ロシア軍は撤退せよ
  核爆弾ばかりか、原発も核戦争の手段になる恐怖を証明


                                   鎌田 慧(ルポライター)

 この原稿を書いているあいだにも、ロシア軍によるウクライナへの侵略が続き、多数の市民が殺戮(さつりく)されている。どうしたらこの非道の軍隊を撤退させられるのなろうか。
 プーチン大統領がウクライナのNATO加盟の動きなどロシア離れに苛立(いらだ)ったにしても、武力で政権を変えようとするとは想像できなかった。

 第二次大戦以降でも朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などで兵士以外にも多くの人たちが戦火に巻き込まれて死んだ。
 いまプーチンは街を破壊し、住民を殺害しながら、ウクライナの「中立化」「非武装化」「政権交代」を要求し、死者ばかりか膨大な避難民を発生させている。
 そのひとりひとりに、彼はどう責任をとろうとするのか。

 大国による周辺国の主権無視の暴虐が、21世紀になっても公然と行われている。アジアでもこれから起こりそうだ。
 ロシアの侵略戦争は各国の軍備強化を引きだす。

 安倍晋三首相、得たりとばかり米製「核」の「共有」論を展開、日本維新の会の松井一郎代表ばかりか自民党の福田達夫議員や世耕弘成議員なども同調している。

 
プーチンは核兵器使用を脅しに使い、チェルノブイリやザポロジエ原発を制圧。
 ついに現代は核爆弾ばかりか、原発も核戦争の手段になる恐怖を証明した。
 日本政府は防弾チョッキの供与を決めた。武器輸出準備のつもりか

       

     (3月8日東京新聞朝刊25面「本音のコラム」より)