RNA定性検査

 

事 務 連 絡 

令和2年5月25日 

 

都 道 府 県 各 保健所設置市 衛生主管部(局)御中 

特 別 区 厚生労働省健康局結核感染症課

 

 感染症発生動向調査事業の活用によるPCR検査の体制強化のための 研修の実施について 

 

新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査については、医師が必要と認 める場合に確実に実施されることが重要であり、この件数の増加のため、更なる 検査体制の整備が急務となっている。PCR検査については、検査のための鼻腔・咽頭拭い液の検体採取と、採取した検体のPCR検査実施を行う必要があり、 検査体制の整備に当たっては、検体採取業務を行うことができる医師、看護職員 又は臨床検査技師及びPCR検査業務を行うことができる者(臨床検査技師等) の人材を確保することが重要である。 さらに、検体採取を行う医師、看護職員又は臨床検査技師の確保が困難な場合は、新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取を歯科医師が行うことは、公衆衛生上の観点からやむを得ないものとして、医師法第 17 条との関係では違法性が阻却され得るものと考えられるとの見解が、別添1の「新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取の歯科医師による実施について」(令和2年4月 27 日 付け厚生労働省医政局医事課及び歯科保健課連名事務連絡)において示されて おり、歯科医師による新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取に際しては、必要な研修を受講することが示 されている。 また、採取した検体のPCR検査業務については、手技の煩雑さから適切な処置を行うために必要な技術習得のための研修を受けることが望ましい。 これらの研修を自治体が開催するに際しては、感染症予防事業費等国庫負担 (補助)金(感染症発生動向調査事業)の活用が可能であり、地域の歯科医師会・臨床検査技師会等に対する各研修の委託など含め実施を検討されたい。

 

なお、各 都道府県歯科医師会及び各都道府県臨床検査技師会(以下「地臨技」という。) に実施における協力が得られることとなっており、実施に当たっては、あらかじ め後掲の問い合わせ先にご連絡されたい。 

ついては、関係団体との連携を密にし、当該補助金を活用した更なる検査体制 の整備をお願いする。 

 

○各研修の実施に当たる問い合わせ先 

 

(1)歯科医師の研修:新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取に関する研修 問い合わせ先:厚生労働省医政局歯科保健課 

 

(2)臨床検査技師の研修:新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPC R検査において採取した検体の検査手技の研修問い合わせ先:一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(以下「日臨技」とい う。) TEL 03-3768-4722 / FAX 03-3768-6722 E-mail jamt@jamt.or.jp 

※ なお、日臨技及び地臨技が協力をして当該研修を実施する場合の具体的 な研修方法等については、別添2のとおり日臨技においてとりまとめてい るため、あわせて参考されたい。 

 

 

事 務 連 絡 

令和2年4月 27 日

 

 都 道 府 県 各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中

 

 特 別 区 厚生労働省医政局医事課

 厚生労働省医政局歯科保健課

 

 新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査のための 

鼻腔・咽頭拭い液の採取の歯科医師による実施について 

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新型コロナウイルス感染症に関するPCR 検査の件数も増加しており、新型コロナウイルス感染症が拡大している地域においては、今後の感染者数の増加に備えた更なる検査体制の整備が急務となっている。PCR検査については、検査のための検体採取として、鼻腔・咽頭拭い液の採取を行う必要があり、検査体制の整備に当たっては、検体採取業務を行うことができる医師、看護職員又は臨床検査技師の確保が課題の一つとなっている。

 

 こうした中で、新型コロナウイルス感染症が拡大している地域においては、地域の医療提 供体制を維持しつつ、更なる検査体制の充実を図る必要があることを踏まえ、4月26日に医 道審議会医師分科会及び歯科医師分科会合同による「PCR検査に係る人材に関する懇談会」 を開催し、新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取の歯科医師による実施の可否についての法的な整理について検討を行ったところである。

 

 同懇談会での検討の結果を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR 検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取の歯科医師による実施の可否についての法的な整理について、下記のとおりとりまとめたので、その内容についてご了知いただくとともに、地域 の医師会や歯科医師会をはじめとする関係者へ周知し、時限的・特例的な取り扱いとして、 各地域における関係者の連携の下で、必要に応じ、歯科医師の協力を得てPCR検査体制の 強化に取り組んでいただくようお願いする。

 

 記 (別添1)

  1.PCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取の医行為・歯科医行為該当性について 新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取については、「歯科医行為」ではなく「医行為」に該当するものであり、医師等の資格を有さない歯科医師が反復継続する意思をもって行えば、基本的には、医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 17 条に違反する。

 

 2.新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際してのPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の歯科医師による採取の違法性について 違法性阻却の可否は個別具体的に判断されるものであるが、歯科医師は、その養成課程において、感染症対策や口腔領域の構造、検体検査についての教育を受けており、また、 口腔領域に加え、口腔と連続する領域である鼻腔や咽頭周囲の治療にも関わっていること を踏まえると、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している状況下で、検体採取を行 う医師、看護職員又は臨床検査技師が確保できないことを理由に必要な検査体制の整備ができないような場合においては、少なくとも下記の条件の下で新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取を歯科医師が行うことは、 公衆衛生上の観点からやむを得ないものとして、医師法第 17 条との関係では違法性が阻却され得るものと考えられる。

 

 (1)感染が拡大し、新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための 鼻腔・咽頭拭い液の歯科医師による採取を認めなければ医療提供が困難になるという 状況であること。

具体的には、 

・ 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年法律第 31 号)第 32 条第1項に 基づく新型インフルエンザ等緊急事態宣言の期間中又は新型コロナウイルス感染 症の感染拡大によりPCR検査の必要性が増大している状況下で、

 ・ 地域に設置された地域外来・検査センターにおいて、直ちに検査を行わなければ 感染が急速に拡大する等の緊急性を要するという状況で、都道府県協議会や地域医 師会等の関係者間で検体採取に必要な医師、看護職員又は臨床検査技師を確保する ことが困難であること。 

 

(2)新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い 液の採取に関し必要な研修を受けた歯科医師が実施すること。

 

 (3)実施に当たって、歯科医師による検体採取について患者の同意を得ること。 なお、PCR検査の必要性については、医師が医学的に判断すべきものであり、歯科医 師がPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取を行うに当たっても、医師の適切な関与 の下で行われる必要があること。 

 

 3.研修について 上記2(2)の研修について、具体的な研修内容の例は以下のとおりであること。

 

  研修内容:以下の内容を含むものとする。 

 ① 鼻・口腔・咽頭部の解剖

 ② 新型コロナウイルス感染症に関する基礎知識

 ③ 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理の基本

 ④ 個人防護具の適切な着脱方法 

 ⑤ PCR検査の基礎知識

 ⑥ 検体採取方法の実際と検体採取時の留意事項(鼻出血への対応等) 等

 ※④⑥については、実技研修も実施すること。 

(実技研修については、講義と同日でなくてもよいこととする。) 

  研修時間:3時間程度 (実技研修の時間も含む。) 

 

4.厚生労働省による支援 歯科医師の協力を得て行うPCR検査の具体的な実施方法等については、厚生労働省医 政局医事課・歯科保健課において必要な助言・協力を行うこととしているので前広に相談 されたい。 また、3.の研修については、その内容等を事前に厚生労働省医政局医事課・歯科保健 課に報告すること。なお、厚生労働省においてeラーニングを活用した研修についての検討を進めているところであり、追ってお示しすることとしているが、各地域において類似 の研修が予定されている場合には当該研修を活用する等、地域の状況に応じて実施するこ とも差し支えないものとする。

 

 新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査において 採取した検体の検査手技の研修について 

 

第1 研修会の開催方法、実施主体 一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(以下「日臨技」という。)及び都道府県臨床(衛生)検査技師 会(以下「地臨技」という。)が協力をして、都道府県(保健所設置市及び特別区を含む。)が標記の研修 を実施する場合に、標記の研修は

(1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修及び

(2)実地研修により開催 し、

それぞれ(1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修は日臨技が実施主体となって、(2)実地研修は都 道府県が実施主体となって、開催するものとする。 ただし、(2)の研修については、都道府県の委託を受け、当該都道府県臨床(衛生)検査技師会(以 下「地臨技」という。)が業務の全部又は一部を受託することができる。 

 

第2 受講対象者

 都道府県又は医療機関等において、PCR 検査のための要員を確保し、体制を整備及び充実するため本研修の受講が望ましいと判断した者 

 

第3 開催方法、開催時期 

(1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修 開催方法:Web を活用したオンラインによる基礎研修 開催時期:令和2年6月中に開始実施予定、日臨技ホームページ(URL://www.jamt.or.jp/)に掲載 し、日臨技ホームページ上で常時配信、聴講可能とする。

 (2)実地研修 (1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修の受講修了者を対象として都道府県が順次開催する。 

 

第4 研修の内容、

実施方法 (1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修 遺伝子検査の基礎ベースを中心に 240 分程度実施する(予定)。

 〈カリキュラム〉 

科目 所要時間

 内容 研修会の趣旨説明 30分 オリエンテーション

 遺伝子の基礎 30分 

新型コロナウイルスに関する遺伝子検査の基礎について遺伝子検査の実例 60分 

遺伝子検査における核酸抽出(RNA 抽出)、

逆転写反応、

核酸増幅検査、

結果の判定、

安全キ ャビネットの取り扱い、

滅菌、

個人防護具の着用、ピペット操作等 

各メーカーの遺伝子検査の試薬及び機器の概要 120分

 実例を通じて各メーカーの試薬・機器の概要を 説明 (別添2) 

 

(2)実地研修 

① 実施方法 (1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修を修了した者は、都道府県が定める日時及び場所において、 関係団体との密な連携のもと、実地研修(実技指導)を実施。

 ② 実技指導(例) 都道府県において受講者の実力を勘案しつつ調整する。指導例の一例としては次のようなものが考えられる。 

ア 行政検査支援コース(高度な遺伝子増幅検査法:1回 10 名程度) 地衛研などで実施している RT-PCR 検査は難易度が高く訓練内容も高度な内容が必要。そのため大学等の施設や地衛研、保健所などを想定。 

〈具体的な実施指導内容、項目等〉 

病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1(国立感染症研究所発出)に従って研修を実施。 

・検体の採取と保存

 ・材料、機器、器具および試薬、操作上の注意

 ・RNA の抽出 

・2-step RT-PCR 法、あるいは TaqMan プローブ を用いたリアルタイム one-step RT-PCR 法による 遺伝子検査 ・測定結果の判定

 ・精度管理 ・試薬調整、個人防護具等の検査環境 

・その他必要な事項

 イ 機器の新設コース(Lamp 法等やや難易度の低い遺伝子増幅検査法:1 回若干名) LAMP 法等を新たに導入予定の施設に向けた実地研修、LAMP 法の検査機器を保有する施設または大学等での実技訓練(研修は 1 日を想定)

 〈具体的な実施指導内容、項目等〉 ・検査実施に必要な個人防護具・検査環境・備品等 ・検体の採取・RNA の抽出 ・検査手順と装置の操作方法 ・測定結果の判定 ・精度管理 ・その他必要な事項

 第5 受講申込

 ・ (1)核酸増幅検査(PCR 等)基礎研修の受講申込みは、日臨技ホームページの「核酸増幅検査 (PCR 等)基礎研修会」の専用ページから行う。

 ・ (2)実地研修は、都道府県等が定める方法で行う。

 

https://www.jamt.or.jp/studysession/nat/asset/pdf/mhlw_info.pdf?20200615