コロナ感染者急増で供給厳しく、カロナール不足がまだ回復してません。

 

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■毎日新聞 2022/8/10 12:24

解熱鎮痛剤のカロナールが不足 コロナ感染者急増で供給厳しく

 

 新型コロナウイルス感染者の急増で供給が厳しくなっているとして、医療機関で処方される解熱鎮痛剤「カロナール」の製造元が出荷調整をしている。副作用が少なく、子どもや妊婦らに使いやすいとされるが、不足すると必要な人に届かない恐れがある。

厚生労働省は医療機関や薬局に買い占めないよう呼びかけた。専門家は「患者によっては同様の効能がある薬に置き換えられることもある」と指摘している。

 

 東京都練馬区にある桜台薬局では7月にカロナール錠剤約2000錠を処方した。例年ならこの時期の処方量は多くて500~600錠。需要が爆発的に増えたのは新規陽性者が急増した7月から。8月も数日で1000錠以上を処方した。東京都薬剤師会の会長も務める永田泰造局長は「(コロナ禍の前なら)インフルエンザも流行していない夏の時期にはありえなかった量だ」と話す。

 永田局長は「在庫不足に陥っている薬局もあるが、発熱外来の近くなど、在庫のある薬局もある」と話す。加えて解熱鎮痛剤はロキソプロフェンやイブプロフェン系などが成分の市販薬も含めて複数あるため、今のところ、薬が全く出回らなくなることを心配する必要はないという。そのうえで、「必要な人に必要な薬が行き渡るよう医療関係者には患者一人一人に適切な処方を考えてほしい」と冷静な対応を呼びかける。

 

 

 在庫不足が懸念されることを受け、健康な成人の場合はカロナールではなく、他の解熱鎮痛剤を処方する医師もいるという。

 感染症に詳しい小児科医の菅谷憲夫・慶応大客員教授は、カロナールの成分であるアセトアミノフェンについて、副作用が他の解熱鎮痛剤に比べて少なく、子どもへの安全性も確立されていることを指摘。

カロナールの需要増について、「メディアなどの情報を通じて、アセトアミノフェンが安全だと受け止められたのが理由のひとつではないか」と指摘する。

 他にも多くの解熱鎮痛剤があるとし、「例えばアスピリンはぜんそくや胃潰瘍の患者や妊婦らは避けるべきだが、多くの成人には問題がない」として「それぞれの薬の安全性を薬局で確認してほしい」としている。【秋丸生帆、寺町六花】

 

 

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大津秀一 緩和ケア医師

薬には一般名と商品名があります。一般名は薬の有効成分の名前で、商品名は製薬企業が付けた名前です。今回で言えば一般名がアセトアミノフェン、商品名がカロナールとなります。そのため、アセトアミノフェンを含んだ他の薬に関してまでも限定出荷になっているというわけではありません。 アセトアミノフェンは比較的安全性が高い解熱・鎮痛作用を持つ薬剤としてよく使われています。他に知名度が高い解熱鎮痛薬である商品名ロキソニンと異なり、腎臓に与える影響が少なく、胃潰瘍等を起こし難い等の利点があります。実はがんの患者さんの痛みに関してもよく使用されています。それほど深刻ではないがんの痛みに関しては良好な効果を期待することができます。初期的な治療に、あるいは他の鎮痛薬との併用で用いられており不足は困ります。 極端な需要増加はこのように他の分野で使用されている手段を逼迫させることがあります。状況の改善を期待したいです。

 

 

岡秀昭 埼玉医科大学教授/感染症専門医

カロナール(アセトアミノフェン)の出荷制限は極めて痛い。なぜなら解熱剤として安全性が高く、使用しやすいからだ。腹痛などの痛み止めにも使用される。代わりになるのが非アスピリン系消炎鎮痛剤(ロキソニン、ボルタレン、ナイキサンなど)だが、これらは胃潰瘍、腎障害など副作用の頻度がアセトアミノフェンより高い。特に高齢者では要注意だ。頻尿薬剤が使用規制される状況も医療供給体勢が非常事態であることを表している。

 

 

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テレビ朝日

解熱鎮痛剤「カロナール」コロナ感染急拡大で“限定出荷”

 

 新型コロナ第7波の急速な拡大。その勢いのすごさは、肝心要の薬の世界にまで影響を及ぼしています。  子どもや妊娠中の女性が熱を出した時に医師から処方される代表的な薬、解熱鎮痛剤の「カロナール」。アセトアミノフェンを主成分としています。  この薬、現在、需要に対し生産が追い付いていないというのです。

 

  製造販売元の「あゆみ製薬」によると、「カロナール錠200・300・500」について厚生労働省と限定出荷に向けた調整に入ったということです。

 

  先週半ばからカロナールの注文が前年同月比で3倍にまで急増する日もあり、原薬は調達できていても製品化する工程が追い付かない状態だというのです。

 

  他社の製品でアセトアミノフェンが含まれた市販薬もドラッグストアで販売されてはいますが、カロナールの不足が何らかの影響を及ぼすことも考えられます。

  あゆみ製薬は「イブプロフェンやロキソニンなどほかの主成分による代替薬の周知などに努めていく」ことも検討しているということです。

 

テレビ朝日