「国会議員が職員つるし上げ」表現めぐり産経新聞と門田氏に賠償命令

 

財務省=東京都千代田区霞が関、山本裕之撮影

 

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題を取り上げた、産経新聞への寄稿記事で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が、産経新聞社と筆者でジャーナリストの門田隆将氏に計880万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が9日、東京地裁(大嶋洋志裁判長)であった。

 

判決は名誉毀損(きそん)を認め、産経新聞社と門田氏に計220万円の支払いを命じた。

 

  【画像】情報配信サイト「netgeek」の記事で名誉を傷つけられたと訴えた原告ら 

 

 記事は2020年10月25日付の朝刊に掲載。18年3月に財務省近畿財務局の職員が自殺した件に言及し「(両議員は)財務省に乗り込み、約1時間、職員をつるし上げている。当該職員の自殺は翌日だった」と記載した。

 

一方、両議員が訪れたのは東京の本省で、自殺した職員には面会していなかった。

 

  判決は、「当該」との単語が使われ、連続した2文で構成されたこの文章を読めば「読者は、両議員が自殺前日にこの職員を集団的に批判、問責し、自殺の要因になったと理解する」と判断した。

被告側の「『つるし上げ』の対象は自殺した職員ではないと容易に理解できる」という主張を退け、名誉毀損を認めた。

 

  産経新聞社広報部は「当社の主張が受けいれられなかったことは遺憾。判決の内容を精査して今後の対応を検討する」とのコメントを出した。

(田中恭太)

 

朝日新聞社