=立川テント村通信=
 ★ 朝雲レポート(11/23号~1/25号)


 ★ でかでかと写真を使って「日本海に米原子力空母三隻」という見出しで、初めて海自が日本海で米空母三隻と共同訓練を実施したとの記事。巨大な三隻の空母の真ん中にやや小さなヘリ搭載護衛艦「いせ」が陣取る写真を誇らしげに掲載。こんな火遊びで本当に戦争になったらどうするのか(十一/二三)。

 ★ 二〇一七朝雲一〇大ニュース
  一位 南スーダンPKO終了、
  二位 米艦防護、
  三位 北朝鮮がミサイル一五回発射・核実験も、
  四位 「同報問題」で稲田大臣が辞任、
  五位 空自が南西航空方面隊新編、
  六位 九州北部豪雨で二万人災派、
  七位 空自スクランブルが一一六八回で過去最多、
  八位 タイで海外初「邦人等保護措置訓練」を実施、
  九位 「かが」就役で「新DDH四隻体制」、
  十位 陸自LR2、海自SH六〇J、空自UH六〇Jなど墜落。


 「十七年を振り返れば、北朝鮮…に振り回され続けた一年だったと言えよう」と結論付けているが、四位、十位などマイナスのニュースには触れていない。(十二/二一)。

 ★ C2輸送機の宣伝記事が多過ぎる。昨年十一月、二度も「海外運行訓練」と称して飛行。一度目は、UAEのドバイの航空ショーに出展するのが目的。下旬には、オーストラリア、ニュージーランドに飛行した。
 「日本の高い技術アピール」(十一/三〇)、「国産C2世界デビュー」(一/四)と銘打ち搭乗員座談会。「初の新春飛行」(一/二五)。しかし、UAEはイエメンへの無差別空爆を続けているサウジアラビア主導の合同軍に参加。国防省担当者は「C2は軍の装備品を輸送することになる」(十一月十四日、テレ朝NeWs)と明言している。明らかな紛争当事国への武器輸出である。

 ★ 防衛費五兆一九一一億円。六年連続増で過去最大。
 三〇年度予算案を政府が閣議決定した。小野寺防衛相は、FMS(対外有償軍事援助)調達であっても「米国と価格交渉を行うなど、費用対効果を高める努力を行っている」と閣議後の記者会見で説明した。当初八○○億だったイージスアショアは一〇〇〇億になったが、どう説明するのか(一/四)。

 ★ 朝雲寸言。元号に関して、敗戦直後元号廃止の議論があった。「今も西暦に一本化をという声はあるが、皇室の悠久の歴史があるのにキリスト生誕から数えるのは気に入らない」。やっぱり天皇主義者なんだなあ(十二/七)。

 統合運用に関して「十二年前の春、発足したばかりの統合幕僚監部でこんなことがあった。ある行事の準備をしているとき、海自出身者が『タテツケしませんか』と尋ねた。タテツケとは海自用語で『予行演習』のことだが、隣にいた空自出身者にとっては『組織図』を意味する」。陸自出身者は「建具の閉まり具合」と思って首をかしげたという話を紹介。それから十年がたち統合運用が進み、今年も「団結を示したい」と結ぶ文章。しかし、逆に必要もないのに業界用語をつくっていく自衛隊の閉鎖性の方に目が行ってしまった(一/四)。

 自衛隊の退役した艦艇を「動く展示艦」にし、津々浦々を巡って、若い世代に「日本の安保の実像」を見てもらうという提案をしている。漂着した北朝鮮のミサイルの部品を防衛省から、不審船関連を海保から、地下鉄サリン事件関係を警察から集める。「平和が続くほど、一般人の防衛感覚は自衛官といったプロのそれとはずれていく。この先、ずれを最小限に留めるにはそれなりの工夫が必要になるはずだ」という。一般人を自分たちに近付けていくことしか考えない、独善的思考を示す文章だ(一/一八)。

 ★ コラム「時の焦点」。植田高直(政治評論家)「前原氏の決断」。世間の批判にもかかわらず、民進党代表だった前原を擁護。「希望には、安全保障政策で自民党に勝るとも劣らない面々」がそろい「健全な保守・中道野党の基点になったのも確か」前原氏の「評価は、時間の経過を待つ必要がある」「前原氏の判断は少なくとも、自律的だつたのではないか」。単に保守二大政党制を欲しているだけとはいえ、強引過ぎる(十一/三〇)。

 ★ 防大四年生の手記。横須賀の防大から千鳥ヶ淵墓苑まで六八キロを夜通し歩く「東京行進」の感想。千鳥ヶ淵の後には靖国の遊就館を見学。「英霊の皆様に恥ずかしくないよう、全身全霊をかけ、この国の防衛に尽くします」。いつか来た道か(一/二五)。

『立川自衛隊監視テント村通信 480号』(2018年2月1日)