2011年11月当NGO事務局長は、放射線医学総合研究所(放医研)主催研修に参加し、施設立地状況と放射性物質保管場所や重粒子線治療施設等を見学・調査し、放医研理事長や職員にも質問し調査しています。
その際、放医研理事長はじめ、ストロンチウムなど放射性物質検査機器やホールボディーカウンター担当職員も誰一人、1979年に日本が批准済の「社会的経済的及び文化的権利に関する国際規約」(国際人権規約)権利を全く知りませんでした。
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東京新聞 2019年2月18日 朝刊
官邸に「疫学調査不要」 福島原発事故で放医研理事
東京電力福島第一原発事故後の二〇一一年四月、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の明石真言(まこと)理事が福山哲郎官房副長官(当時)に、住民の疫学調査は不要と進言していたことが分かった。原発事故の疫学調査では一般的に、多発が心配される甲状腺がんの患者数や分布を調べ、放射線の影響を分析する。しかし、国は本格的な調査に乗り出さず、福島県が「県民健康調査」を始めた。
甲状腺がんの原因となる甲状腺内部被ばくの測定も、国は千八十人で終えていた。明石氏はこの測定を問題視しなかった上、甲状腺がんの状況も調べなくてよいと提案したことになる。
本紙は、同年四月二十六日に明石氏らが福山氏と首相官邸で面会し、住民の被ばくについて説明した会合の議事概要を情報開示請求で得た。文部科学省が作成し、放医研が保有していた。
それによると、経済産業省の幹部が「論点として疫学調査の必要性の有無があろうが…」と切り出し、明石氏が「住民の被ばく線量は最も高くても一〇〇ミリシーベルトに至らず」「(疫学調査は)科学的には必要性が薄い」と述べていた。
明石氏は現在、量子科学技術研究開発機構執行役。取材に応じ、「健康影響が確認できる基準は一〇〇ミリシーベルトと理解していたが、外部被ばくは原発の正門付近の空間線量からそこまでにならないと判断した。甲状腺の内部被ばくは国の測定で線量が高い人でも五〇ミリシーベルト、一〇〇ミリシーベルトにならなかったはず」と説明。「必要性が薄い」と判断した理由に、平常時との差が確認できるほど病気が増えると考えにくかったことを挙げた。
放医研は文科省所管で一九五七年に発足した。緊急被ばく医療体制の中心的機関として位置付けられ、福島の事故では官邸や各省庁の助言役として活動。国が疫学調査をする場合は、実施主体になる可能性があった。国がこの調査をしなかったのは、放医研が否定的だったことが影響したとみられる。