■10/4(木) 5:10配信 朝日新聞デジタル

太陽光買い取り見直し検討 未稼働は認定取り消しや減額
太陽光の買い取り価格と稼働状況
 経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しに着手する。導入当初に認定を受けた太陽光発電施設のうち、いまだに発電を始めていない施設などについて、認定の取り消しや買い取り価格の減額を含め検討する。当時の買い取り価格が割高に設定され、これらの施設がすべて発電を始めれば産業界や家庭への負担が膨らむためだが、事業者からは反発も予想される。

 導入当初の2012~14年度、事業用太陽光(発電能力10キロワット以上)の買い取り価格は、1キロワット時あたり40~32円と、現在の買い取り価格(18円)を大きく上回る。この3年間に認定された施設のうち6割弱はすでに発電しているが、残る4割強、2352万キロワット(17年度末時点)分はまだ稼働していない。

 電力会社の送電線増強工事や地域での合意形成が遅れているケースもあるが、太陽光パネルなどの導入費が安くなるのを待つ事業者も少なくないとみられる。

 経産省の公表データを元に朝日新聞が試算すると、仮にこの未稼働分の太陽光がすべて発電を始めた場合、電力の供給量は年約350億キロワット時(設備利用率17%)増え、電力会社の買い取り額は年約1兆2千億円強膨らむ。いまの市場価格(1キロワット時あたり約10円)分を差し引くと、電気料金に上乗せされる国民負担は年約9千億円増え、標準家庭(1カ月に260キロワット時の電気を使用)で月額220円程度の負担増となる計算だ。



9/13(木) 15:00配信 日刊ゲンダイDIGITAL

道内停電で注目も…経産省が太陽光発電の買い取り“半額”に

 経産省は12日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しに関して有識者会議を開き、事業者や家庭から買い取る太陽光発電の価格を半額以下にする方針を固めた

 これまで住宅用太陽光の買い取り価格は、今年度が1キロワット時あたり26円なのに対し、2025~27年度には半額以下の11円程度まで下げる。さらに政府が買い取り価格の上限を定める「入札制」の対象も、従来の2000キロワット以上から50キロワット以上と大幅に拡大する。

 苫東厚真火力発電所が停止し、道内全域で約295万戸が停電となった北海道胆振東部地震では、経産省が非常用電源として太陽光発電の活用を呼びかけた。震災を機に太陽光発電の注目が集まる中、これから始めようとする人に水を浴びせる内容だ。

 買い取り価格半減の理由について、経産省はその他大勢の世帯の電気料金に上乗せされている買い取り費用を引き下げ、消費者負担を軽減するためという。結局、電力会社の懐を痛めず消費者に買い取り負担を押し付けているだけだ。太陽光発電の推進のために、国はソーラーパネル設置の際に補助金をもっと出したらどうなのか

「ソーラーパネルの設置費用が安くなってきて、設置を検討している家庭は増えています。この段階での買い取り価格半額はあまりにひどい。自然エネルギーの普及を抑え、原発を再稼働させたいのが本音なのでしょう。やっていることがあざとすぎます」(経済ジャーナリストの荻原博子氏)

 7月に閣議決定したばかりの「再生エネの主力電力化」なんて舌先三寸だ。