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NASA火星ヘリ、着陸時に投棄されたパラシュートとバックシェルを撮影
火星探査車「Perseverance」の火星到着時に投棄されたバックシェル(左)とパラシュート(右上)
赤い大地に散乱する残骸を捉えたこの画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星ヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」によって現地時間2022年4月19日に撮影されました。 火星で撮影された「いびつな日食」 NASAが動画を公開 画像の左側に写っているのは、NASAの火星探査車「Perseverance(パーセベランス、パーシビアランス)」とIngenuityが着陸直前まで格納されていたバックシェルと呼ばれるもの。右上には大気圏突入時に機体を減速させたパラシュートが見えます。また、バックシェルの左上には球形をしたIngenuityの着陸脚先端の一部が、右下にはIngenuityの影が写っています。 2020年7月に打ち上げられたPerseveranceとIngenuityは、日本時間2021年2月19日朝に火星のジェゼロ・クレーターへ着陸しました。NASAと欧州宇宙機関(ESA)による火星表面からのサンプルリターン計画の先鋒として送り込まれたPerseveranceは、2022年4月までに8本の岩石サンプル採取に成功。Perseveranceの車体下部に搭載されて火星に到着したIngenuityは、2021年4月に人類史上初めて「地球以外の天体における航空機による制御された動力飛行」に成功しています。
六輪のロボット探査車であるPerseveranceには着陸用のロケットエンジンなどは搭載されていないため、着陸時には8基のロケットエンジンを搭載した降下ステージが最終段階の減速と姿勢制御を担い、ケーブルで吊り下げられたPerseveranceを火星表面に下ろしました。この着陸方法は「スカイクレーン」と呼ばれていて、先代の火星探査車「キュリオシティ」もこの方法で着陸に成功しています。 打ち上げから火星到着までの間、Perseveranceと降下ステージはお椀型のバックシェルと耐熱シールドに挟まれるようにして格納されていました。耐熱シールドは火星の大気圏突入時に機体を保護する役割を果たすもので、バックシェルに付属しているパラシュートが展開された後に投棄されています。 その後しばらくはパラシュートによる減速が続きますが、高度2km付近でパラシュートはバックシェルごと切り離され投棄されており、その後は前述のスカイクレーン方式による着陸が行われました。
スカイクレーン方式で火星表面に到達したPerseverance(下)の想像図。このあと降下ステージ(上)はケーブルを切り離して飛び去り、Perseveranceから遠く離れた場所へ落下して任務を終える