閣議決定 日本版「司法取引」6月施行 談合や脱税も対象
毎日新聞2018年3月16日
政府は16日、日本版「司法取引制度」の施行日を6月1日とする政令を閣議決定した。また、対象犯罪について、改正刑事訴訟法に明記していた刑法の贈収賄や組織犯罪処罰法の組織的詐欺などに加え、独占禁止法違反(談合)や脱税など経済関係の法律の罪も対象とする政令を決定した。
同制度の政府の略称は「合意制度」。容疑者や被告が共犯者らの犯罪事実を明らかにする見返りに、検察官は起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできる。取引の協議は検察官と容疑者・被告とともに弁護士が同席して行い、弁護士の同意も必要となる。取引が成立すれば「合意内容書面」が作成され、第三者の裁判では合意内容書面が第三者側と裁判官に開示される。
対象犯罪について、改正刑訴法は刑法上の一定の犯罪や薬物銃器犯罪などに加えて、政令で定める「財政経済関係犯罪」としている。そのため今回、金融商品取引法(粉飾決算やインサイダー取引など)、著作権法、会社法などに違反する罪も新たに対象犯罪に加えられた。司法取引制度は2016年5月、取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けなどを柱とした刑事司法改革関連法の一つとして成立した。
【鈴木一生】
日本版「司法取引制度」の主な対象犯罪
■改正刑事訴訟法に明記されている犯罪
・刑法の一定の犯罪(贈収賄、詐欺など)
・組織犯罪処罰法の一定の犯罪(組織的詐欺など)
・覚せい罪取締法、銃刀法などの薬物銃器犯罪
■政令で新たに規定した財政経済犯罪
・租税に関する法律の罪(脱税など)
・独占禁止法違反(談合、価格カルテルなど)
・金融商品取引法違反(粉飾決算、インサイダー取引など)
・特許法違反(特許権侵害など)
・貸金業法違反(無登録営業など)
・破産法(詐欺破産など)
・会社法違反(特別背任など)