3/22電力逼迫の警報を発する経産省の無策
東京電力などの火力発電所が地震で被災した…地震に弱すぎる
西日本と東日本の連系線(注)が細すぎる-(根本原因)
11年前からわかっている電力広域融通体制をつくれ
山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
◎ 3月22日の電力受給体制について、経産省は21日夜、東電管内
2011年の東日本太平洋沖地震を除けば初めて。22日の東電管
気象庁などは22日の東海、関東地方の予報は雨になるうえ気温も急激に下がり、真冬並みに冷える見通し。予報では東京都心の最高気温は5度、標高の高い所は雪が交じるとも。
◎ 天候だけではない。3月16日に発生した最大震度6強、マグニチュード7.4の福島県沖地震で火力発電所が10箇所以上停止し
地震発生時にも需給バランスが崩れたため周波数が乱れ、210万
しかし新地火力(相馬共同火力発電の石炭火力100万kWが2基
東北電力の原町火力(石炭火力100万kWが2基)も被災してお
これらの発電所は、東日本太平洋沖地震の際よりも今回の方が被害が大きいという。震源が近く、地震動が強く伝わったこともあるのだろう。
このような原因での逼迫は、この季節に急激に気温が下がるなどすると起こり得るので、その場合は節電を呼びかける他はない。
◎ しかし東日本大震災から11年も経っているのに、やはり脆弱すぎるといわざるを得ない。
特に、広域融通体制が、依然として電力事業者による設備投資に任せたままなので、西日本と東日本の連系線(注)が細すぎる。
3・11東日本大震災時の計画停電も、東西連系の細さが原因だった。
日本の電力供給体制を、大きく変える仕組みを作らないと、このような事態が何度も繰り返される。
高圧直流送電技術を使えば、2000km以上離れた地点に大電力
北海道から九州まで、直流回線を通して大電力を通せるようにすれば、北海道が逼迫した時に九州の太陽光から大電力を送る、な
中小の再生可能エネルギー会社が自由に電力を売ることが出来る体制も確立できる。
このような仕組みを構築すれば、国民民主党の玉木代表のように電力が逼迫するなら「原発は動かすべき」などという発言にはならなくなる。
3月21日に東電が発表した22日の受給見通しを引用する。
------------------------引用開始
当社は、電力の安定供給を維持すべく努めておりますが、22日の
22日は朝から当社サービスエリアで電気をご使用いただく皆さま
翌日の電力使用見通し(3/22の見通し)ですが、現在、最新の
電力使用見通しは、随時見直しをさせていただきます。
「電気予報」による受給見通し
需要ピーク時の見通しは「非常に厳しい」の「97%」
予想最大電力(16時~17時)4,840万kWに対して供給力
使用率ピーク時の見通しは「非常に厳しい」の「97%」
予想電力(6時~7時) 3,190万kWに対して供給力3,272万kw
------------------------ 引用終了
◎ 見て分かるとおり、5500万とか6000万とか、大きな需要で
に逼迫するのは、火力の停止が大きい。
通常は需要が下がる時期なので検査などで止まっている火力が10
kWほどあることや、地震により止まっている発電所が400万k
ことが理由だ。
なお、午前6時台に使用率がピークになるのは過去に経験がないこ
だと思われる。
太陽光発電は日が昇って2時間ほどしないと出力が高くならない。
これが大きい。
夕方の16時台が需要ピークで逼迫するのも太陽光が理由だ。
3月21日の実績では昼台には1300万kWほど出力があるが、
悪くなる22日はもっと低いと見ていることと、需要ピークが日の
17時台になるから。
(注):西日本と東日本の連系線
東京電力(東日本側)は50サイクル、中部電力(西日本側)は6
サイクルと電源周波数が異なるため直接電力を送れない。
そのため東西連系線が必要になる。
これは、2011年以降210万kWの規模にまで拡大されている
東京電力と中部電力の間に建設された「飛騨信濃周波数変換設備(
FC)」が2021年3月31日から運用され、中電が岐阜県高山
kWの飛騨変換所を新設した。
一方、東電は既存の新信濃変電所に交直変換設備を増設し、飛騨と
新信濃を結ぶ飛騨信濃直流幹線を建設。
これで120万キロワットから210万キロワットに拡大すること
なった。