《予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ』から》
 ◆ コロナが変えた卒入学式

 新型コロナウィルスは今年度の都立高校の卒業式・入学式のあり方を大きく変えました。
 2月26日に、卒業式の実施について「参列者の制限及び時間短縮」が書かれた通知が教育長名で出され、各学校では都教委からの指示に基づき、式次第の手直しが行われました。

 更に28日に”国旗を式場内に掲揚しないことや国歌斉唱を行わず国歌を流さないことも不適切ではない”とした「事務連絡①」と「都立高校における国旗国歌の取り扱いについては『国旗掲揚の下に、体育館で実施する』『国歌斉唱を行う』という方針に変更ありません。」とした「事務連絡②」という明らかに矛盾する内容の事務連絡を都教は立て続けに各学校長宛に出しました。

 都教委のこれらの指示により、都立高校では様々な式次第で卒業式が実施されました。


 保護者代表謝辞、都教委挨拶、祝電披露全ての学校でカットされましたが、
 校歌斉唱、卒業生代表答辞、在校生代表送辞、式歌(卒業の歌)斉唱については、各学校の判断に任されました。
 ①国歌斉唱、②校長式辞、③卒業証書授与だけに縮小して実施した学校も多くありましたし、卒業証書授与の際の呼名までカットした学校もありました。

 飛沫感染防止のために校歌や式歌をカットしながら国歌は斉唱するという異様な式が行われたのです。今年の卒業式は、生徒や教職員の命や健康よりも国旗掲揚や国歌斉唱を優先する都教委の異常さを浮き彫りにしました。

 入学式は更に混乱しました。
 3月下旬に行われた職員会議では「国歌斉唱あり」の形での職務命令が出されましたが、4月1日付で「国歌斉唱なし」を指示する通知があり、各学校では「10.23通達」以降初めて「国歌斉唱なし」の職務命令が出されました。
 しかし4月7日に緊急事態宣言が発出されるという状況の中、4月6日に入学式延期のメールが都立学校の校長あてに送られてきました。
 9日には、「入学許可通知書送付を持って(入学式を)実施しないことも可能とする」という事務連絡があり、結局都立高校では、今年の入学式は行われませんでした

 新型コロナウィルスは今後も私たちの生活を大きく変えていくでしょう。今、そしてこれから何が出来るのか、何をすべきなのか考え行動していきたいと思いながら私は「自宅勤務」の日々を過ごしています。(川村5/17記)

「予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ』」(20204.16 - 6.5に遅延)