政治資金で「100万円玉ねぎ」問題は、

 

自民党:西村康稔・前コロナ相による

票をカネで買う 

利益供与であり、買収です。

 

 

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NEWSポストセブン

西村康稔・前コロナ相、政治資金で「100万円玉ねぎ」の大問題 “地元へ利益供与”疑惑

 

これは「政治活動」なのか…(時事通信フォト)

 

 玉ねぎの高騰が続いている中、国会終盤、議員会館の多くの事務所に全国的に有名なブランドとして知られる淡路島産の玉ねぎが段ボール一箱ずつ“お中元”として配られた。

 

  【写真】西村氏の政治資金収支報告書。「令和2年5月22日、土産代:115万円」と書かれる。他、配られた箱入りタマネギも

 

 

 気前のいい送り主は、淡路島を選挙区(兵庫9区)に抱える西村康稔・前コロナ担当相。現在は自民党選対委員長代行として参院選の指揮をとる立場だ。自民党で「将来の総裁候補」として売り出し中の政治家である。自民党のベテラン秘書が言う。 「西村さんの淡路玉ねぎといえば議員会館の名物ですよ。10年以上前から、毎年届けられます。この時期は会館の西村さんの事務所には広い議員応接室がいっぱいになるほど玉ねぎの段ボールが高く積まれる」(自民党議員秘書)  だが、今年は自民党だけではなく、野党である日本維新の会の議員にも配られた。  高騰する玉ねぎをもらって喜んでいるかと思いきや、いきなりの贈り物に戸惑っている様子だ。維新関係者が語る。 「玉ねぎは西村事務所の若い人が台車に載せて運んで来ました。西村先生の名刺が貼られた段ボール箱に大玉が7個入っていましたが、こんな贈り物は初めてなので、そのままもらっていいのかどうか。他の事務所には、『国会で手心を加えてくれということじゃないか』『間違って届けられたかもしれないから返したほうがいいんじゃないか』と言う人もいました」  この玉ねぎ贈与は法律に抵触する疑いもある。  公選法や政治資金問題に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授(憲法学)が指摘する。 「基本的に、国会議員が自分の選挙区に寄附を行なうことは公職選挙法で禁じられています。寄附には品物も含まれる。『1票よろしく』『選挙よろしく』と言って渡せば買収、選挙目的ではないお中元であれば買収にはなりませんが、それでは『言わねばセーフ』になってしまうので、事実上の買収を違法な寄附として禁じています。これが『地元寄附の禁止』です。  ややこしいのが自分の選挙区の範囲です。西村代議士は兵庫9区で当選していますが、近畿ブロックにも重複立候補している。次の総選挙でも重複立候補すると見られます。だとすれば、西村代議士は小選挙区内だけでなく、近畿ブロック内への寄附も禁じられていると考えるべきでしょう」  西村氏が玉ねぎを贈った先には、近畿ブロック選出の議員(有権者)も少なくない。  維新のある比例近畿ブロック選出議員の事務所は、この“迷惑な贈り物”に「西村先生とは面識もないし、他の自民党の先生からも(このようなお中元を)いただいたことはありません」と困惑する。

玉ねぎ代だけで100万円

 西村氏は政界きっての「贈り物マニア」として知られる。同氏の資金管理団体「総合政策研究会」の政治資金収支報告書を見ると、「政治活動費」の中に多額の「土産代」が計上されている。  コロナの感染拡大が始まった2020年の土産代は54件・総額約450万円、コロナ前の2019年は約825万円、2018年は約895万円と政治活動費の2割近くを占める。支払い先は百貨店や洋菓子店、アクセサリー店など様々だ。

 

  誰に、どんな目的で土産を渡したのかは報告書では一切わからない。  その中で目立つのが地元選挙区の店だ。淡路ビーフの専門店、水産会社、和菓子店などの他に、毎年、梅雨の時期に淡路の農協の子会社で玉ねぎを販売している「アグリアイランド」という会社に115万円(2020年)、111万3000円(2019年)、96万9000円(2018年)と100万円単位の支出があった。  政治資金で玉ねぎを買い、議員に配っているのではないか──。本誌・週刊ポスト記者は淡路に飛んだ。

 

  玉ねぎ農家が多い南あわじ市は収穫の真っ最中。西村氏のポスターが町のあちらこちらに貼られていた。西村氏にとって農家は大票田のようだ

 

  地元農家の女性は、「政治のことはよくわからないけど、西村さんは淡路の玉ねぎを宣伝してくれる。地元の中学の修学旅行は東京で国会見学、その時に生徒全員が西村さんと握手してもらうので、うちの子や地元の若い人たちはみんな顔を知っていますよ」と語る

 

。  贈答用の玉ねぎについてアグリアイランド社は「担当者不在」と取材に応じなかったが、農協関係者はこう明かした。 「西村先生は、以前は農協子会社のアグリアイランドから毎年贈答用の玉ねぎを買ってくれていました。その会社が2年前に販売をやめたので、昨年からは農協が設立した産地直売市場(店舗)から購入してくれます」  西村氏が今年、議員会館で配った玉ねぎの段ボール箱には、確かにアグリアイランドではなく、産地直売市場の名前が印刷されていた。産地直売市場の支配人にも話を聞いた。 「(西村氏の)事務所の方が一括で買いに来られて、うちから東京の事務所に発送しました。金額は経理の者が算出しているのでわかりません。うちの前はアグリアイランドさんの扱いなので、前のこともわかりません」

 

 

口は重かったが、どうやら西村氏が政治資金で玉ねぎを購入してきたことは間違いなさそうだ。

 

 

  産地直売市場のホームページでは、淡路玉ねぎの価格は5キロ入りで2000円。2020年は相場がもっと安かった可能性があるが、115万円分だとざっと3トン近くになる。

 

  立憲民主党衆院議員・井坂信彦氏はこう話す。 「西村さんの土産代については金額の多さに驚きました。物を贈るとしても、私は年間数万円程度ですし、何人もの人に贈ることもありません。それに、そういったものはポケットマネーで買い、政治資金を使うことはありません。また、地元から何十万円も物を買うこともありません。そんなことをしたら、地元の方への利益供与だとか、買収じゃないかと言われかねませんから」 ※週刊ポスト2022年7月8・15日号