◆ 『産経』OBが沖縄住民の戦死はすべて米軍によると断言!
   皆さま     高嶋伸欣です


 沖縄知事選で示された県民の意志とは裏腹に、沖縄を差別して止まない安倍流歴史修正主義者、『産経』文化人たちなどの事実歪曲の情報を・流言飛語をまき散らす動きに歯止めがかかっていません。
 最新の事例を紹介します。
 出典は会員制月刊誌『THEMIS テーミス』2018年10月号のコラム「日本警世」#207で、著者は高山正之氏・元『産経』記者、元帝京大学教授です。

 1 米軍は沖縄を太平洋横断戦略ラインの終着点として将来は米国領にするため、西部開拓のインディアンと同様に住民の抹殺を図ったとの論旨に続けて、次のように沖縄戦での住民の死者はすべて米軍によるものだと断言しています。


 2 「掃討戦はだから過酷だった。沖縄本島はもとより周辺の渡嘉敷島も伊江島も徹底的に破壊した。男を殺し、女は犯して殺した。沖縄島民の戦死者12万人強。ひめゆり部隊のように日本軍とともに死んでいった者は1千人ほど。
 女子供を含む9万人の民間人や軍属はすべて米軍に殺された。宜野湾では住民が抵抗したことを理由に市民の半分が殺され、糸満市の国吉では投降した住民のうち男はみな銃殺された」と。

 3 これほど荒唐無稽な沖縄戦解説の根底にあるのは、日本軍(天皇の軍隊「皇軍」)は、非難されるような住民虐殺、「集団自決」強制、重症者殺害、マラリヤ蔓延地への疎開強制等を一切していないことにしようとする歴史改竄の悪意です

 4 日本軍による住民虐殺や「集団自決」強制の事実を抹殺しようとする言説を、沖縄の知事選の時期に合わせて声高に表明しているところに、更なる悪意が読み取れます。

 5 本件コラムのタイトルは「沖縄の本音を知らない朝日新聞の『翁長礼賛』論 トルーマンが戦後『沖縄は米国に恒久的に帰属する』といった理由」です。
 『THEMIS』10月号の発行(購読者への配達日)は、9月29日です。知事選(30日投票)で翁長氏の遺志を継ぐとした玉城デニー氏を牽制する意図は、明白です

 6 それにしても、上記<2>の言説はあまりにも悪質です。
 沖縄、「本土」そして海外からも批判・抗議の声を挙げて、こうした暴論を2度と登場させない社会状況、ファクトチェック構造の構築を皆さんと目指したいと思いつつ、取り急ぎ、状況をお知らせすることにした次第です。

 以上 ご参考までに

 文責は高嶋です  転載・拡散は自由です

 *問題のコラムの全文にはもう一件、沖縄絡みの歴史改竄言説があります。それについては、別途のメールを送信します。



◆ 『産経』OBが翁長知事を”たかり”と冒涜!
   皆さま     高嶋伸欣です


 1 今、沖縄にいます。明日(10/9)の「翁長雄志知事県民葬」に安倍首相は欠席(昨年の大田元知事の葬儀には出席)し、代わって出席する菅義偉官房長官は、知事選で露骨に反翁長の陣頭指揮をしたばかりですから、どの面下げて来るのだろうかと、話題になっています。

 2 特に菅氏は、翁長氏の2014年12月の知事就任直後の表敬訪問さえ拒み続けた依怙地さを自民党内からも批判され、ようやく面談をすることになった2015年4月の段階でも、知事選での10万票差を無視して、「辺野古は”粛々”と計画通り進める」と開き直っていた人です。

 3 これに対して、上記4月5日の会談で翁長知事は「問答無用という姿勢が感じられて、キャラウェイ(高等弁務官)の姿に重なる」と切り替えしたのです。


 4 この指摘に沖縄では拍手喝采。「よくぞ言った!」と評価され、全国紙でもその様子が伝えられました。

5 キャラウェイ高等弁務官(第3代、1961.2.16~'64.7.31)は、沖縄の金融制度整備などで一定の成果を上げたとされていますが、軍政下の沖縄で「沖縄の自治拡大など神話に過ぎない」と公言した人です。

 6 ちなみに同高等弁務官の在任時期は、1952年4月28日の講和条約発効以後で、「本土」では治外法権の米軍基地以外での日本の主権が回復していた時期です。
 一方の沖縄では日本政府の黙認の下で軍政が継続され、青信号で交差点を渡っていた中学生・国場秀夫君を軍用車で轢殺した米兵が、形だけの軍事裁判で無罪とされたのが1963年6月のことです。

 7 轢殺した米兵を無罪とした判決の根拠は?「信号に夕日が反射して、信号がよく分からなかったことによる事故で、不可抗力だったと判断される」というものです。
 「よくわからなければ停止か徐行すべき」ですが、当時の沖縄県民にはどこの憲法も適用されず、人権を法的に保障されていない「虫けら」(沖縄の人々の表現)同然だったのです。
 そのことを、キャラウェイはいみじくも「自治など神話」と言ってのけたのでした。

 8 翁長さんが菅長官の沖縄差別、上から目線の物言いの繰り返しに対して「菅さんはキャラウェイと同じ」と言い切ったことの意味、さらに翁長発言に人々が拍手喝采した理由がこれです。

 9 菅長官は、この時の会談以後「粛々として進める」という表現こそ繰り返さなくなったようですが、慇懃無礼で権力づくの姿勢に変化はほとんどありません。

 10 それが、今回の自公維の総力を傾注しても9万票の大差をつけられた現実を前に、変わるのか。あるいはまったく変わらないのか
 安倍首相が出席する場合以上に、その言動に注目して、沖縄では明日を迎えようとしているわけです。

 11 ところで、鉄面皮の菅長官でさえ最近の事実に学んで少しは変わるのではないかと予想されている時に、臆面もなくキャラウェイの「神話」発言を正当化する暴言を吐いているのが、『産経』OBの高山正之氏(元・帝京大学教授)です。

 12 同氏が暴言を展開しているのは、すでに<情報①>のメールで紹介した会員制月刊誌『THEMIS テーミス』10月号のコラム「日本警世」#207においてです。

 13 <情報①>にあるように、沖縄戦歪曲記述を展開した後に、キャラウェイは善政を施したかったが、沖縄県民は財政支援の横流しなどで応じ、米国から、復帰後は日本政府から、「カネを出させる」”たかり”社会となった、というこじつけの説を続けています。

 14 その図式の中で、翁長氏は「『米軍に出ていけ』といった」、「困った首相は掴み金を出して慰めた」と、高山氏は言います。
 沖縄振興予算を仲井真知事の時よりも、安倍・菅コンビが減額させた事実を、高山氏が知らないはずはありません。悪質な歪曲です。

 15 続けて「翁長は普天間飛行場が危ないと叫ぶ。首相は『分かった。辺野古に移そう』という。いや、移転が目的じゃない。米国への当てつけだから、ごねさしてくれ。米国に見捨てたことを反省させ、ついでに本土からカネが出れば幸せだ。
 その阿漕(あこぎ)を菅官房長官がずばり指摘した。翁長は官房長官との会談の後、こういった。『問答無用という姿勢はキャラウェイの姿に重なる』。今みたいに甘え続けると、今度は日本からも見放されることを翁長も悟ったのだろう。甘えはもう通用しないかもしれないといいたかった」と、言語に絶するこじつけを長々と書き連ねています。

 16 最後も「この顛末を先日の天声人語(『朝日』2018年8月10日朝刊=高嶋注)が書いていた。中でキャラウェイを『沖縄の自治拡大に冷水を浴びせた人物』と紹介する。
 彼の言葉『沖縄の自治など神話に過ぎない』の意味も沖縄の民の本音も分かっていない」は、高山氏の定番『朝日』叩きにこじつけての、翁長批判の繰り返しです。

 17 キャラウェイ礼賛までは、高山氏の勝手な見解ですが、「沖縄の本音=米国・日本両政府へのたかり体質」という認識は看過できません。

 18 ましてや翁長氏がその「たかり体質」で行動していたとの決めつけは、冒涜です。言論の自由の範囲を逸脱したヘイト言説で、反社会的とさえ思えます。
 親族にとっては名誉棄損のレベルではないかとさえ思われます。

 19 あまりにも不当、愚劣として放置すると、「何も批判、反論類がなかった。社会的に認知された」として、逆に勢いづかせることにもなりかねません。

 20 『THEMIIS』編集・発行元は、下記の通りです
 株式会社 テーミス
 102-0082 東京都千代田区一番町13-15 一番町KGビル
 TEL 03-3222-6001

 21 なお、高山正之氏は『週刊新潮』の巻末コラム「変見自在」(10月11日号で809回)、『正論』の巻頭コラム(数ページ)「折節の記」などの専属筆者で、以前から、杉田水脈氏顔負けの罵詈雑言(何しろ品がないのです)を垂れ流し、まき散らしている人物です。
 さしづめ「ヘイトの草分け」「ヘイトの先駆者」ともいうべき存在で、これまでまともに批判の対象にされてこなかったことが、同調者を勢いづかせたのではないかとも思えます。
 どこかで、集中的にチェックと批判・反論の取り組みが必要ではないかという気がしますが、いかがでしょうか。

 22 今回はあまり知られていない会員制月刊誌に、看過できない暴論が大手を振って掲載されていましたので、取り急ぎ<情報>としてお知らせすることにした次第です。

 以上 また長くなりましたが ご参考までに。

 文責は高嶋です      拡散・転送は自由です