国の除染事業が私物化されていたのか。

福島第1原発事故の除染事業を担う清水建設のJV(共同企業体)で、除染作業員が、除染の対象地域ではない清水建設の執行役員の実家で草むしりなどを行っていたことが、FNNの取材でわかった。執行役員は事実を認め、辞任した。

2016年8月の平日、清水建設JVに入る下請け企業の作業員が、JVを統括する清水建設の執行役員の実家の草むしりをする様子を撮影した写真。
実家は、新潟県との県境の福島・西会津町にあり、除染の対象地域ではないが、作業員12人が、草むしりを行っていた。
また、冬には3年にわたり、4回、雪かきを行っていたという。
作業車でやってきた除染作業員たちは、この執行役員の実家裏庭などを、およそ5時間かけ、作業道具を使って草むしりしたという。




清水建設:執行役員辞任 下請け業者に実家の雪下ろしさせ
2017/12/11 
 
 大手ゼネコン・清水建設は11日、福島県内で環境省や市町村から受注した除染工事を統括する執行役員が、県内にある1次下請けの業者に無償で実家の雪下ろしなどをさせていたことを明らかにした。執行役員は代金相当分の33万2000円を業者へ支払った後、8日に辞任した。同社は「業者から国などへの代金の不正請求などは無かった」としている。

 同社によると、福島での震災関連工事を担当する土木東京支店の副支店長である元執行役員(60)は2015年初め、業者に対し、除染工事の対象地域外の福島県西会津町にある実家の雪下ろしを依頼。業者は同年に1回、16年に1回、17年に2回の雪下ろしを行った。16年夏には実家の草刈りもしたという。

 同社は、先週末に報道機関の照会を受けて内部調査を開始。調査に対し、元執行役員は「雪深く、実家に帰れなかった。雪下ろしを頼んだのは1回だけだが不適切だった」、業者は「自主的にやった」と説明したという。

 清水建設は「不正請求など誤解を招く行為だった」と陳謝したが、元執行役員が代金を払う前提で雪下ろしを依頼したかどうかは「聞いていない。民間同士の接待行為のようなものだと思う」との認識を示した。同社は福島県大熊町、楢葉町、広野町などで環境省や自治体から除染作業を受注している。