=立川テント村通信=
 ◆ 朝雲レポート(7/29号~9/23号)

 ★ 自衛隊も全面的に協力したオリンピック。朝雲も毎号1面の大見出しで自衛隊体育学校から出場した選手のメダルの獲得や隊員による開会式での国旗掲揚の様子を伝えた。ある意味で最も注目されたのがブルーインパルスだろう。「世紀の飛行」「上空の『五輪』に歓声」などの見出しが躍る。
 私などには、ほとんど崩れて輪に見えなかった五輪。朝雲は「風の影響でかすれた部分もあったが、・・・輪を描き切ると、観衆から大きな拍手が沸き起こった」と報じている。とても「部分もあった」などというのは無理があるのでは?
 もちろん、入間基地周辺の車約300台にペンキが付着した問題にはまったく触れていない。
 「朝雲寸言」は「前例のない『波風』にもかかわらず今大会が開催されて本当によかったとしみじみ感じる」と述べている(7/29、8/5、8/12号)。


 ★ 横田のC130輸送機を使った日米共同の空挺降下訓練が増えている。7月30日には横田からグアムのアンダーセン基地まで4時間半フライトし、降下する訓練が行われた。
 習志野の第1空挺団110人が参加。完全武装での「長時間の飛行というストレス」など「より実戦的なものとした」そうだ(8/19号)。

 ★ 自衛隊が学校に浸透する口実に使われている「防災教育」。コロナ状況下でもリモートで行われている。
 福岡地本が実施した小学生への「防災授業」の様子が紹介されている。社会科の「防災学習」の一環として行われた。地本隊員が迷彩服姿でオンラインで災害派遣だけでなく、自衛隊の仕事、国際平和協力活動についても説明。「子供たちもロープワークに挑戦、出来上がると歓声を上げていた」そうだ。
 自衛隊の仕事やPKO活動は防災とは関係ないだろう。すぐにやめてもらいたい(8/26号)。
 さらに、愛知の守山駐屯地では、高校2年生8人が、迷彩服に着替え3日間の「インターンシップ」に参加している。高気動車の試乗、ロープワーク、『生存自活のためのライフハック(仕事術)』、航空機の誘導体験、国民として自衛隊に期待することと題した発表などが行われた。
 自衛隊への就職希望者向けのものなのか不明だが、全国ではもっと酷い例もあるかもしれない(9/23号)。

 ★ アフガンへの自衛隊機派遣。
 8月23日午前、政府が国家安全保障会議(NSC)で派遣を決定。防衛省は航空支援集団司令官を指揮官とする「邦人等輸送統合任務部隊」を編成。さらに現地に中央即応連隊長を指揮官とする「空輸隊」「誘導輸送隊」などからなる「邦人等輸送派遣統合任務部隊」を編成。
 また、カブールの国際空港内には「現地調整所」が開設され、情報収集などが行われた。
 タ方には、美保のC2輸送機1機が入間基地で隊員や機材を搭載。再び美保に戻り給油し、24日未明に出発した。
 24日午後には小牧のC130輸送機2機が入間基地を出発。
 8月25~27日の間、拠点のイスラマバードとカブールの空港を計5往復し、日本人1人、米軍から要請されたアフガン人14人を輸送。
 8月31日、空自機3機と陸空の隊員計200人に撤収命令が出され、9月3日にC2輸送機1機が入間に帰国。4日にはC130輸送機2機が小牧に帰国した。

 9月3日には入間基地で帰国行事が行われ「全派遣隊員が『一騎当千』、陸空一体のチームの一員としてそれぞれの持ち場で八面六臂の活躍を果たしてくれたことが任務の完遂につながった」と航空支援集団司令官金古真一空将が訓示した。
 結局1人しか輸送できなかったのに「任務の完遂」とはよく言えたものだ。それにしても四字熟語が多い。
 「朝雲寸書」(9/9)は米軍の撤退は日本には朗報。理由は述ぺる必要もない。マスコミが米国は敗北したと言うのは「同盟国を既め、中国やロシアを喜ばせる罪深いプロパガンダでしかない」と述べている。
 「春夏秋冬」(9/16)では前統合幕僚長の河野克俊が、アフガン治安部隊が総崩れになったことについて「旧日本軍は、精神主義に偏重して負けたとよく言われる。しかし、軍に精神がなくてよいということではない」「使命感を抜きにして精強な軍は育成されない」などと書いている。
 着眼点がそこかとあきれるが、そのうちまた、精神こそが戦の要諦などと言い出すのではないか。旧軍の反省すら過去のものになりつつある(8/26、9/9、9/16号)。