イタリア北西部のジェノバで14日、高架橋が崩落し通行中の車数十台が巻きこまれた事故で、生存者の救出活動が続いている。
マッテオ・サルビーニ内相は、巻き込まれた車は45メートルの高さから落下しており、少なくとも37人が死亡したと発表した。これには8歳と12歳、13歳の子どもが含まれている。
また、これまでに16人が負傷し、行方不明者は4~12人とされている。
イタリア各地から約250人の消防隊員がクライミング装備を使い、捜索犬と共に生存者を探している。
救助隊員のエマニュエレ・ジッフィ氏はAFP通信に対し、「希望は捨てていない」と話し、救助隊は「最後の犠牲者を確保するまで昼夜を問わず」活動すると述べた。
高架橋の別の部分がさらに崩落する危険があり、近隣からは400人以上が避難した。
大雨の中で起きた橋の崩落の原因は現時点で明らかになっていないが、構造の安全性に問題があった可能性が指摘されている。
サルビーニ内相は、崩落の責任の所在を必ず明らかにすると表明した。
崩落が起きたモランディ橋は1960年代に建造され、有料道路A10が通っている。近くの港からイタリアの保養地リビエラやフランス南部の地中海沿岸地域に物資を運ぶ重要なルートとなっている。

救助隊が直面する困難

現場で取材しているBBCのジェイムズ・レイノルズ記者は、救助隊はがれきの小さな隙間から、閉じ込められている人々を探そうとしていると話した。
ジェノバ警察のアレッサンドラ・ブッチ報道官はロイター通信に対し、「がれきの下に生存者が今もいるとみられるため、救助活動を続けている」と語った。
高架橋は約200メートルにわたって崩落したImage copyrightREUTERSImage caption高架橋は約200メートルにわたって崩落した
イタリア北部のあらゆる地域から派遣された救助隊員たちが、がれきの山の中で活動している。
イタリアの国家消防隊はツイッターに、橋の崩壊部分に引っかかって宙に浮いた状態の車の残骸から人が救助され、慎重につり降ろされる様子を撮影した映像を投稿した。
モランディ橋の崩落時には、30~35台の乗用車と大型車両3台が通過中だったとみられている。
橋の大きな塔や道路部分が崩れ落ち、鉄道線路や川、倉庫などの上に落下した。
イタリア・セリエA所属のサッカークラブ「カリアリ・カルチョ」の元選手ダビデ・カペロ氏の車も崩落に巻き込まれたが、カペロ氏は無事だった。
カペロ氏は「車の外に出ることができたが(中略)なぜ自分の車がつぶれなかったか分からない。映画の一場面のようだった。世界の終わりのようだった」と語った。
イタリア赤十字社の救助活動を取り仕切るマルチェロ・デ・アンジェリス氏はBBCに対し、救助隊の対応は地震の際と同じだとし、「がれきの中にできたわずかなスペースによって生存者が守られている可能性がある」と指摘した。
北イタリア各地から救助隊が派遣されているImage copyrightEPAImage caption北イタリア各地から救助隊が派遣されている救助される負傷者Image copyrightEPAImage caption救助される負傷者
「地震時に対応する部隊を派遣している。同じような状況で、さらに崩れ落ちるリスクも当然、同じだ」

どのように崩壊したのか

高架橋は14日午前11時半(日本時間午後6時半)ごろ、約200メートルにわたって崩壊した。警察によると、当時は雨が激しく降っていたという。