機関は東アジアなどを管轄する地域事務局でトップを務める葛西健事務局長について、不適切な行為があったとして解任したと発表しました。
解任が発表されたのは、日本を含む東アジアや太平洋地域を管轄するWHOの西太平洋地域事務局の葛西健事務局長です。
葛西氏は感染症対策が専門で2019年から地域事務局の事務局長をつとめ新型コロナウイルスの対策で指揮を執ってきましたが、人種差別的な発言をしたとする一部の職員からの批判を受けて、WHOは去年、葛西氏を休職扱いとした上で内部調査を進めていました。
WHOは8日に発表した声明で「調査の結果、不適切な行為があったことがわかった。結果を慎重に検討し、地域委員会や理事会での協議の結果、事務局長を解任した」としています。
地域事務局の関係者によりますと、事務局のあるフィリピンで先週、地域委員会が開かれ、調査の結果が報告されるとともに葛西氏の処遇が協議され、25の国と地域による採決の結果、賛成13、反対11、棄権1となり、解任が議決されたということです。
この結果を受けて、本部のジュネーブでの理事会で最終的な決定が行われたということです。
葛西氏はこれまで発表した声明で「特定の文化や国に対する人種差別を行ったという批判は否定する」としていました。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
葛西 健(かさい たけし、1965年9月14日 - )は、日本の医師、医学博士。世界保健機関西太平洋地域事務局長(後述の疑惑により現在は職務停止中)。岩手県出身。
学歴
1990年に慶應義塾大学医学部で医学士、1996年ロンドン大学衛生熱帯医学大学院 公衆衛生学科で発展途上国の公衆衛生をテーマに修士号を取得する。1997年、同大学院にて熱帯医学及び衛生学課程を修了。2006年から2013年に岩手医科大学高次救急センター研究員、同大学より医学博士号を取得。
職歴
- 1990年4月 岩手県の県庁、高次救急センター、宮古保健所に勤務。
- 1994年1月 厚生省(厚生科学課/統計情報部)勤務。
- 1997年4月 厚生省保健医療局結核感染症課の国際感染症専門官に就任
- 2000年7月 WHO西太平洋地域事務局に感染症対策医官として勤務し、新しい結核対策の導入、SARS対応に取り組む。
- 2003年4月 厚生労働省大臣官房国際課課長補佐を務める
- 2004年7月 宮崎県の福祉保健部次長を務め地方自治体初の新型インフルエンザ対応策策定、 健康みやざき行動計画の策定に取り組む
- 2006年4月 WHO西太平洋地域事務局感染症対策課長に就任
- 2012年 WHOベトナム代表に就任
- 2014年7月 WHO西太平洋地域事務局次長兼事業統括部長に就任
- 2018年10月 WHO西太平洋地域事務局長選挙において当選
- 2022年8月 後述の人種差別発言疑惑によりWHO西太平洋地域事務局長を休職
Staffers complain of racism, abuse by WHO leader in Asia
By MARIA CHENGJanuary 28, 2022
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FILE – World Health Organization Regional Director for Western Pacific Takeshi Kasai addresses the media at the start of the five-day annual session Monday, Oct. 7, 2019, in Manila, Philippines. Current and former staffers have accused Kasai of racist, unethical and abusive behavior that has undermined the U.N. health agency’s efforts to curb the coronavirus pandemic. The allegations were laid out in an internal complaint filed in October 2021 and an email in January 2022 sent by unidentified “concerned WHO staff” to senior leadership and the executive board. Kasai denies the charges. (AP Photo/Bullit Marquez, File)
Current and former staffers have accused the top director of the World Health Organization in the Western Pacific of racist, unethical and abusive behavior that has undermined the U.N. health agency’s efforts to curb the coronavirus pandemic.
The allegations were laid out in an internal complaint filed in October and again in an email last week, sent by unidentified “concerned WHO staff” to senior leadership and the executive board and obtained by the Associated Press. Two of the authors said more than 30 staffers were involved in writing it, and that it reflected the experiences of more than 50 people.
The internal complaint and the email describe a “toxic atmosphere” with “a culture of systemic bullying and public ridiculing” at WHO’s Western Pacific headquarters in Manila, led by Dr. Takeshi Kasai, director of a vast region that includes China and his home country of Japan. The AP also has obtained recorded snippets of meetings where Kasai is heard making derogatory remarks about his staff based on nationality. Eleven former or current WHO staffers who worked for Kasai told the AP he frequently used racist language.
WHO、西太平洋地域の葛西事務局長を一時交代 人種差別疑惑
発信地:ジュネーブ/スイス [ スイス ヨーロッパ ]
【8月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は30日、人種差別的で威圧的な言動をしたと職員から告発された西太平洋地域事務局の葛西健(Takeshi Kasai)事務局長を一時的に交代させたと明らかにした。
WHOはAFPの取材に対し、米AP通信の報道を認め、葛西氏は現在「休暇中」だと説明。「地域事務局長が不在の間、ジュジャンナ・ヤカブ(Zsuzsanna Jakab)WHO副事務局長が担当業務を請け負う」と明かした。(c)AFP
ワールド
WHOの葛西氏に人種差別疑惑、西太平洋地域事務局トップ
[東京 28日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は、西太平洋地域事務局(マニラ)の葛西健事務局長が職員に対して人種差別的な発言をしたとされる問題について、調査を行っていることを明らかにした。葛西氏を巡っては、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンに関する機密データを日本側に漏らしたともされている。葛西氏は一連の疑惑を否定している。
WHOは27日、ロイターに送った文書で「疑惑の存在を認識しており、問題に対処するためあらゆる適切な措置を講じている」とした。
葛西氏は、WHOから提出された文書の中で、職員に厳しく接したことは認めたものの、人種差別や日本への機密情報提供は否定した。その上で、自身の管理手法や職場環境の改善を検討していると強調した。
ロイターは葛西氏に電子メールでコメントを求めているが、今のところ応答はない。
葛西氏がワクチン情報を日本に伝えていたとされる問題について日本の厚生労働省と外務省にコメントを求めたが、現時点で回答はない。
世界保健機関(WHO)は、西太平洋地域事務局(マニラ)の葛西健事務局長が職員に対して人種差別的な発言をしたとされる問題について、調査を行っていることを明らかにした。写真はWHO本部で撮影、2017年11月(2022年 ロイター/Denis Balibouse)