関西電力、中国電力、中部電力、九州電力独占禁止法違反

岸田首相と経済産業大臣・自公政権による犯罪だ!

 

公正取引委員会も、国際人権規約違反!

 

日本国政府による憲法と国際人権規約、国連憲章違反!

 

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高橋 洋 都留文科大学

2022年12月2日

電力カルテルは電力システム改革に真っ向から反する

大手電力会社による電力カルテル

 2022年12月1日、公正取引委員会は、中部電力及びその小売子会社、中国電力、九州電力に対して、カルテル(不当な取引制限)の容疑で課徴金納付命令書や排除措置命令書などを発出した模様である1。これは、関西電力を加えたこれら大手電力4社が、大口消費者向けの小売事業において、お互いの営業エリアで顧客の獲得をしないよう申し合わせていたとされる、独占禁止法違反容疑の事案である。カルテルは2018年頃から行われていた模様で、公取委は2021年4月から各社に立ち入り検査に入っていた。排除措置命令を発出するとともに、総額1,000億円余りの課徴金を課すという2

 なお関西電力は、他の大手電力3社に対してカルテルを持ち掛けたとの報道もあるが3、課徴金減免制度に基づいて最初に違反を自主申告したため、行政処分を免れる見込みという。また、他の3社は、処分案に対する意見を述べる機会があるため、処分が正式に確定したわけではなく、処分に不服がある場合には裁判所に提訴することも可能である。とはいえ、1年半に及ぶ調査の結果であり、自主申告に基づいていることから、何らかの法令違反があった可能性は高い。これが事実だとすれば、極めて深刻な問題と言わざるを得ない。

電力カルテルの問題の本質

 これは第一に、カルテルとして独禁法違反であるから、事業分野に関わらず法律上問題である。支配的事業者が結託して市場競争を阻害し、消費者の利益に大きく反した事になるからである。これらエリアでは、カルテルによって電気料金が不当に高く維持された恐れがある。電気事業においては過去聞いたことがなく、総額1,000億円余りという史上最高額の課徴金から見ても、由々しき事態である。

 第二に、電力自由化・電力システム改革の過程で起きた事案であるから、政策上極めて問題である。政府は1995年から電力自由化を、それが十分に進まなかったため2013年から電力システム改革を、成長戦略の柱として進めてきた。旧来の地域独占の仕組みでは、電気料金の低減も消費者の選択肢の拡大も、分散型電源が増える時代の新たな安定供給も、十分に実現されないから改革を進めてきた(資源エネルギー庁電力システム改革専門委員会「報告書」2013年2月)。そのためには、新規参入企業を交えた健全な競争が不可欠だが、新たに市場を開放しても圧倒的に優位な旧独占企業を放置しては、競争が十分に起きるはずがない。市場メカニズムを機能させるには、逆説的に聞こえるが、政府が適切に市場に介入して、新規参入企業が十分に競争できる環境を整備することが必須なのである。

 これまで筆者は、研究者として、また内閣府の再生可能エネルギー規制総点検タスクフォースの一員として、電取委や資源エネルギー庁に対し、競争政策が不十分であることを繰り返し指摘してきた。電取委による内外無差別の卸売の徹底の取り組みなど、評価できる部分もあるが、全体として見れば政府の取り組みは不十分であり、公正な競争環境は整備されていないというのが、筆者の見立てであった。それが、残念な形で証明されたことになる。

電力・ガス取引監視等委員会の責任

 独禁法に違反したとされるのは、上記の大手電力会社である。言うまでもなく、公取委の摘発の通りであるならば、一義的な責任は旧独占企業側にある。電気事業連合会は、「電力システム改革が真にお客さまの利益につながる改革となるよう積極的に取り組んでいきます」と、標榜してきた4。しかし、その前提を覆すような行為について、関係する大手電力会社は、歴史のある公益事業者として大いに反省してもらわなければならない。カルテルが現場の判断なのか、経営幹部も容認していたのか、他の大手電力会社は無関係なのかなども、焦点となるだろう。

 と同時に、電取委やエネ庁の方々と政策論議を続けてきた筆者としては、所管官庁の責任を指摘せざるを得ない。そもそも電取委は、公益事業の自由化に際して、より専門的な観点から集中的に競争政策を講じるために2015年に設置された、独立規制機関である。法定独占分野の自由化に際しては、市場競争を広く監視する公取委だけでは不十分であるため、その分野に特化した規制機関が設置されることが多い。今般、公取委がカルテルを摘発したということは、電取委はその不法行為を見逃していたことになり、これまでの電気事業における競争政策全体への信頼が失墜しかねない。

 そもそも規制機関の設置を議論した2012年の電力システム改革専門委員会で、組織の独立性を高めるためいわゆる3条機関にすべきという指摘を、委員の一人であった筆者はしたが、認められなかった。今回、どうして電取委はカルテルに気づかなかったのか、電力会社との関係のあり方や今後の組織改編も含めて、検証と反省を徹底してもらう必要があるだろう。

公正な競争環境の整備を最優先に

 近年、電力スポット価格の歴史的な高騰を受けて、新電力の撤退や廃業が相次いでおり、安易な経営判断との批判が一部で挙がっていた。しかしながら、大手電力会社が本当にカルテルをしていたのだとすれば、新電力との競争条件は適切だったのかという疑念を抱かざるを得ない。

 繰り返しになるが、公正な競争環境は、市場を通した効率的な需給調整や、多様な参入企業による価格やサービスを巡る創意工夫など、電力システム改革の大前提である。これらは必ずや消費者の利益に繋がり、市場全体を活性化させ、回り回って競争力のある企業の利益にも繋がる。電力システム改革には、このようにして電力産業全体を成長産業化する目的もあったが、現状は程遠い結果になっている。電力システム改革の方向性が間違っていたのではなく、電力システム改革の進め方が間違っており、競争政策が不十分だったからではないか

 折しも資源エネルギー庁では、原子力政策の推進への急転換や、長期脱炭素電源オークションを含む容量市場など、大手電力会社が希望する方向の政策が強力に進められている。電気料金の高騰に対する補助金も計画されているが、これは燃料価格高騰に苦しむ(新電力を含む)電力会社への支援となる側面もある。「安定供給」や「脱炭素」、「価格低減」といった名目で、今年に入ってから様々な市場介入策が目白押しだが、全ての前提となるのは、公正な競争環境である。政府も電力会社も、電力システム改革の基本理念を肝に銘じ、公正な競争環境の整備を最優先で進めるべきである。

 

 

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2022年12月5日 5時00分朝日新聞

(社説)カルテル調査 電力大手の重い責任

電力カルテル問題を調べている公正取引委員会=東京都千代田区

 

 公正取引委員会が中国電力、中部電力、九州電力の3社などに巨額の課徴金を含む処分案を伝えた。独占禁止法に違反し、顧客の獲得を互いに制限するカルテルを結んだとの疑いだ。事実なら電力自由化の趣旨を踏みにじる不正であり、利用者への背信にほかならない。

 公取委は昨年春に調査を始めた。関西電力を含む4社が18~20年に、ビルや工場向けの営業活動を相手方の区域内では控えるよう申し合わせていたと認定したようだ。各社に意見をきいたうえで、正式に課徴金納付命令などを出すとみられる。

 関係者によると、関西電力側から各社に働きかけたとみられている。だが、カルテルを自主申告すると課徴金が減免される制度で、関電は処分を免れる見通しだ。

 電力の小売り自由化は、競争を通して効率化を促し、料金引き下げなどにつなげる意義がある。16年に家庭用も含めて全面自由化され、新規参入も含めた競争の中で、大手はシェアを徐々に下げつつある。

 今回の事案は、互いの「縄張り」を侵さないことで競争を避け、値下げを防ぐねらいだったとみられている。実際にカルテルがあったとすれば、自由化に真っ向から反する行為だ

 

 通知された課徴金は、中国、中部、九州の3社で計1千億円にのぼり、一事件として過去最大だ。

カルテルの対象範囲が、それだけ大きかったことを意味している。

 公取委の調査を受けた各社は、正式な処分に向けた手続きに協力し、判明した事実にもとづいて真摯(しんし)に対応しなければならない。処分が確定すれば、原因や責任について調査と関係者の処罰、再発防止策も求められることになるだろう。

 関西、中部、九州は業界の中核で、業界団体の会長を交代で出し、エネルギー政策の議論にもかかわっている。公共インフラの担い手として社会的な責任を厳しく問われる立場だ。

 今回の問題は、電力大手の中に、地域独占時代の体質が今も染みついていることをうかがわせる。各社がえりを正し、競争を妨げる行為がないか、点検を進めてほしい。

 最近は大手の多くが料金引き上げに動く。燃料高騰でやむを得ないと口をそろえるが、経営の効率化で値上げ幅を抑える努力を尽くしているのか、疑念を持たざるをえない。

 燃料高騰のあおりで、経営体力に乏しい新規参入組の撤退も相次ぎ、大手の存在感は再び高まっている。公正な競争環境を整えるため、政府は、電力の市場制度や監視体制の改善をさらに進める必要がある。