《月刊救援から》
 ◆ 刑務所花子放浪記①

 私は今年の三月二三日に福島刑務支所をいつものように満期で、そして四度目の出所をしました。帰る家も頼れる身内がいないのもいつものことでした。
 とにかく、いつも帰るアテはないが、長年生まれた時からの住まいは東京なことと、生活保護を申請する上でNPO法人もやいや共産党とか、親・親戚に頼れない身分なので、そのての相談できて支援を得られる団体は東京に多くあるから、いつも東京に帰郷してました。

 今回、福島から東京に戻った時間が夜中になり、新宿歌舞伎町の漫画喫茶に泊まりました。私はこれまでも東京各所の漫画喫茶を泊まり歩いてきたので、漫喫の会員力ードはいくつも所持してました。マンボーに一週間泊まり、すぐ近くのアプレシオの方が安くてサービスが良いことに気付き、移動。

 ◆ 保護会とNPO施設

 私はこれまで、服役中に申し込んだ保護会はいつも断られ、満期出所者に渡される保護力ードを使っても、受け入れてもらったことはありませんでした。


 観察所へ電話しても「女子は部屋が少ないから」とか「会ってから受け入れるか決めます」「でも、交通費払ってせっかく来たのに入れなかったら無駄になるから、自分でそういうNPOとか探した方が良いですよ」という風に断る気満々の応対でした。

 保護会というものは、在監中に帰る家や頼れる身内無き者が申し込んで、全国各所ある保護会へ一時的に生活する場です。仕事を見つけてアパートなどへ転宅して退所する人や、身内でアテが出来て退所する人もいます。
 入居する期間は短く、数ヶ月で退所しないと、次々出所してくる人を収容できなくなります。延長もありますが、数ヶ月なのでうかうかできません。私はこれまでも保護会に申し込みましたが、いつも断られてました。理由は教えてもらえません。
 四回目服役中は保護会申し込みはしませんでした。なぜなら、累犯から保護会のトラブルや規則の厳しさなど問題を聞かされていたのと、過去二回、出所後NPOの施設に入居した経験から、出所者の入居する保護会と似てることで引いたから。

 NPO施設は心身病んでいる人が多く、ケンカ揉め事で精神科やNPOを次々と出入り禁止になってる人などがいて、寮も辺鄙な場所なので何か用事で出かけると交通費が嵩みますし、門限も早いので、アパート探しや、仕事も決まっても遅くまでや遠方はムリ。
 入居体験ある累犯者から聞くと、保護会も同様でした。寮の中で覚醒剤キメる人、共同冷蔵庫に入れた食材盗み食いされたり、その他私物が盗まれたり、門限が一七時というところもありました。“訳ありの人”の集まる場はどこも酷似してるものです。自分も“訳ありの人”なのだけど。

 NPO施設は生活保護で入居できますが、保護会は病気持ちでも、生活保護に頼らず、働くことが前提です。なので生活保護を申し込みたいという人は断られ易いです。私は小学生の頃からの生活保護受給者でした。


 ◆ はじめての保護観察所

 二五日に保護観察所のある法務省へ行きました。
 これまで保護力ード記載の電話番号へ事前に連絡しても、いつも門前払いで、電話機越しに話す職員も素っ気無く断る対応でしたが、今回は門前払いせず、法務省内に初訪問出来ました。
 対応した女性職員は、これまでの他人事のような対応ではなく、私が発達障害があったり、国籍で職やアパート契約拒まれ易いことから、数ヶ月の施設入居中に職や住まいを得るのは困難ということは理解してくれて、書類に生活保護申請し易いようにと「保護会入居受け入れ難」といったことを記入してくれて、衣類や非常食や日用品をくれました。
 今後、ネカフェ生活から、コロナ失業者対策で都の用意したホテル暮らしから、コロナ感染で更に別のホテル暮らししたこと、ホームレス炊き出しにも通ってることなど、どんぐりころころな私のチン騒動?を発信して行く予定です。
 (ゴールデンパンダ)

『月刊救援 629号』(2021年9月10日)