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12/22(水) 2:26毎日新聞
プーチン露大統領、欧米に対し「軍事的措置」を警告
ロシアのプーチン大統領は21日、国防省の会議で「西側諸国が攻撃的路線を続けるなら、軍事技術的な対抗措置を取る」と警告し、安全保障に関するロシアの提案を受け入れるよう欧米諸国に迫った。7日に実施されたバイデン米大統領とのオンライン会談で、米露で安保問題を協議していくことになったが、露側は北大西洋条約機構(NATO)の不拡大を求めるなど強硬姿勢をあらわにしている。ラブロフ露外相によると、米国との最初の協議は2022年初めに開かれる予定だが、難航は必至だ。
プーチン氏は会議で、冷戦終結後にNATOが中東欧諸国に拡大したことや、米軍が「自国の領土から何千キロも離れたところで活動している」ことなどを非難。ロシアがウクライナ南部クリミアを強制的に編入し、欧米からの強い非難や制裁を招いたことなどには触れず「欧州の緊張は全て彼ら(欧米)のせいだ」と訴えた。
プーチン氏は欧米諸国との間で「長期的な、法的拘束力のある(安全の)保障が必要だ」と改めて主張。「非友好的な措置には厳しく対抗する。我々はロシアの安全と主権を確保するために行動する完全な権利を持っている」と強調した。
バイデン氏とのオンライン会談で、プーチン氏はNATOの不拡大などを含めた安全保障文書の締結を要求。露外務省は15日に露側の要求をまとめた米露2国間の条約案やNATOとの協定案を米国に提示し、17日にはその内容も公表した。
それによると▽NATO加盟国のバルト3国を除く旧ソ連諸国と軍事協力などをしない▽欧州への核兵器の配備を停止する▽NATOの東方拡大前の1997年時点の配置までNATOの部隊や兵器を戻す――ことも米国に要求した。
事実上、中東欧諸国がソ連とNATOの間の緩衝地帯だった冷戦時代の力関係にまで戻すことを求めており、NATO加盟国からは反発が上がっている。
交渉中の条約案などを公表するのは外交上、異例の対応だ。ロシアは早期の交渉開始を繰り返し要求しているが、見返りにロシアが譲歩する内容は明らかにしていない。
プーチン氏は21日の会議で「我々は政治的、外交的な問題の解決を望んでいる」と訴えたが、ロシアの提案は軍事行動に移る前の事実上の「最後通告」との指摘も出ており、ウクライナ国境周辺に集結するロシア軍の動向に懸念が強まっている。
ロシアのプーチン大統領=ロシア南部のソチで2021年11月24日、AP
【前谷宏】