《労働情報-特集:Corona vs Union[HTS添乗員]》
 ◆ アサインされたツアーがない時「みなし休業補償」かちとる

菅野 存(東京東部労組委員長)


 3月以降、新型コロナウイルスの影響で国内・海外のツアーが軒並み中止となる中、登録型派遣旅行添乗員で組織する東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部は添乗員の生活を守れ!との声を上げ、会社に対し粘り強い闘いを続けています。
 HTS支部大島組合員の場合、恒常的に添乗している阪急交通社のツアー、とりわけヨーロッパ方面のツアーがのきなみ中止となっていることをうけ、添乗する予定であった3月・4月のツアーがキャンセルされ、以降も現在まで「仕事がない」状態となっています。

 形式上、「ツアーごとの雇用契約」である登録型派遣添乗員にとっては、ツアーのキャンセル=「仕事がない」ことがより顕著なかたちで収入の減少に直結します。


 また添乗するツアーそのものがない状況が続けば事実上の失職状態となり、生活がなりたたない状況となります。
 組合の要求をうけ3月下旬、会社は「割り振られた(アサインされた)・キャンセルとなったツアー」について100%の休業手当を支払う、と表明しました。
 しかしこれだけでは補償は不十分です。
 旅行会社がツアーの催行自体を見合わせている中、現在は「アサインされたツアー」自体がなくなっています。これは「休業補償の対象者がいなくなる」ことを意味しますし、当該添乗員にとっては休業の補償がなくなり、無収入の状態となります。

 組合は会社に対し「ツアー(形式上の雇用契約)のない期間についての休業の補償」(「みなし休業補償」)を行うよう求めました。
 また、添乗員派遣会社の業界団体である「日本添乗サービス協会」(TCSA)に対しても要請書を送り、各企業への指導を求めるとともに、福島みずほ参院議員に要請し「みなし休業補償」を雇用調整助成金の対象とするよう厚労省への働きかけを行っていただきました。

 これらの闘いの結果、5月28日の団体交渉で会社は、「みなし休業補償」を実施する旨を明言しました。
 また、厚労省も「登録型派遣添乗員のみなし休業について雇用調整助成金の対象とする」との趣旨を言明しました。

 組合の闘いの結果、ひいては当事者であるHTS支部大島組合員が労働組合で声をあげた結果、「みなし休業補償」の実現をかちとることができました。闘いの大きな成果です!
 同時に、今回の厚労省の動きは全国の登録型派遣添乗員に闘いの展望をもたらすものでもあります。

 雇用調整助成金の適用を背景にすれば、みなし休業補償を要求して実現させていくことが不可能ではなくなりました。
 ただ、阪急トラベルサポートにおける「みなし休業補償」の内容には賃金の水準など、不十分な点もあり、東部労組HTS支部は生活できる休業補償を求めて会社に要求を続けていきます。
 また、全国の登録型派遣添乗員の仲間にも「労働組合で闘おう」との呼びかけを続けていきます。

『労働情報』(2020年8月)

 

 

 

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