「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、次のような「衆議院総選挙報道に関する申し入れ」をまとめ、10月15日(金曜)、下記宛てに発送しました。
 ※ 申し入れ書送付先:以下の各番組制作担当/各紙編集局

○ NHK:報道局長、おはよう日本、ニュース7、ニュースウオッチ9、日曜討論、広報局視聴者部
○ 日本テレビ:ミヤネ屋、News every、News Zero
○ テレビ朝日:報道ステーション、羽鳥モーニングショー、大下容子ワイド!スクランブル、Jチャンネル
○ TBSテレビ:ひるおび!、Nスタ、News23、報道特集、サンデーモーニング
○ フジテレビ:バイキング
○ 朝日新聞 東京本社編集局、大阪本社編集局
○ 毎日新聞 東京本社編集局、大阪本社編集局
○ 読売新聞 東京本社編集局、大阪本社編集局
○ 産経新聞 東京本社編集局、大阪本社編集局

2021年10月15日

 NHK・民放各局・全国紙各紙 御中
 

◎ 衆議院総選挙報道に関する申し入れ




NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
代表 醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/


 総選挙(10月19日公示、10月31日投票)をまじかに控え、有権者の賢明な投一票権行使に資する報道を願い、政策本位の報道要望を具体化した以下のような申し入れをいたします。ぜひとも、ご一考いただくようお願いします。

 Ⅰ、私たちが求める総選挙報道のあるべき姿

 一言でいえば、質量ともに充実した、有権者の理性的な投票行動に貢献する報道です。
 「質的に充実した」とは、「候補者奮戦記」、「選挙区情勢」といった政局報道の延長ではなく、有権者の関心事を第一にした政策本位の争点報道ならびに争点解説ということです。その場合、各党の主張をそのまま伝える受け身の報道ではなく、各局・各紙の独自の調査を踏まえ、各党にとって不都合な事実もためらわず質す能動的自立的な報道を要望します。
 「量的に充実した」とは、各党の政策を駆け足でまんべんなく切り貼りするのではなく、それぞれの違い、争点をわかりやすく伝え、解説するのに必要な時間を十分、確保するという意味です。

 Ⅱ、報道に当たって私たちが重点的に取り上げてほしいと考える論点
 Ⅱ-1 各党・各候補者に共通して問いかけてほしい論点


 ①矢野康治財務事務次官は『文芸春秋』11月号に寄稿した論稿で、各党の公約を「バラマキ」合戦と批判し、財源を顧みないこうした政策論では日本は長期債務の重圧がさらに増し、財政破綻の危機が強まると批判した。各党は矢野氏のこうした現状認識、各党の政策評価をどう受けとめるのか?同意しないなら、具体的にどのように反証するのか?

 ②先の自民党総裁選の立候補者間で基礎年金の財政方式(国庫負担と保険料折半方式の維持か、全面的な税方式への切り替えか)や奨学金の返済に苦しむ若者への支援をめぐって議論が交わされた。これらの問題は与野党を問わず、先送りできない最重要課題である。各党は共通してこうした問題に取り組むとしているが、具体的にどのような財政方式、支援策を考えているのか?そのために必要な予算措置(歳出)と財源(歳入)をどのように積算し、確保しようとしているのか?

 ③近年、災害が発生するたびに水道管や架橋などに毀損が起こり、インフラ整備の遅れが指摘されている。その一方で、上下水道の維持費の増嵩を賄うたあとして水道料金の引き上げが続き、水道事業の民営化(運営権売却)を検討する自治体も現れている。各党は「命の水」を守るために、水道事業の具体的な運営方式の将来像をどのように策定する(している)のか?


 Ⅱ-2 与党に問いかけてほしい論点

 ④菅政権時代には、早くから医療体制を確立する必要性が唱えられていたにもかかわらず、コロナ感染が急拡大するなか、救急搬送・人的物的な医療体制の立ち遅れから、自宅「療養」という名の自宅「放置」者が急増し、一度も治療を受けられないまま、自宅で亡くなった人が多数に上った。与党各党は、その具体的原因はどこにあったと考えているのか?その教訓を踏まえ、次の感染の波に備え、今のうちに、具体的にどのような体制整備を手掛けるのか?

 ⑤岸田首相は、「分配なくして成長なし」と唱えているが、就任早々、不公正税制の典型とされてきた金融所得の優遇税制を見直す考えはないと公言した。では、岸田首相が言う「分配」とは、誰から誰への(再)分配なのか?分配を成長の前提条件とするのなら、分配の原資は将来の成長の果実ではなく、今ある成長の果実と考えられる。では、具体的にどのような果実を分配の原資とするのか?それを再分配するには相応の税制改革が必要となるが、安倍政権以来、採用されたものの目ぼしい効果を生まなかった賃上げ促進税制で事足りるのか?

 ⑥岸田首相は核なき世界を唱えながら、その第一歩となるはずの核兵器禁止条約に関しては、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努める」という歴代自民党政権とまったく変わらない姿勢を表明した。しかし、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加さえ見送って、どのような方法で「橋渡し」をするのか?できるのか?


 Ⅱ-3 野党に問いかけてほしい論点

 ⑦野党各党は生活困窮者への再度の一時金支給、大学生への現金給付や学費・奨学金免除、公的補助による大規模なPCR検査の実施などを公約に掲げる一方、消費税の5%への引き下げや年収1千万円以下の世帯の所得税を当面免除するなどの公約を発表している。では、各党はこうした政策にどのくらいの予算措置(歳出)が必要と積算しているのか?また、そのたあの財源を、消費税減税の補填も含め、どのように確保すると積算しているのか?

 ⑧野党は共闘で政権交代を目指すとしているが、目下の日本の内政・外交の基本に関わる日米関係に関し、立憲民主党は日米同盟を軸として世界の国々との連携を強化するとしている。また、これとは異なる立場に立つ共産党は党独自の見解を新しい政権に持ち込まないとしている。では、政権交代が実現した場合、沖縄辺野古の新基地建設の中止、沖縄の基地負担の軽減、全国どこを問わずオスプレイの配備反対、広大な横田空域の危険除去などを実現するのに避けて通れない日米地位協定の抜本的見直しを具体的にどのように進めるのか?