◆ コロナ禍の21春闘
   ~実質賃金低下 20年も続く日本
 (週刊新社会)

 

 

 


 21春闘が1月27日の連合と経団連のトップ会談で事実上始まった。新型コロナ感染の影響は労働側に重しとなっているが、二十数年間の賃金低迷は国際的にも異例であり、非正規労働者が抱える課題も含め、労働側が毅然として闘う態勢で臨めるかが焦点だ。

 ◆ 社会保障崩壊にも直結

 まともな賃金は、まともな社会保障の基盤のひとつ、と言うのは社会保障の多くが賃金収入を基礎とする社会保険料で支えられているからだ。そのため、低賃金構造は社会保障を崩壊させる
 97年消費税を3%から5%に引き上げてから実質賃金はほぼ低下の一途で、図1に見るように日本だけが97年に比べて実質賃金が低下している。


 これは春闘でのべースアップが低迷していることと、この間の非正規労働者の増大が大きな要因となっている。
 合わせて欧米の労働組合は産業別組織であり、日本の企業内労組とは闘争力が違う。日本の場合は企業の支払い能力論に負け続けている。賃金を引き上げたくない経営側は、引き上げられない口実を作り上げる。


 ◆ 問われる闘う構え

 低迷する賃金水準をよそに大企業の利益は増大し、株式配当を増やし、膨大な内部留保を貯め込んでいる。この構造をどう変えるかが春闘の課題となる。
 もちろん賃金引き上げとともに、最低賃金の大幅な引き上げや非正規労働者の労働条件向上、差別を許さない闘いは本気で取り組むべき課題だ。

 政治を変えることも大きな課題だ。韓国では、ムン・ジェイン大統領が当選して最低賃金を大幅に引き上げて日本を追い越した
 バイデン米大統領は、連邦最低賃金を2倍の15ドルへの引き上げを表明した。

 そして、経済を冷やしている消費税の問題。
 消費税は、大企業や富裕層に減税し、その肩代わりを庶民にさせている
 秋まで総選挙がある。春闘は、企業の枠を超えた社会的な運動として政治課題を前面に出す絶好のチャンスだ。

『週刊新社会』(2021年2月9日)