コロナで社会が壊れていく 罹患より社会的制裁が怖い

 

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元東大医科学研究所特任教授で、本来は内科医だが現代医療に関する問題点の指摘に定評のある、上昌弘・医療ガバナンス研究所理事長

 

上氏は冒頭発言で政府の対策に「エビデンスがない」と指摘

 

一方の上氏は冒頭、「この問題には様々な見方がある。私は医師で研究者でもあります。様々な見方、視点を提供し、政治判断にお役立ていただけると考えている」と語った上で、次のように続けた。

「ぜひお考えいただきたいのは、ウイルスは世界中で蔓延するんです。日本だけエイエイオーとやっても海外で様々なやり方があり、海外で様々な形でコンセンサスができるんです」

こう語った上氏は、日本政府の対応と、海外での最新の医学的見地とのギャップについて語っていく。

「イベントの自粛は、だいぶ調べたんですが医学的エビデンス(根拠)はございませんでした。そもそも論文がなかったです。学級閉鎖は山ほど(エビデンスが)ありました、学級閉鎖をすることで感染症の蔓延を抑制する、何割か下げるというのはコンセンサスです。今、相撲や野球をやめていることについては、医学的エビデンスはありません。だからやるなとは毛頭言っていない。それは先生方の政治判断です」

さらに上氏は、新型肺炎の致死率が中国の湖北省だけで高いことを指摘し、その理由は若者が武漢から出たため高齢者が孤立し、地域が壊れたことだとして次のように訴えた。

「高齢者が独居になって閉じこもると容易に健康を害します。町の機能を維持することは極めて重要なんです。外に出るなと言われて簡単に持病が悪化することは想像に難くありませんよね。日本をこうさせてはならない」

 

 

 

全国一斉休校の根拠と効果は?上氏はバッサリ

 

さらに、安倍首相が要請した全国一斉での休校要請についてだ。「科学的根拠と合理性があるのか」などと質した議員らに、上氏は次のように答えた。

上氏
「クラスで流行っていれば休校することが有効です。ところが今回は流行っているいないに関わらず一律に休校しました。そのようなものが本当に効果がでるのかについてはわかりません、医学的には根拠はないと思います。ただそれによって今回の決定がいけなかったかとは私は思っていません、根拠がないことを判断するのは政治のお仕事ですから、一定程度の合理性はあったと思います」

さらに、野党議員が、「全国一斉」の措置にしたことについての見解を聞くと上氏は、感染防止のメリットと社会的影響のデメリットの相反関係を指摘し、政府の方針を切り捨てた。

上氏
「流行している教室・学校を閉じればもちろん感染症は減ります。これは公知です。一方、まったく流行していないところの学校を閉じても何の効果もありません。デメリットは子どもの教育を受ける権利、あるいはお母さんたちの負担を増やすことですね。全国一律にやるとデメリットは必ず全分出るので、効果が薄れてデメリットが大きくなります。よってあまり勧められる方法ではありません」

 

 

 

PCR検査では、両専門家が真っ向対立

 

また、諸外国に比べ、国内でのPCR検査の件数が増えていないことをめぐっては、両専門家の意見が大きく分かれた。

 

 

上氏
「最大の問題だと思います。世界でPCR検査がここまでやられていないのは日本だけなんです。すでにイタリアの件数は日本を超えていたはずです。なぜやられていないのか。私は厚生労働省と内部組織の国立感染症研究所がコントロールしているせいだと思っています。こんな論争が起こっているのは世界で日本だけです。診断しないと治療できません。患者さんの視点に立って議論いただければと思います」

 

 

 

中韓からの入国制限に、尾身氏「鎖国してまでやるか…」、上氏「根拠ない」

また、両専門家は、政府が10日から導入した中国・韓国からの入国制限についての見解も聞かれ、次のように答えた。

 

上氏
「私は現時点でやるのはエビデンスには反する、根拠はないと思っています。国内で一定程度蔓延している場合には封鎖しても効果は限定的だからです。有効性はほとんど期待できないと思います」

 

 

 

 

封じ込め、出口戦略は

そして公聴会では複数の議員が、新型コロナウイルスの感染はいつ終息するのか、政府の対策の出口戦略はどういったものになるのか・・・

 

上氏
「半分の方が無症状。こういう病気を封じ込めるのは極めて難しいと思います。私個人的には無理だと思います。感染者を減らす努力以上に、感染症ですから治れば後遺症はないんですね、死者を減らすべきだと思います。正確な情報を社会でシェアすることだと思います。日本の感染者の数が韓国と比べ何十分の一、オランダやスペイン、スイスと比べても少ない。さすがにこんなことはありえませんよね。正確な感染状況と致死率が国民にわかれば自然と合意形成していくと思う。感染率は高いが致死率は高齢者除いて高くない、そのことがわかれば、みんな安心なさるんじゃないでしょうか。今それが伝わっていなくてパニックになっているんです、ウイルスの出口戦略は我々にはいかんともできません。それに合わせていくしかないんです」

 

 

 

上氏
「これは医学、科学の問題でもあります。私の所に海外のメディアがたくさんやってきます。なんで皆さんいらっしゃるんですかと聞くと、独自の意見を言う研究者・医者はほとんどこの国にいないんですと。科学者はノーベル賞学者だろうが大学院生だろうが対等なんです。どの意見が正しいかどうかわからない。私が言っていることが間違っていることも十分ありうる。議論を積み上げてやがてコンセンサスになるんです。エビデンスがある場合はにその部分を十分配慮いただきたいと考えています」

 

 

上氏
「ウイルスは強権をふりかざしても変わってくれません。変わるべきなのは我々なんです。一国民として柔軟に対応できる仕組みを作って欲しい。(大事なのは)事実に基づいて正確な情報を国民に伝えること。いけないことは、データに基づかず恣意的な解釈をして、一定程度の効果があった、これをしなければしょうがなかった(と言うこと)。これは政治判断としてはもちろんあるんですが、私は一医師として医学的合理性のないものはおやりにならない方がいいと思います。あとあと世界から必ず批判が出てコンセンサスになって先生方の信頼を国民から失うからです」

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200311-00010015-fnnprimev-pol&p=1