第2次世界大戦において、未曾有の惨害によって環境を破壊した日本国において、アジアの人々と国際社会に対する国際公約でもある日本国憲法を無視し、
99条「
憲法、
同法第98条で誠実に遵守することを必要とするとしている国際人権規約をはじめとする人権条約のも、
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外務省
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の概要
令和4年4月11日
1 設立、所在地:
1945年11月16日、ロンドンにてユネスコ憲章採択
1946年11月4日、同憲章効力発生。本部所在地パリ。
(日本の加盟は1951年7月2日)
2 目的:
国際連合憲章が世界の諸人民に対して人種、性、言語又は宗教の差別なく確認している正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献すること(ユネスコ憲章第1条1項)
3 加盟国数:
加盟国193、準加盟地域12
4 通常予算総額:(2年分)
- 2022~2023年:1,447,757,820米ドル
- (注:加盟国の分担金、任意拠出金等全ての資金の総額)
5 主要国分担率(2022年)
中国(19.704%)、日本(10.377%)、ドイツ(7.894%)、英国(5.651%)、フランス(5.578%)
6 我が国分担金額:
- • 令和4年度:約31億円
7 事務局:
(1)事務局長
- 第10代 オドレー・アズレー(元フランス文化・通信大臣)
- 2017年11月就任(任期4年)、2021年11月に再選(任期4年)。
- 第9代 イリナ・ボコバ(元ブルガリア外務大臣)
- 2009年11月就任(任期4年)2013年11月に再選(任期4年)され、2017年11月退任。
- 第8代 松浦晃一郎(元駐仏大使)
- 1999年11月就任(任期5年)、2004年に再選(任期5年)され、2009年11月退任。
(2)事務局職員(注:2021年12月現在の全ての財源による全レベルの職員)
- 職員数
- 2,351人
- 邦人職員
- 58人
(出典)ユネスコホームページ
(注)なお、ユネスコにおける望ましい職員数(専門職以上)の国籍別状況(総数621名)について、2021年12月現在、日本は仏に次ぐ第2位の37名の職員を擁しており、望ましい水準に達している。
8 事業概要:
教育、科学、文化、コミュニケーション等の分野における国際的な知的協力(国際規範設定、専門家の国際会議、国際学術事業の調整、情報交換、出版など)及び途上国への支援事業
9 日本の貢献:
- (1)戦後の日本が初めて加盟した国連機関がユネスコであり、1951年のこの加盟は、日本にとって、戦後の国際社会への復帰の契機となった。
日本は中国に次いで第2位の分担金拠出国(注:2018年に米国が脱退し、また、2019年~2021年の新国連分担率により、2019年から中国が最大の分担金拠出国となった。)として、ユネスコに財政面から貢献するとともに、ユネスコの管理・運営を司る執行委員会委員国として、ユネスコの管理運営に直接関与している。 - (2)また、ユネスコが行う諸事業にも様々な形で協力している。平成30年度から、文化遺産保存協力のための文化遺産保存日本信託基金及び無形文化遺産保護日本信託基金並びに人材開発のための人的資源開発日本信託基金の3件の他新たに「ユネスコ日本信託基金」を設置し、右記3つの拠出金を通じて実施してきた分野に限らず、ユネスコ所掌分野(教育、文化、科学、情報コミュニケーション、自然科学等)全体におけるニーズの中で、特に我が国の国益の増進につなげるために重要と考えるプロジェクトを支援している。
さらに、途上国における教育の普及や人材育成事業支援等のために、アジア太平洋地域教育協力信託基金(平成21年度~)、ユネスコ地球規模の課題の解決のための科学事業信託基金拠出金(平成19年度~)等をユネスコに設置している。
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ユネスコに「ねつ造地図」送付疑惑…富士山世界遺産登録のヤバすぎる「嘘」と「ごまかし」
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日本人の「信仰」を象徴する富士山が世界文化遺産登録されて、2023年6月で10周年を迎える。今回、あらためて10年前のユネスコ世界遺産センター(事務局・仏パリ)に送った推薦書を調べてみると、国と静岡県による重大な「嘘」と「ごまかし」が明らかになった。前・後編に分けて、その「嘘」と「ごまかし」を伝える。 ----------
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「ねつ造」した世界地図を送付
日本人の「信仰」を象徴する富士山。手前は宝永噴火の火口(塩津治久撮影)
2023年1月1日公開の現代ビジネス『世界遺産10周年を迎えた富士山の「信仰」問題は未解決…山梨県知事を気取る川勝知事の「無責任すぎる政治認識」』で、富士山の所有権を確定する「県境」決定が解決されていないことを詳しく紹介した。 富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)は、奥宮境内地として富士山八合目以上の所有権を最高裁判決で認められているのに、川勝平太知事は富士山の「県境」問題を棚上げしてしまった。本宮浅間大社の所有権は最高裁判決から約50年目を迎えても確定できないままだ。 今回、富士山の「県境」問題にからんで、国が2012年1月26日にユネスコ世界遺産センター(事務局・仏パリ)に送った世界遺産推薦書に添付された「富士山地図」(全体図と富士山域拡大図の2枚)を調べてみると、いずれも西側の静岡、山梨県境が火口付近まではっきりと描かれていることがわかった。 県境は富士山の頂上付近で消えてしまうが、静岡・山梨両県の市町境をしっかりと結んでいる。測量法を所管し、わが国唯一の国家地図を策定する国土地理院の地図では、頂上手前で県境は切れ、市町境とも結ばれず、空白となっている。当然、「県境」決定は国土地理院の地図を使うから、ユネスコ世界遺産センターへ送る地図は国土地理院の地図と同一でなければならない。しかし、2つの地図は違うのだ。 つまり、日本政府はユネスコ世界遺産センターへ“ねつ造”した「富士山地図」を送ってしまったのだ。
「空白」となった山頂の県境
世界遺産センターに送られた推薦書に添付された「富士山地図」。県境は火口まで伸びて、市町境と結ばれている(環境省HPから)
当時の状況を振り返ってみる。
まず、世界遺産条約関係省庁連絡会議が、2011年9月22日開かれ、文化庁・環境省・林野庁が共同推薦する富士山の世界文化遺産推薦について、暫定版の推薦書をユネスコ世界遺産センターへ送ることを決めた。この暫定版の時点で、推薦書に添付された「富士山地図」は既に、“ねつ造”されていた。
2012年1月25日に世界遺産条約関係省庁連絡会議が再び開かれ、正式版の推薦書を2月1日までにユネスコ世界遺産センターへ送ることを決めている。関係省庁連絡会議に国土地理院は参加していないから、暫定版、正式版の「富士山地図」が“ねつ造”されていたことなど、他省庁の担当者は誰も疑いを持たなかったようだ。
なぜ、「富士山地図」を“ねつ造”したのか?
世界遺産条約は、世界遺産という「称号」を得るのが目的ではなく、文化遺産、自然遺産という人類の「宝」を損傷、破壊等の脅威から保護、保全することを目的とし、厳しい保全管理をユネスコ世界遺産センターが求めているからだ。
日本政府は「信仰の対象」として、八合目以上の「富士山域」が重要であり、特に、山頂の信仰遺跡群が点在するお鉢周辺の火口部を最重要域に位置づけた。この最重要域をどこが保全管理するのかをちゃんと示さなければならなかった。
もともと、環境省は「山頂の施設はどうあるべきか、どのように保全管理するのか地元の考えを決めるためには県境を確定すべき」という考えだった。
当然、ユネスコ世界遺産センターは中核となる最重要域の火口部の保全管理をどこが担うのか注目していた。山頂の県境が空白では責任の所在がはっきりとしないことになる。
このため、当時の文化庁担当者は八合目以上の「富士山域」の保全管理に責任を持つ自治体がどこかわかるように「富士山地図」を“ねつ造”してしまったのだろう。文化庁から相談を受けた静岡県は“ねつ造”の事実を承知していたのかもしれない。
ユネスコ世界遺産センターは頂上付近西側の「県境」確定が行われておらず、世界遺産の構成資産となる本宮浅間大社が「県境」確定を求めていることなど全く承知していなかったはずだ。
世界遺産課の「回答」
推薦書に添付された「富士山地図」拡大版。県境は火口まで伸びて、はっきりと市町境に結ばれている(環境省HPから)
このまま、ユネスコ世界遺産センターは推薦書を受理、文化遺産を審査するイコモス(国際記念物遺跡会議)審査員は同年夏に現地視察を行い、2013年5月にイコモスは評価結果を示し、勧告を行った。同年6月カンボジアで開かれた世界遺産委員会で富士山は世界文化遺産に登録されている。ユネスコ世界遺産センターへ送った正式な推薦書は非常に重要な意味を持っていたのだ。
今回の取材で、筆者は静岡県富士山世界遺産課に、西側からの県境が富士山火口部まではっきりと記された「富士山地図」が添付された2012年1月の推薦書を見せてほしいと依頼したが、同課は「こちらにはそのような『富士山地図』はない」と回答してきた。
その代わりに、同課の所有する「推薦書」には、県境未確定についての注釈があるという文面を送ってきた。その注釈には「山頂の信仰遺跡群:山梨県と静岡県の県境については、山中湖南部の山地の一部と富士山東面の標高約1800mから山頂部火口壁西側までの区間が未確定の状態にある」と記されている。
驚いたことに、ユネスコ世界遺産センターに提出した正式版の推薦書に添付された「富士山地図」が静岡県にはないと言うのだ。
ユネスコ世界遺産センターに送った正式版とされる推薦書と静岡県の所有する「推薦書」が同じものなのか、また実際に、政府が提出した推薦書の「富士山地図」を静岡県が所有していないのか、筆者にはわかるはずもない。
そもそも、「注釈」にある「山中湖南部の山地の一部と富士山東面の標高約1800mから山頂部火口壁西側までの区間が未確定の状態にある」とは、東側の県境が未確定なことであり、富士山の保全管理には何の問題にもならない。静岡県小山町と山梨県富士吉田市との間の県境は、文化財周辺の緩衝地帯の手前で途切れている。「注釈」に書かれているのは、東側からの県境を指している。
川勝知事の「役割」
筆者が問題にしているのは、西側からの火口付近の県境である。
この「注釈」をユネスコ世界遺産センターがどのように解釈したのか不明であり、東側からの県境の記述だから、大した問題にはならなかったのだろう。
大手広告代理店・電通の音頭で始まった2度目の富士山世界遺産登録運動は、富士山の保全管理を進めるのではなく、富士山の世界遺産登録を機に静岡県などによる経済的な恩恵を地域にもたらすことが大きなテーマだった。
だから、川勝知事は、世界遺産登録後に建築家・伴茂氏による斬新な設計の静岡県富士山世界遺産センターを富士宮市に建設したに過ぎない。
日本人の「信仰」の象徴として世界遺産登録されたのだから、富士山をご神体として守る本宮浅間大社の所有権を確定するため、「県境」問題解決に尽力するのが川勝知事の本来の役割だが、リニア問題同様に期待してもムダなのだろう。
富士山の世界遺産登録を勝ち取るために、「嘘」とごまかしによって、「県境」をはっきりと示した富士山地図を“ねつ造”しただけではない。後編記事『「真っ赤な嘘」でユネスコを手玉に…三保松原を富士山の世界遺産に加えた日本政府の「ヤバすぎる手口」』では、三保松原を富士山の世界遺産に加えた「嘘」とごまかしを紹介する。